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遺産分割調停中にやってはいけないこと4選、やむを得ず欠席する場合の対応方法も解説
- 監修者の名前
- 今井良輔弁護士
- 監修者の所属事務所
- 虎ノ門法律経済事務所京都支店
遺産分割調停では、自分の主張を適切に調停委員に伝え、できる限り自分の要望に沿った結果を実現したいものです。遺産分割調停中にやってはいけないことを理解して、事前に対応を考えておくとよいでしょう。また、やむを得ず調停を欠席する場合の対処法も押さえておきましょう。
目次
遺産分割調停とは
遺産分割調停とは、遺産の分け方について相続人同士で合意ができない場合に、家庭裁判所の裁判官(家事調停官)と調停委員とで「調停委員会」を構成し、調停委員が間に入って各相続人の主張を聞き取ったり、相続人に解決策の提案やアドバイスをしたりすることで、相続人の合意成立を目指す手続きです。
裁判官や調停委員が第三者として関与するため、相続人同士の話し合いに比べて冷静に話し合いを進めることができるでしょう。また、相続の専門的な知識を持つ裁判官や調停委員が解決案を提示するため、法律的にも公平な解決を期待できます。
遺産分割調停の流れ
(1)遺産分割調停の申請
初めに、一人以上の相続人(あるいは包括受遺者、相続分譲受人)が家庭裁判所に調停の申立てをします。
(2)家庭裁判所が調停の日程を設定
申立て後、家庭裁判所は調停の日程(調停期日)を設定し、それを全ての相続人に通知します。最初の調停期日は通常、申請から約1〜2か月後に開かれます。
調停は平日の日中に実施され、一回あたりの所要時間はおおよそ2時間です。
(3)調停期日
調停委員会は、遺産の帰属先や比率などについて、申請者と相手方の双方から意見を聞き、合意に至るための調整、説得を行います。
(4)調停成立または不成立
調停が成立すると、遺産分割調停が成立すると、家庭裁判所は合意の内容を記した「調停調書」を作成します。
初回の調停で合意が得られなかった場合、次の調停期日は約1〜2か月後に予定されることが一般的です。複数回の調停が行われても合意が得られないと調停委員が判断すると、調停は不成立に終わり、審判手続に移ります。この移行は自動的に行われ、別途審判の申立てをする必要はありません。
遺産分割調停でやってはいけないこと
無断欠席・遅刻
遺産分割調停は、欠席したからといってただちに不利な判断がなされることはありません。しかし、自分の意見や主張を伝える機会を失うことで、自分の意見が考慮されずに、結果的に不利な状況を招く可能性があります。
裁判所が遠方の場合や、都合がつかない場合には、裁判所に事前に連絡するか、弁護士に代わりに出席してもらうことを検討しましょう。
感情的な主張を繰り返す
遺産分割調停では、感情的な主張が出てしまうことは致し方ありません。もっとも、遺産分割調停は相続人全員の合意の成立を目指す手続きですので、感情的な主張ばかりでは建設的とは言えません。話し合いでの解決が難しいと調停委員に判断されて、調停が不成立になる可能性もあるので、冷静に主張を伝えることも大切です。
他の相続人の主張に一切耳を傾けない
遺産分割調停で相続人全員の合意を成立させるには、他の相続人の主張や意見を聞くことも大切です。自分の意見はしっかり主張しつつ、譲歩してもよいと思える部分やお互いにWin-Winになれる部分を見出すことで、話し合いがスムーズに進みます。
嘘をつく
遺産分割調停では事実関係を正確に伝えることが大切です。嘘をついたり事実をごまかしたりしても、客観的な証拠資料が他の相続人から提出されれば嘘が発覚してしまいます。もし嘘が発覚した場合には、調停委員や他の相続人からの信頼が失われ、他の主張についても嘘をついているのではないかと疑われる恐れがあります。
もし、自分に不利な事情があり、調停での伝え方に不安がある場合には、事前に弁護士に相談して対策を練りましょう。
やむを得ず遺産分割調停を欠席する場合の対応
遺産分割調停に出席できない場合には、以下のような対応策を検討しましょう。
裁判所に期日変更を申し立てる
裁判所に期日変更の申立てをすることで、調停期日を変更してもらえる可能性があります。 期日変更の申立ては原則書面で行います。申立書の書式は裁判所に問い合わせましょう。
ただし、期日変更の申立をしても、実際に期日を変更するかどうかは担当裁判官の判断に委ねられているため、変更が認められない場合もあることに注意が必要です。
電話会議やテレビ会議で参加する
遠隔地に住んでいる場合でも、裁判所の電話会議システムやテレビ会議を利用することで調停期日に参加できる可能性もあるので、裁判所に相談してみましょう。
電話会議システムやテレビ会議を利用する場合には、最寄りの家庭裁判所に出頭して、その裁判所の電話会議システムやテレビ会議を利用するという方法になります。自宅からは参加できない点に注意が必要です。具体的な利用方法については、家庭裁判所に問い合わせましょう。
弁護士に依頼して代わりに出席してもらう
遺産分割調停を弁護士に依頼することで、代理人として本人の代わりに調停に出席してもらうことができます。 すべての期日を弁護士に出席してもらうことも可能です。
司法書士には遺産分割調停の代理権が認められていないため、代理人には弁護士を選ぶ必要があります。
遺産分割調停を弁護士に依頼するメリット
遺産分割調停を弁護士に依頼することには、以下のようなメリットがあります。
遺産分割調停に代理人として出席してもらえる
弁護士に遺産分割調停を依頼すると、本人の代わりに調停期日に出席してもらうことができます。 本人が期日に出席できない場合でも、代わりに本人の主張を伝えてもらえますし、書面作成や証拠書類の準備も任せられます。
法的に説得力のある主張や立証ができる
遺産分割調停において自分に有利な条件を得るためには、主張を的確に伝えるだけでなく、それを裏付ける客観的な証拠を提出する必要があります。法律の専門家である弁護士に依頼すれば、こちらの主張を法的観点から整理し、適切な証拠を選ぶことができます。
法的に整理された主張や証拠は、調停委員会の理解を得られやすいため、有利な展開になることも期待できるでしょう。
早期解決を目指せる
弁護士に依頼することで、法的に整理された冷静な話し合いを行うことが期待できる結果、早期に合意が成立する可能性が高まります。
まとめ
遺産分割調停では、他の相続人に対する主張を、法的な観点も踏まえた上で、冷静に調停委員会に伝える必要があります。自分の意見をどこまで率直に伝えるべきか、あるいは譲歩すべきか、判断に迷うこともあるでしょう。調停の進め方に不安がある場合には、ぜひ弁護士に相談してみてください。法律の専門家として、客観的で冷静なアドバイスを得られるでしょう。
- 監修者の名前
- 今井良輔弁護士
- 監修者の所属事務所
- 虎ノ門法律経済事務所京都支店
京都弁護士会所属。当事務所は東京本店を基軸に全国に30以上のオフィスを展開しており、それぞれが地域に密着した法サービスを提供しています。特に相続の不動産の扱いに幅広いノウハウがあり、最適なリーガルプランを提供します。
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