元国税職員の弁護士が相続問題を法務・税務の両面からサポート
大阪市北区に事務所を構える堀田善之弁護士(堀田法律特許税務事務所)は、税務における高い専門性を活かして相続問題の解決に取り組んでいます。国税組織で勤務した経験があり、税務に関する豊富な知見を強みとする堀田弁護士に事務所の特徴や仕事をする上での心構えについて話を伺いました。(大阪弁護士会所属)
インタビュー
相続税にも配慮した問題解決が強み
事務所設立の経緯を教えてください。
まず、弁護士登録をして大阪の法律事務所に入所し、債務整理や交通事故、離婚、相続をはじめ幅広い分野の事案を扱いました。7年半務めたのち、税務分野の知見を深めるために、国税不服審判所の国税審判官として3年、さらに国税局の国際調査審理官として2年勤務しました。
国税不服審判所では、税務署長が行った課税処分が適正か否かを公平な立場で審理・判断する仕事をしていました。その後、国税局では、上場企業や大規模法人の国際取引の税務調査のサポートなどを行いました。5年間、毎日、税務に専念することができたのはとても良い経験でした。
公務員の任期が終わったタイミングで、独立開業しました。事務所がある地域は企業が多く経済活動が活発です。個人の方からの依頼はもちろん、経営者からの依頼も多く、弁護士としての経験と国税審判官・国際調査審理官の経験を活かして、法務と税務の両面からより高い専門性を持ったリーガルサービスを提供していきたいと思っています。
なぜ、税務の知見を深めたいと思ったのですか。
弁護士として働く中で、「法律関係が動くと必ず税金が関係してくる」と感じていましたが、税金に関する法律や制度は専門性が高く、弁護士として苦手意識を持っていました。しかし、会社であれば、税務を理解していたほうがより会社の経営方針に関するアドバイスもしやすくなりますし、相続の案件でも、税務を理解していたほうが、相続問題をよりトータルに解決することができると思っていました。そういった思いから、税務の視点も踏まえたアドバイスができる弁護士になりたいと考え、思い切って税務の世界に飛び込みました。
税務の知見は、相続の案件を手がける際にも活きていますか。
はい。税務に関する知識やノウハウを活かした相続問題の解決は、当事務所の特色であり強みだと考えています。
相続と税金の問題は密接に関連しています。ご相談の中でも「相続税がどれくらいかかるか」や「この遺産分割案で税務署から何か指摘されないか」という質問を受けることがよくあります。
私は、国税不服審判所で相続税の課税処分が正しかったかどうかを調査して判断する仕事を行っていたので、どのような点が問題になりやすいか、また、税務署の調査官の理解を得るためにはどのような証拠が必要になるのかなどを熟知しています。
また、国税局でも、相続税の節税スキームについて相談を受けることがあり、争訟案件だけではなく、調査事案にも関与してきました。
したがって、仮に税務調査が入ることになった場合も、事前に準備しておくことや当日の対応などについて適切にアドバイスすることができます。調査結果に対して不服がある場合は、審査請求のサポートをすることも可能です。これは争訟になった場合の話ですが、そうならないように税務対応を考えて遺産分割案をご提案させていただきます。
信頼関係を構築し、解決までサポート
相続について、どのような相談が寄せられますか。
兄弟による遺産の使い込みや隠匿が疑われる事案のほか、生前贈与をめぐるトラブル、遺言の有効性や遺留分侵害額請求に関する相談など様々です。
また、相続に関するご相談をきっかけに、会社の事業承継のお手伝いをさせていただくこともあります。日本では企業の99%を中小企業が占めると言われていますが、現在、その多くが経営者の代替わりの時期を迎えています。しかし、深刻な後継者不足により、後を継ぐ人がいないために廃業を選択する企業もあります。
私は、知的財産の保護、とりわけ営業秘密の保護を得意にしていますが、企業の廃業とともに技術が失われたり、技術者が海外に引き抜かれるなど、日本の技術力の衰退も深刻な問題です。日本の知財戦略の観点からも中小企業の事業承継は大きな課題だと思っています。政府も中小企業の事業承継に積極的に取り組んでおり、民法特例や事業承継税制、信託などの制度を活用し、中小企業が培ってきた技術・ノウハウを次世代に引き継ぐための力になれればと思い、中小企業の事業承継にも積極的に取り組んでいます。
相続の案件に取り組む上で、心掛けていることを教えてください。
何よりも大切にしているのは、依頼者との信頼関係です。そのために、丁寧なコミュニケーションや迅速かつ的確な対応といった基本を徹底しています。
相続の案件は解決までに時間がかかることが多く、裁判になると2〜3年にわたって争いが続くこともあります。加えて、相続問題は家族間で発生するため、当事者の感情的な対立が熾烈になるケースが少なくありません。まともな話合いができなかったり、相手方から理不尽な要求を突きつけられたりして、精神的に疲弊してしまう依頼者も多いです。そういった相続案件を解決まで依頼者と一緒に歩んでいくためには、弁護士と依頼者との信頼関係が最も大切だと考えています。
争族になる前に早めの相談が肝心
相続問題で相談が遅れてしまうと、どのようなデメリットがありますか。
相続に関しては、相続税の申告や相続放棄、遺留分侵害額請求など一定の期限までに手続きをしないといけないものがあり、期限を徒過してしまうと不利益を被ったりペナルティを受けることがあります。
また、とりわけ相続事案の特徴として、家族間の感情的な対立が背景にあることも多く、家族間だからこそヒートアップしてしまって、弁護士のところに来たときには修復が困難なほどこじれてしまっているというケースもあります。
そうなる前に第三者である弁護士が間に入って、法律のルールに基づいて遺産分割協議を進めることで、スムーズに遺産分割を成立させることができる場合もあります。遺産分割がスムーズに成立することは、相続人全員にとってのメリットであり、その後の良好な親族関係の継続にもつながると思っています。
弁護士に相談するというと、裁判をイメージする方が多いかもしれませんが、実際には遺産分割の話合いの当初からご相談いただくことも多くあります。トラブルになっていなくても、相続に関する手続きについて疑問があれば、ぜひご相談ください。相続の手続きや相続税についてわかりやすくご説明します。
また、弁護士として実感することは、遺言書があればいわゆる争族に発展しなかったというケースが多々あるので、争族の予防という意味では、生前に遺言書を作成しておかれることを強くおすすめしています。
最後に、相続に関する不安や悩みを抱えて弁護士への相談を検討している方に向けて、メッセージをお願いします。
相続は一生に何度も経験することではないので、どのように対応すればよいかわからないという方も多いと思います。
遺産の分け方だけではなく、税金や登記などに関する専門的な知識が必要になるのも相続の特徴です。ご自身で対応することが難しいと感じたら、ぜひ弁護士のサポートを受けることを検討していただければと思います。相続の手続きについてご説明させていただくとともに、必要であれば税理士や司法書士も紹介いたします。
また、相続発生時のトラブルを予防するためにも遺言書の作成をおすすめします。相続税にも配慮した内容の遺言作成をサポートします。
当事務所では、ご相談いただきやすいように、法律相談料を無料にしており、オンラインでのご相談にも対応しております。また、相談したから依頼しないといけないということもありません。ご依頼いただく前には必ず弁護士費用についてもわかりやすく説明させていただきますので、ご安心ください。
相続について不安や疑問がある方は、お一人で悩まずに、ぜひお気軽にご相談ください。