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相続登記の義務化は2024年4月1日から!過去の相続も対象になる?期限やペナルティを解説
2024年4月1日に改正不動産登記法が施行され、相続登記が義務化されます。過去に発生した相続も一律で義務化の対象となるため、不動産を相続した場合は速やかに相続登記の手続きを行いましょう。この記事では、相続登記の義務化について解説します。
目次
相続登記の義務化とは
相続登記の義務化とは、不動産登記法の改正によって相続登記が義務付けられることをいいます。
相続登記とは
「相続登記」とは、相続または遺贈による不動産の取得につき、法務局または地方法務局に申請して登記してもらうことをいいます。
相続登記を経ることにより、不動産を取得した者が登記簿によって所有者として公示されます。その結果、不動産が所有者不明となる事態を防ぐことができます。
また、登記は不動産に関する物件の得喪・変更の対抗要件とされています(民法177条)。これは、相続登記の手続きを行って所有権登記をしないと不動産の所有権を第三者に対抗できないということです。
不動産の売却や賃貸などを行う際にも、買主(賃借人)は売主(賃貸人)に所有権登記があることを確認するのが通常です。
相続登記が義務化される理由
改正不動産登記法の施行により、相続登記は義務化されることが決まっています。相続登記が義務化されるのは、全国的に深刻化している「所有者不明土地」の問題を解決するためです。
所有者不明土地とは、登記簿を見ても誰が所有者であるか分からない土地をいいます。多くの場合、相続の際に相続登記の手続きが行われなかった結果、過去の所有者がいつまでも登記簿に記載された状態になっています。
所有者不明土地については、土地の所有者を把握することが困難です。
たとえば周辺の再開発を行うに当たり、国や自治体がその土地を買い取りたいと思っても、誰を相手に売買の交渉をすればよいのか分かりません。そうなると、土地の有効活用が阻害されてしまいます。
また、所有者不明土地は管理が行き届いておらず、荒廃などによって周囲の環境に悪影響を及ぼしているケースもあります。本来であれば所有者が土地を適切に管理すべきですが、所有者不明土地は所有者が誰だか分からない状態のため、誰にその土地の管理を命じればよいのか不明です。
こうした状況を改善するため、所有者不明土地の問題を解決する目的で一連の法改正が行われました。これまで「相続土地国庫帰属制度」の導入や、民法における土地および建物に特化した財産管理制度の創設・共有制度の見直し・相隣関係の見直しなどがすでに施行されています。
相続登記の義務化も、所有者不明土地の問題を解決するための法改正の一環です。相続が発生するたびに相続登記を義務付けることで、長年登記手続きが行われずに土地の所有者が不明となる事態を防ぐことを目的としています。
相続登記の義務化はいつから?過去の相続も対象?
相続登記が義務化されるのは、改正不動産登記法が施行される2024年4月1日からです。改正法が施行されるより前に発生した相続も、相続登記の義務化の対象となります。
義務化後の相続登記の期限
改正不動産登記法によって相続登記が義務化されると、相続または遺贈によって不動産の所有権を取得した者は、以下の期限までに相続登記の手続きを行うことが義務付けられます。
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2024年4月1日以降に相続が発生した場合
自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日から3年以内(改正不動産登記法76条の2第1項)
※相続登記後に遺産分割がなされた場合は、遺産分割の日から3年以内に再度の相続登記の申請が必要(同条2項) -
2024年3月31日以前に相続が発生した場合
1の日または2024年4月1日のいずれか遅い日から3年以内(同法附則5条6項)
※早くとも2027年4月1日
相続登記の手続き(通常の相続登記と相続人申告登記)
相続登記の義務を果たすためには、通常の相続登記(所有権移転登記)または相続人申告登記を申請しなければなりません。
通常の相続登記(所有権移転登記)
通常の相続登記(所有権移転登記)を申請する際には、不動産の所在地を管轄する法務局または地方法務局に対して、登記申請書と添付情報を提出します。
相続登記の添付情報
<共通>
- 不動産を取得する人の戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)または戸籍個人事項証明書(戸籍抄本)
- 被相続人の本籍の記載がある住民票の除票または戸籍の附票の写し(登記上の住所と本籍が一致する場合は不要)
- 不動産を取得する人の本籍の記載がある住民票または戸籍の附票の写し
- 不動産の固定資産評価証明書
