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相続放棄申述受理証明書の取得方法は?申請書のダウンロード先や書き方の見本も紹介

- 監修者の名前
- 阿部由羅弁護士
相続放棄をしたことを証明する必要がある場合は、「相続放棄申述受理証明書」を提示しましょう。相続放棄申述受理証明書は、家庭裁判所に申請すれば発行してもらえます。この記事では相続放棄申述受理証明書の取得方法について、申請書のダウンロード先や書き方などもあわせて解説します。
目次
相続放棄申述受理証明書とは
「相続放棄申述受理証明書」とは、相続放棄の申述を受理したことを家庭裁判所が証明する書類です。
相続放棄は、家庭裁判所に申述書等を提出して行います。相続放棄申述受理証明書を提示すれば、相続放棄の申述手続きが正しく行われ、家庭裁判所が適法に受理したことを証明できます。
ただし、相続放棄申述受理証明書はあくまでも、家庭裁判所が相続放棄を受理した事実を証明する書類に過ぎません。
相続債権者は、相続放棄が受理されている場合でも、相続財産の処分や隠匿などによる法定単純承認(民法921条)の成立を理由に、相続放棄の無効を主張することはできます。
相続放棄申述受理証明書は、相続放棄が確定的に有効であること(=法定単純承認事由が存在しないこと)を証明する書面ではない点にご注意ください。
相続放棄申述受理証明書と相続放棄申述受理通知書の違い
相続放棄申述受理証明書と同じく、相続放棄に関して家庭裁判所が発行する書類として「相続放棄申述受理通知書」があります。
相続放棄申述受理証明書と相続放棄申述受理通知書の違いは、下表のとおりです。
相続放棄申述受理証明書 | 相続放棄申述受理通知書 | |
---|---|---|
内容 | 家庭裁判所が相続放棄の申述を受理したことの証明 | 家庭裁判所が相続放棄の申述を受理したことの通知 |
発行を受ける人 | 申述人(本人)、他の相続人・債権者その他の利害関係者 | 申述人(本人)のみ |
発行時期 | 申請時 | 相続放棄の受理時 |
発行を受けるための手続き | 家庭裁判所への申請 | 受理されれば、申請なしで送られてくる |
発行回数 | 申請すれば何度でも | 1回のみ |
発行費用 | 1通当たり150円 | 無料(相続放棄の費用に含まれている) |
家庭裁判所が相続放棄の申述を受理したことを正式に証明する書類は、相続放棄申述受理証明書です。
ただし相続放棄申述受理通知書も、家庭裁判所から送られてくる書類であるため、証明書類としての機能を有します。
不動産の相続登記の手続きにおいては、相続放棄申述受理通知書の提出も認められています。また、相続債権者や相続手続きを受け付ける金融機関も、相続放棄申述受理通知書を許容するケースが増えています。
相続放棄申述受理証明書が必要なケース
相続放棄申述受理証明書が必要になるのは、主に以下の場面です。
- 相続債権者から支払いを求められた場合
- 不動産の相続登記手続きをする場合
- 金融機関で相続手続きをする場合
相続債権者から支払いを求められた場合
相続放棄をすると、亡くなった被相続人の債務(借金や税金など)を支払う必要がなくなります。しかし、相続放棄をしたことを知らない債権者は、引き続き相続債務の支払いを請求してくる可能性が高いです。
相続債権者に対して相続放棄をした旨を伝えた際には、相続放棄申述受理証明書の提示を求められることがあります。債権者としては、本当に相続放棄をしたのかどうか確認する必要があるためです。
相続放棄申述受理証明書を提示すれば、債権者は相続放棄が行われたことを理解し、請求をやめることになるでしょう。
不動産の相続登記手続きをする場合
不動産を相続した場合は、法務局において相続登記の手続きを行うことになります。
相続登記の手続きに当たっては、適法に確定した相続の内容を証明しなければなりません。その証明に当たって、相続放棄申述受理証明書の提出を要する場合があります。
具体的には、相続放棄をした者がいる状況において、以下のいずれかに当たる場合に相続放棄申述受理証明書の提出が必要です。
-
法定相続分による相続登記をする場合
相続放棄によって法定相続分が変動するので、相続放棄申述受理証明書を提出する必要があります。 -
遺産分割協議に基づき相続登記をする場合
相続放棄によって遺産分割協議に参加すべき者が変わるので(相続放棄者が参加しなくなる、後順位相続人が相続権を取得する)、相続放棄申述受理証明書を提出する必要があります。
金融機関で相続手続きをする場合
亡くなった被相続人の預貯金や有価証券については、口座がある金融機関(銀行・証券会社)で相続手続きを行って払い戻しを受けることになります。
金融機関の相続手続きにおいても、不動産の相続登記と同様の理由で、相続放棄申述受理証明書の提出が必要な場合があります。
すなわち、相続放棄をした者がいる状況において、以下のいずれかに当たる場合に相続放棄申述受理証明書の提出が必要です。
- 法定相続分に従って払い戻しを受ける場合
- 遺産分割協議に基づき払い戻しを受ける場合
相続放棄申述受理証明書の取得方法
相続放棄申述受理証明書は、申述を行った家庭裁判所に申請すれば発行を受けられます。来庁または郵送での申請が可能です。
発行申請時の必要書類は、以下のとおりです。
-
申請書
-
身分証明書(個人の場合、コピー可)
運転免許証、健康保険証、個人番号カードなど -
資格証明書(法人の場合、原本)
履歴事項全部証明書、代表者事項証明書 -
利害関係の疎明資料(申述人本人以外が申請する場合、コピー可)
<相続人が申請する場合>
・被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本
・申請者の戸籍謄本など
<相続債権者が申請する場合>
・被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本
・債権者であることを証する資料(契約書など)
・被相続人の住民票の除票、戸籍附票、印鑑登録証明書など -
収入印紙150円分
-
返送用封筒(郵送申請の場合、住所・宛名を記載)
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返送用郵便切手(郵送申請の場合、金額は家庭裁判所に要確認)
相続放棄申述受理証明書の申請書、書き方と見本を紹介
相続放棄申述受理証明書の申請書様式は、家庭裁判所によって異なります。
基本的には、申請先の家庭裁判所の様式を用いることが望ましいです。相続放棄時の照会書面に同封されていた申請書が手元にあれば、それを用いるのがよいでしょう。
申請先の家庭裁判所の様式を用いなくても、申請書に必要事項が記載されていれば受理されるケースが大半です。申請先の家庭裁判所が遠方の場合は、別の家庭裁判所のものでも構わないので、裁判所ウェブサイトから様式をダウンロードして利用しましょう。
たとえば東京家庭裁判所では、相続放棄受理証明書(=相続放棄申述受理証明書)の申請書および記載例(見本)をウェブサイトに掲載していますので、必要に応じてご利用ください。
まとめ
相続放棄をした事実は、相続放棄受理証明書によって証明できます。申述人本人や他の相続人・債権者その他の利害関係者は、申述を受理した家庭裁判所に対して、相続放棄受理証明書の発行を請求可能です。
相続放棄受理証明書は、相続債権者から請求を受けた場合や、相続登記および預貯金の相続手続き等において必要になることがあります。申請書類を揃えた上で、相続放棄の申述をした家庭裁判所に発行を申請しましょう。
相続放棄受理証明書の申請手続きについて、分からないことがあれば、申請先の家庭裁判所にご相談ください。必要書類や手数料などについて案内を受けられます。

- 監修者の名前
- 阿部由羅弁護士
ゆら総合法律事務所代表弁護士(埼玉弁護士会所属)。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。企業法務・ベンチャー支援・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。
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