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相続手続きはどんな場合に自分でできる?やることや流れを解説

相続手続きは、相続人や遺産の状況によっては自分で行うこともできます。この記事では、どのような場合に相続手続きを自分で行えるのか、自分で行う場合の手続きの流れややるべきことを詳しく解説します。

自分で相続手続きを進めてもよいケース

相続手続きは、すべて自分で行うことができます。ただ、相続人の関係性や遺産の状況などによっては、専門家である弁護士の力を借りた方が負担を少なくしスムーズに進められるケースもあります。

相続手続きを自分で進めてもよいと言えるケースには、大きく2つあります。相続人同士での揉め事がないことと、手続きが比較的容易であることです。それぞれについて詳しく説明します。

相続人同士で揉め事がないケース

相続人が少ない

相続人が少ない場合には、相続人が多い場合に比べて、遺産分割について意見を合わせやすいと言えます。そのため、自分たちで相続手続きをスムーズに進められる可能性が高いです。また、相続人が少ない場合、戸籍謄本など用意する必要書類も少なくてすみます。

相続人の仲がよい

相続人同士が仲がよい場合には、相続争いが生じる確率が低く、手続きを協力して進めることが期待できるため、自分たちで相続手続きを進めるのに適していると言えます。

遺言書の内容に異論のある相続人がいない

遺言書の内容に納得していない相続人がいる場合、その相続人が手続きに協力しなかったり、遺言の無効を主張して争いになったりする可能性があります。このような場合には、弁護士に相談する方がよいでしょう。

寄与分を主張する相続人がいない

被相続人の生前に介護などで特別に貢献した相続人がいる場合、その相続人には「寄与分」という遺産の特別な分け前が認められます。ただし、寄与分が認められる基準は明確でなく、寄与分が具体的にいくらになるのかも一律に決まっていません。そのため、寄与分を主張する相続人がいる場合には、他の相続人と意見の対立が生じる可能性があります。

相続手続きを阻害する原因がない

誰が相続人かを把握できていて、連絡を取り合うことが容易

相続人の中に行方不明な人がいる場合や連絡先がわからない場合、疎遠だったり忙しかったりして連絡を取るための心理的・物理的なハードルがある場合には、相続手続きを進めるための意思疎通や情報の共有がスムーズにいかない可能性があります。

相続放棄するかどうかの判断ができている

相続放棄には期限があり、期限を過ぎると相続放棄できなくなります。相続放棄をすべきか判断がつかない場合や、期限内に手続きが間に合わない場合には、弁護士へ相談した方がよいでしょう。

関連記事:相続放棄の手続きは自分でできる!流れと費用、注意点をわかりやすく解説

相続税がかからないことが明らか

相続税がかかる可能性がある場合には、相続税がかかるかどうかの判断をしなければなりません。また、遺産分割の方法によって税額が変わることがあります。最終的には具体的な計算をした上で、必要書類を用意し、期限内に申告手続きを行う必要があります。このような場合には、税理士への相談をおすすめします。

相続手続きの流れ

相続手続きには様々なものがあり、期限が決まっているものもあります。相続手続きの流れを把握して、スムーズに進められるようにしましょう。

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相続手続きを自分でする場合にやるべきこと

遺言書を探す

相続手続きは、遺言書があるかどうかで大きく異なります。まずは、遺言書を探しましょう。遺言にはいくつかの形式がありますが、「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」が多く使われています。

自筆証書遺言とは、文字通り手書きでつくった遺言書です。自宅や貸金庫などに残されていないか探してみましょう。

公正証書遺言とは、遺言を残したい人が、公証役場で公証人に遺言の内容を伝えて、それをもとに公証人がまとめたものです。公正証書遺言があるかどうかは、公証役場に検索してもらうことができます。

遺言書が見つかった場合には、基本的には遺言書の内容に従って手続きを進めていきます。

ただし、見つかった遺言書が「自筆証書遺言」の場合、すぐに遺言書を開封してはいけません。原則として、家庭裁判所の「検認」という手続きを受ける必要があります。検認とは、家庭裁判所に遺言の形式・内容などを確認してもらう手続きです。

検認をすることで、遺言書があることや遺言書の内容を相続人に知らせることができます。また、検認をした当時の遺言書の状態や内容を確認することで、遺言書の偽造などを防ぐことができます。

詳しくは以下の記事で解説しているので、あわせてお読みください。
関連記事:遺言書の検認とは?手続きや期限、検認が終わったらすることも解説

相続人を調査する

遺言で相続人が誰か指定されている場合でも、法定相続人に遺留分が認められるケースがあります。あとになってトラブルにならないよう、相続人が誰なのかということを事前にしっかり確認しておきましょう。

