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相続登記にかかる費用は?自分でやる場合、司法書士に依頼する場合をそれぞれ解説

不動産を相続した場合は、その所在地の法務局または地方法務局で相続登記の手続きを行う必要があります。相続登記するには、公的書類の取得費用や登録免許税、専門家に依頼した場合の報酬などの費用がかかります。この記事では、相続登記にかかる費用の詳細や費用を抑える方法について解説します。

相続登記の手続きにかかる費用の種類

相続登記の手続きを行う際には、以下の費用がかかります。

  1. 公的書類の取得費用
  2. 登録免許税
  3. 司法書士費用または弁護士費用

公的書類の取得費用

相続登記の手続きを行うに当たっては、以下の書類が必要となります。

遺贈によって不動産を取得した場合

  • 登記申請書
  • 被相続人の死亡の記載がある戸籍謄本。場合に応じて、除籍謄本または改製原戸籍謄本(法定相続情報一覧図の写しで代用可能)
  • 不動産の遺贈を受けた人の戸籍謄本または戸籍抄本(死亡日以降に取得した法定相続情報一覧図の写しで代用可能)
  • 本籍の記載がある被相続人の住民票の除票、または戸籍の附票の写し(登記上の住所と本籍が一致する場合は不要)
  • 不動産の遺贈を受けた人の本籍の記載がある住民票、または戸籍の附票
  • 不動産の固定資産評価証明書
  • 遺言書(原本、ただし、公正証書遺言の場合は正本または謄本、法務局で保管されている自筆証書遺言の場合は遺言情報証明書)
  • 家庭裁判所の検認済証明書(公正証書遺言または法務局で保管されている自筆証書遺言については不要)

遺産分割によって不動産を取得した場合

  • 登記申請書
  • 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本、除籍謄本または改製原戸籍謄本(法定相続情報一覧図の写しで代用可能)
  • 相続人全員の戸籍謄本または戸籍抄本(死亡日以降に取得した法定相続情報一覧図の写しで代用可能)
  • 被相続人の本籍の記載がある住民票の除票、または戸籍の附票の写し(登記上の住所と本籍が一致する場合は不要)
  • 不動産を相続する人の本籍の記載がある住民票、または戸籍の附票
  • 不動産の固定資産評価証明書
  • 遺産分割協議書(相続人全員の実印押印した原本)、遺産分割の調停調書の謄本または審判書の謄本
  • 相続人全員の印鑑登録証明書(協議の場合)
  • 確定証明書(審判の場合)

上記のうち、行政機関が発行する公的書類については、発行を申請する際に手数料を支払う必要があります。各公的書類の手数料額の目安は、以下のとおりです(自治体が発行する公的書類の手数料は、自治体によって異なる場合があります)。

戸籍謄本・戸籍抄本 1通当たり450円
除籍謄本 1通当たり750円
改製原戸籍謄本 1通当たり750円
住民票の写し・戸籍の附票の写し
※除票の写しを含む
1通当たり300円
固定資産評価証明書 1通当たり200円~400円
遺言書の検認済証明書 150円
※検認の申立時に、別途収入印紙800円と郵便切手の納付が必要
印鑑登録証明書 1通当たり300円
調停調書の謄本・審判書の謄本 1通当たり150円
審判の確定証明書 1通当たり150円

登録免許税

法務局または地方法務局に相続登記を申請する際には、登録免許税を納付する必要があります。登録免許税額の計算方法は、以下のとおりです。

  • 相続によって取得した場合:固定資産税評価額の0.4%
    ただし、現在免税等の措置があります
  • 遺贈によって取得した場合:固定資産税評価額の2%
    相続人は0.4%、相続人以外は2%

司法書士費用または弁護士費用

相続登記の手続きは、司法書士または弁護士に依頼できます。漏れなくスムーズに相続登記の手続きを行ってもらえるほか、手続きの手間が省ける点が大きなメリットです。

司法書士または弁護士に依頼する際には、依頼費用がかかります。司法書士費用・弁護士費用の金額は依頼先によって異なるので、正式に依頼するまえに必ず見積もりを提示してもらいましょう。

