丁寧な対話を通して問題の核心を掴み、解決の道筋を提示。遺恨を残さないためにも早めの相談を
兵庫県姫路市で相続問題に取り組む「姫路さくら法律事務所」の高橋朋子弁護士(兵庫県弁護士会)に、仕事をする上で大切にしていることや、相続でよくある相談内容などについて聞きました。揉め事につながりやすい不動産相続や、依頼者の希望を実現するための証拠集めの重要性などについても解説してもらいました。
インタビュー
誰でも安心して悩みを話せる場所でありたい
姫路さくら法律事務所について教えてください。
元々は先代である父が40年以上にわたって運営していた事務所です。私は2010年の弁護士登録後に入所して、2019年に運営を引き継ぎました。相続、離婚などの家事事件や不動産に関する相談を多数扱っており、犯罪被害者支援活動にも積極的に取り組んでいます。
元々、私は、大学卒業後にIT企業に約10年間勤務していました。法律の知識については、退職後に一から勉強して身につけました。法曹界以外の世界も知っていることは、自分の強みだと思っています。
弁護士事務所は、法律になじみのない方にとっては敷居が高い存在かもしれません。「こんなことを聞いて良いのだろうか」と心配して、相談に行くのを躊躇する方もおられるでしょう。そのような方でも気軽に訪れることができ、安心して悩みを話せる場所でありたいと考えています。
わかりやすく説明し、依頼者の意思決定をサポート
相続問題では、どのような相談が寄せられますか。
やはり多いのは、不動産が絡むご相談ですね。「不動産があるけれども、管理が大変なので相続したくない」「不動産の名義が先代のままだけども、相続放棄できるのか」などといったご相談は割とあります。
また、遺産分割の話し合いが難航しているという相談もよくあります。相続しても管理が大変な山林や、老朽化していて解体費用のかかる空き家などを相続人同士で押し付け合って揉めるケースが見受けられます。とはいえ、最終的には誰かが引き継がなければなりません。
不動産以外の相続財産がほとんどない場合、不動産を取得する人は、他の相続人に対して代償金と呼ばれるお金を支払うことになります。ただ、その代償金を支払う資力がない場合、話し合いは難航します。
全員が満足して合意できるケースは稀で、やはりどの相続人もどこかで譲歩することになります。相続人全員が折り合える着地点を見出すことが、相続問題の解決のポイントといえます。
相続がすでに発生しているケースだけではなく、今後の相続に備えたご相談も承っています。財産を持っておられる方から遺言書の作成を依頼されることもありますし、ご高齢の親御様の財産管理について相談に来られる方もおられます。
相続案件を手がける上で、心掛けていることはありますか。
悩みを丁寧に聞いて整理し、問題の核心を分かりやすく説明することです。
問題に対してどう対処するか、最終的に意思決定するのは依頼者ご自身です。弁護士の役目は、依頼者の意思決定を法律的な見地からサポートすることだと考えています。
適切な意思決定をしていただくためには、弁護士が依頼者のお考えを正確に引き出すことと、依頼者に問題のポイントを適切に理解していただくことだと考えています。
そのためには、適時のタイミングで打ち合わせを重ね、できる限りコミュニケーションを取るようにしています。
徹底した調査で証拠を確保し、依頼者の利益を守る
依頼者とのコミュニケーションを大切にされているのですね。
そうですね。依頼を受けた後もこまめにコンタクトを取るようにしています。状況が変わるごとに今後の見通しを改めて説明し、依頼者の意向を確認し直すように努めています。
相続案件においてもう1つ欠かせないのは、徹底した調査です。
調停でも交渉でも、客観的な証拠がなければ、こちらの言い分を相手方に説得的に主張することができません。
そのためには、例えば、被相続人の銀行口座の取引履歴を一つひとつ追っていき、不自然なお金の動きがないかどうかをチェックしていきます。膨大な記録を取りこぼさず、一つひとつ丹念に見ていくと、依頼者の主張を裏付ける事実や相手方の言い分と矛盾する部分が見えてきます。
代理人同士の交渉、調停、訴訟いずれの手段で解決をはかるにしても、証拠をそろえておくことがカギを握ります。地道な作業になりますが、解決のためには証拠が命となるので、徹底した調査は欠かせません。
相続問題を弁護士に相談・依頼するメリットを教えてください。
問題解決に向けて具体的な選択肢を知ることができることです。依頼者の希望が実現可能かどうかの見通しや、必要な手続き、着手する順番など、解決までのプロセスについてアドバイスします。
弁護士に依頼された場合は、煩雑な手続きや対立する相手方との交渉を自分でしなくて済むので、ストレスを最低限に抑えることができます。
また、相続では登記や相続税に関する手続きが必要な場合がありますが、当事務所では司法書士や税理士をご紹介することも可能です。不動産の売却や査定が必要なときには業者の紹介も可能です。
対立状態が長引いてしまう前に相談を
相続問題で悩みを抱えている方にメッセージをお願いします。
まずは気軽にお問い合わせください。当事務所では、初回相談に先立ち、お電話で、悩みの概要や依頼者が気になっているポイントを聞き取ります。相談時は、その情報やご持参いただいた資料を元に、より具体的な話を伺います。そして、解決に向けてどのような手続きが必要で、どのような順番で取り組んでいくべきか、今後の道筋をお伝えします。
相続では、当事者が感情的に対立することが少なくありません。当人同士ではまともな話し合いができない場合、弁護士が入って法律のルールに基づいて交渉を進めることで、感情が落ち着きスムーズな協議成立を目指せます。
対立状態が長引くと、弁護士が入っても解決に時間がかかったり、相続の手続きが終わった後もしこりが残ったりする可能性があります。話し合いがうまくいかないなと思った時点で、早めにご相談していただけると幸いです。