遺言書がない場合、誰が遺産を受け継ぐのかが法律で決められています。「法定相続人」といいます。誰が相続人になるかによって、遺産の割合(「相続分」といいます。)が異なるため、事前の確認が必要です。

遺産を調査する

相続人を確認するのと並行して、どのような遺産があるのかを調べます。通常は自宅の金庫や棚などを探して、通帳や契約書、郵便物などから、遺産を調べていきます。

調べた遺産は、あとで遺産分割協議をするときにわかりやすいように一覧表にまとめます。
相続では、借金などのマイナスの財産も受け継ぎます。どのような借金がいくら残っているのか確認しましょう。

遺言書がない場合、遺産分割協議を行う

有効な遺言書が存在する場合は、基本的には遺言の内容にしたがって相続人の間で遺産を分けることになりますが、遺言が存在しない場合には、相続人同士の話し合いで、遺産をどう分けるかを決めます。この話し合いを、遺産分割協議といいます。

法定相続分のとおりに分けてもよいですし、相続人全員が合意をすれば、法定相続分とは違う割合で分けることもできます。

相続人全員で合意できたら、その内容を遺産分割協議書にまとめます。遺産分割協議書は、遺産の名義変更などの相続手続きに利用します。

関連記事:遺産分割協議書の書き方・文例集【ひな形つき】

不動産の相続登記

遺産分割協議で遺産の分け方が決まったら、遺産を受け継ぐ手続きをします。土地や家の名義変更をするには、不動産の相続登記を行います。

土地や家の登記には、登録免許税という費用がかかります。登録免許税とは、登記を申請するときに国に納める税金です。金額は、不動産価格(課税価格)に税率(0.4%)をかけて算出します。

また、登記には、遺言書や検認証明書、亡くなった人と相続人それぞれの戸籍謄本などの書類が必要です。書類の取得にも費用がかかる場合があります。たとえば、戸籍謄本の取得には1通あたり450円の手数料がかかります。

関連記事:相続登記の義務化はいつから? 過去の相続も対象になる?期限やペナルティも解説

預貯金の払い戻し

預貯金を相続するには、預貯金の払い戻しという手続きが必要です。手続きをするには、口座のある金融機関へ、「相続手続依頼書」などの必要書類を提出します。

相続手続依頼書とは、亡くなった人の預金や貯金をしていた銀行などの金融機関に対して、その預貯金を受け継ぐ権利をもつ人が、預貯金の払戻しなどの手続きを依頼するための書類です。書式は各金融機関で指定されたものを使いましょう。

株式の名義変更

株式などの有価証券の名義変更をする場合は、その種類によって手続きを行う場所が異なります。

上場株式の場合には、証券会社で手続きを行います。非上場株式の場合には、株式の発行会社です。投資信託の場合は、取引のあった証券会社や銀行で手続きを行います。

自動車の名義変更

自動車の名義変更をする場合には、運輸支局か軽自動車協会で手続きをします。自動車の種類と査定額によって手続きを行う場所が異なります。

相続する自動車が普通自動車の場合には、自動車の新しい所有者となる相続人の住所地を管轄する運輸支局で手続きを行います。自動車の査定額によって、提出書類が異なるので確認しましょう。

相続する自動車が軽自動車の場合には、新しい所有者となる相続人の使用の本拠(自動車を使用する場所)を管轄する軽自動車協会で手続きを行います。

相続税の申告・納付

相続税が発生する場合には、申告期限に注意が必要です。相続税は、相続の開始があったこと(被相続人が亡くなったこと)を知った日の翌日から10か月以内に申告と納付を行わなければなりません。

申告方法などがわからない場合には、税務署に相談することができます。

相続手続きで困った場合の相談先

相続手続きを進める上で困った場合には、手続きを行う機関の窓口に相談すると、対応を教えてもらえることが多いです。相続登記なら法務局、預貯金の払い戻しや株式の名義変更なら金融機関、自動車の名義変更は運輸支局や軽自動車協会、相続税なら税務署に相談しましょう。

窓口に相談しても対応しきれない場合には、専門家の力が必要です。遺産分割などの法的な争いがある場合には弁護士、相続登記については司法書士、相続税なら税理士に相談しましょう。

まとめ

相続手続きは、相続人や遺産の状況などによっては、自分で行うこともできます。手続きの流れを把握し、他の相続人とも協力して、期限に遅れないように準備しましょう。手続きを進める上でトラブルが生じた場合には、手続きを行う機関の窓口や専門家に相談しましょう。

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この記事の監修者
監修者の名前
堀田善之弁護士
監修者の所属事務所
堀田法律特許税務事務所

大阪弁護士会所属。元国税職員の弁護士が、法務と税務の両面から相続問題の解決をサポートします。相続税に配慮した遺言書の作成や事業承継にも対応しております。相続問題や事業承継について不安や疑問のある方は、お一人で悩まずに、お気軽にご相談ください。

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