相続登記の手続きは司法書士または弁護士に依頼できます

相続登記の手続きを自分で行う場合の費用

相続登記の手続きを自分で行う場合は、司法書士費用・弁護士費用がかからないので、必要になる主な費用は公的書類の取得費用と登録免許税の2つです。

公的書類の取得費用額は、相続人の構成などによって異なりますが、数千円程度となるケースが多いでしょう。

登録免許税の額は、不動産の固定資産税評価額や、取得した人(相続人かそれ以外か)によって異なります。

たとえば固定資産税評価額2000万円の不動産を相続人が取得した場合、登録免許税額は8万円(=2000万円×0.4%)です。

相続人以外の者が取得した場合の登録免許税額は、40万円(=2000万円×2%)となります。

相続登記の手続きを司法書士に依頼する場合の費用

相続登記の手続きを司法書士に依頼する場合は、公的書類の取得費用と登録免許税に加えて司法書士費用がかかります。

登記申請だけを依頼する場合の司法書士費用は、内容や不動産数によって異なりますが、不動産1申請当たり5万円から10万円程度が標準的です

戸籍謄本類の取得や遺産分割協議書の作成などを含めた総合的なサポートを依頼する場合は、不動産1申請当たり10万円から15万円程度が目安となります

相続登記の手続きを弁護士に依頼する場合の費用

相続登記の手続きは、法律上弁護士も取り扱うことができますが、実際に相続登記を取り扱っている弁護士は少数派で、司法書士を紹介してもらうことの方が多いです。

弁護士が自ら相続登記を取り扱う場合の弁護士費用は、司法書士費用と同等かやや高くなる傾向にあります。司法書士の紹介を受ける場合は、紹介料はかからず、司法書士費用のみが発生します。

相続登記にかかる費用を抑える方法

相続登記にかかる費用をできる限り抑えたい場合は、以下の方法を検討しましょう。

  1. 複数の司法書士を比較する
  2. 登録免許税の免税措置の適用が該当するかを確認する

複数の司法書士を比較する

相続登記の手続きを自分で行えば費用を最小限に抑えられますが、登記申請の必要書類を集めて手続きを行うのは非常に大変です。手続きの漏れや遅れを防ぐためにも、司法書士に依頼することをおすすめします。

相続登記の司法書士費用は、依頼先によって異なります。対応が同じでも費用は大きく異なることがあるため、複数の司法書士を比較して依頼先を決めるとよいでしょう。

登録免許税の免税措置の適用が該当するかを確認する

所有者不明土地の問題を解消する目的で、相続登記の手続きを促進するために、登録免許税については以下の免税措置が設けられています。

  1. 二段階以上の相続登記に関する免税措置
    先行する相続について不動産の相続登記が行われておらず、複数段階の相続登記が必要になる場合には、2025年3月31日までに登記手続きを行えば、1回分を除いて登録免許税が免除されます。

  2. 少額の土地を相続した場合の免税措置
    相続によって取得した土地の固定資産税評価額が100万円以下の場合は、2025年3月31日までに登記手続きを行えば、登録免許税が免除されます。

上記の免税措置に該当すれば、相続登記の際にかかる登録免許税を節約できます。いずれも2025年3月31日までの期間限定となっているので、早めに相続登記の手続きを行いましょう。

まとめ

不動産の相続登記を申請する際には、主に公的書類の取得費用、登録免許税、および司法書士費用(または弁護士費用)がかかります。

相続登記の登録免許税については、2025年3月31日までの期間限定で免税措置が設けられています。また司法書士費用については、複数の司法書士から見積もりを取得して比較すれば、金額を抑えられる可能性があります。

相続登記は、不動産の所有権を第三者に対抗するために必要です。また、2024年4月1日以降は相続登記が義務化されます。不動産を相続したら、早めに相続登記の手続きを行いましょう。

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この記事の監修者
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今井良輔弁護士
監修者の所属事務所
虎ノ門法律経済事務所京都支店

京都弁護士会所属。当事務所は東京本店を基軸に全国に30以上のオフィスを展開しており、それぞれが地域に密着した法サービスを提供しています。特に相続の不動産の扱いに幅広いノウハウがあり、最適なリーガルプランを提供します。

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