- 委任状(司法書士等に手続きを委任する場合のみ)
<遺言書に基づき不動産を取得した場合>
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被相続人の死亡の記載がある戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)、除籍全部事項証明書(除籍謄本)または改製原戸籍謄本
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遺言書(原本。ただし、公正証書遺言の場合は正本または謄本、法務局で保管されている自筆証書遺言の場合は遺言情報証明書)
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家庭裁判所の検認済証明書(公正証書遺言または法務局で保管されている自筆証書遺言については不要)
<遺産分割に基づき不動産を取得した場合>
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被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)、除籍全部事項証明書(除籍謄本)または改製原戸籍謄本
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相続人全員の戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)または戸籍個人事項証明書(戸籍抄本)
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以下のいずれかの書類
- 遺産分割協議書および相続人全員の印鑑登録証明書(協議の場合)
- 調停調書(調停の場合)
- 審判書および確定証明書(審判の場合)
相続人申告登記
通常の相続登記(所有権移転登記)のほか、2024年4月1日以降は「相続人申告登記」も認められます(必要書類等は未公表)。申請先は同じく、不動産の所在地を管轄する法務局または地方法務局です。
相続人申告登記は各相続人が単独で申請でき、登録免許税はかかりません。手間なく費用をかけずに、相続登記の義務を果たすことができます。
ただし、相続人申告登記は不動産の所有権に関する対抗要件としては認められません。不動産の所有権の取得を第三者に対抗するには、通常の相続登記(所有権移転登記)を経る必要があります。
相続登記をしないとどうなる?
相続登記の義務化以降、不動産登記法に基づく期限までに相続登記の手続きを行わないと、「10万円以下の過料」に処されます(改正不動産登記法164条)。
また、相続登記を経ていない状態では、不動産の売却・賃貸などができません。さらに、他の相続人が勝手に共有持分を売却すると、不動産の権利の一部を失ってしまうおそれがあります。
このような事態を避けるためにも、相続または遺贈によって不動産を取得した場合は、速やかに相続登記の手続きを行いましょう。
相続登記に関してよくある質問
Q.相続登記は自分でできますか?
相続登記の手続きは司法書士に依頼するのが一般的ですが、法務局または地方法務局にて自分で行うこともできます。自分で相続登記の手続きを行えば、司法書士に依頼する場合に比べて費用を節約できますが、手間がかかるため時間・労力・不動産の状況などを総合的に考慮して判断しましょう。
相続登記の手続きの流れについては、以下の記事でくわしく解説しているので、あわせてお読みください。
関連記事:相続登記は自分でできる?手続きの流れや必要書類、費用を解説
Q.相続登記にかかる費用は?
相続登記するには、公的書類の取得費用や登録免許税がかかります。公的書類の取得費用は数千円、登録免許税の額は、不動産の固定資産税評価額や、取得した人(相続人かそれ以外か)によって異なります。
また、相続登記の手続きを司法書士や弁護士に依頼した場合は、別途報酬などの費用がかかります。
登録免許税の計算式や相続登記の費用を抑える方法などについては、以下の記事でくわしく解説しているので、あわせてお読みください。
関連記事:相続登記にかかる費用は?自分でやる場合、司法書士に依頼する場合をそれぞれ解説
まとめ
2024年4月1日から改正不動産登記法が施行され、相続または遺贈による不動産の取得を知った日から3年以内に相続登記の手続きを行うことが義務付けられます。
相続登記の義務を果たすには、通常の相続登記(所有権移転登記)または相続人申告登記を申請しなければなりません。登記申請は司法書士に依頼するのが一般的ですが、弁護士に相談すれば、多くの場合司法書士の紹介を受けることができます。
不動産の相続をスムーズに完了するため、司法書士と連携している弁護士に相談してみましょう。
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