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成年後見人の登記事項証明書の請求方法|申請書類や有効期限についても解説

成年後見に関する登記事項証明書は、成年後見人が本人を代理して法律行為をする場合や、本人がした法律行為を取り消す場合などに必要です。 この記事では成年後見に関する登記事項証明書の請求方法や必要書類、有効期限などを解説します。

成年後見に関する登記事項証明書とは?

家庭裁判所の審判によって成年後見が開始すると、成年後見に関する事項が登記されます。登記事項は、法務局が発行する登記事項証明書によって確認できます。

登記事項証明書の記載により、本人(成年被後見人)について後見が開始されている旨や開始時期、成年後見人の情報などを証明できます

成年後見に関する登記事項証明書の記載内容

成年後見に関する登記事項証明書には、以下の事項が記載されます(後見登記等に関する法律4条1項)。特別の事情がある場合を除いて、下記のうち1~3と9が記載されることが多いです。

  1. 後見等の種別、開始の審判をした裁判所、その審判の事件の表示および確定の年月日
  2. 成年被後見人の氏名、出生の年月日、住所および本籍(外国人にあっては、国籍)
  3. 成年後見人の氏名または名称および住所
  4. 成年後見監督人が選任されたときは、その氏名または名称および住所
  5. 数人の成年後見人または数人の成年後見監督人が、共同してまたは事務を分掌して、その権限を行使すべきことが定められたときは、その定め
  6. 後見等が終了したときは、その事由および年月日
  7. 成年後見人または成年後見監督人の職務の執行を停止する審判前の保全処分がされたときは、その旨
  8. 成年後見人または成年後見監督人の職務代行者を選任する審判前の保全処分がされたときは、その氏名または名称および住所
  9. 登記番号

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出典:「成年後見登記に関する証明書の見本について」(東京法務局)

成年後見に関する登記事項証明書が必要になる場面

成年後見に関する登記事項証明書が必要になるのは、たとえば以下のような場面です。

  1. 本人を代理して成年後見人が法律行為をする場合
    介護施設への入居や不動産の購入などの手続きを、成年後見人が本人(成年被後見人)に代わって行う場合は、成年後見人であることの証明書類として登記事項証明書の提示を求められます。

  2. 本人がした法律行為を取り消す場合
    日常生活に関する行為を除き、本人(成年被後見人)がした契約などの法律行為を取り消すことができます(民法9条)。成年被後見人の法律行為を取り消す際には、それが取り消し得る行為であることを証明するため、登記事項証明書を提示します。

登記されていないことの証明書が必要になる場面

成年後見が開始されていることを証明すべき場面がある一方で、成年後見人などがついている本人(成年被後見人)ではないことを証明すべき場面もあります。

たとえば、成年被後見人等であることが欠格事由とされている資格の登録を受ける際には、成年被後見人等でないことを証明しなければなりません。

成年被後見人等でない場合は、法務局に「登記されていないことの証明書」を請求できます。「登記されていないことの証明書」には、成年被後見人等として登記されていないことの証明が記載されます。

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出典:「成年後見登記に関する証明書の見本について」(東京法務局)

成年後見に関する登記事項証明書の請求方法

成年後見に関する登記事項証明書の請求方法について、以下の事項を解説します。

  1. 請求できる人
  2. 請求先
  3. 必要書類
  4. 交付手数料

登記事項証明書を請求できる人

成年後見に関する登記事項証明書を請求できるのは、以下のいずれかに該当する人です。

  1. 成年被後見人、成年後見人または成年後見監督人として登記されている者
  2. 成年被後見人の四親等内の親族
  3. 1または2に当たる者から委任を受けた者(代理人)

登記事項証明書の請求先

成年後見に関する登記事項証明書の請求先は、東京法務局後見登録課または全国の法務局・地方法務局の本局の戸籍課です。支局・出張所では請求できません。

各法務局の窓口での請求については、住所や本籍にかかわらず、どの法務局の窓口でも行うことができます。

また、東京法務局後見登録課に限り、郵送およびオンラインでの請求も可能です。

郵送請求の送付先は、以下のとおりです。
〒102-8226 東京都千代田区九段南1-1-15 九段第2合同庁舎4階

登記事項証明書の請求の必要書類

成年後見に関する登記事項証明書を請求する際の必要書類は、以下のとおりです。

<成年被後見人、成年後見人または成年後見監督人が請求する場合>

  1. 申請書
  2. 本人確認書類
    (例)運転免許証、健康保険証、パスポート、マイナンバーカードなど)
  3. 申請者が法人の場合、法人の代表者の資格を証する書面(発行から3か月以内)
    ※会社法人等番号を申請書に記載すれば、2は省略可能

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出典:「(成年後見人等の)登記事項証明書」の発行手続きについて」(那覇地方法務局)

<成年被後見人の四親等内の親族が請求する場合>

  1. 申請書
  2. 四親等内の親族の本人確認書類
  3. 四親等内の親族であることを証する戸籍謄抄本や住民票など(発行から3か月以内)

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出典:「(成年後見人等の)登記事項証明書」の発行手続きについて」(那覇地方法務局)

<代理人が請求する場合>

  1. 申請書
  2. 代理人の本人確認書類
  3. 成年被後見人の四親等内の親族から委任を受けている場合は、委任者が四親等内の親族であることを証する戸籍謄抄本や住民票など(発行から3か月以内)
  4. 委任状
  5. 委任者または代理人が法人の場合、法人の代表者の資格を証する書面(発行から3か月以内)
    ※会社法人等番号を申請書に記載すれば、4は省略可能
    なお、郵送請求の場合は上記に加えて、返送先を明記して郵便切手を貼った返信用封筒を同封する必要があります。

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出典:「(成年後見人等の)登記事項証明書」の発行手続きについて」(那覇地方法務局)

登記事項証明書の交付手数料

成年後見に関する登記事項証明書の交付手数料は、以下のとおりです。

窓口請求または郵送請求 1通につき550円
オンライン請求 1通につき380円(紙の場合)
※電子的な証明書は1通につき320円
※速達・簡易書留・書留による送付を希望する場合は、その料金を加算

成年後見に関する登記事項証明書の有効期限

成年後見に関する登記事項証明書について、有効期限は特に定められていません

ただし、提出先の行政機関や会社などの判断により、古すぎる登記事項証明書は受理されない場合があります。一般的には、発行から1か月以内・3か月以内・6か月以内などと期間を指定しているケースが多いです。

まとめ

成年後見に関する登記事項証明書は、本人を代理して成年後見人が法律行為をする場合や、成年被後見人がした法律行為を取り消す場合などに提示が必要となります。

成年後見に関する登記事項証明書が必要になった場合は、東京法務局後見登録課または全国の法務局・地方法務局の本局の戸籍課に発行を請求しましょう。

窓口での請求のほか、東京法務局後見登録課に限り郵送またはオンラインでも請求できます。なお、交付手数料は窓口請求・郵送請求よりもオンライン請求が若干安くなっています。

成年後見に関する登記事項証明書に有効期限はありませんが、提出先の行政機関や会社などの判断により、古すぎる登記事項証明書は受理されないことがあります。登記事項証明書を提出する際には、提出先ごとに有効期限の取り扱いを確認しましょう。

成年後見に関する登記事項証明書について、分からないことがあれば法務局の担当者へご相談ください。
画像素材:PIXTA

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今井良輔弁護士
監修者の所属事務所
虎ノ門法律経済事務所京都支店

京都弁護士会所属。当事務所は東京本店を基軸に全国に30以上のオフィスを展開しており、それぞれが地域に密着した法サービスを提供しています。特に相続の不動産の扱いに幅広いノウハウがあり、最適なリーガルプランを提供します。

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