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孫に遺産を相続させるには?財産を渡す方法や注意点などを解説

配偶者や子どもだけでなく、孫にも自分の財産を与えたいと考える方はたくさんいらっしゃいます。孫は法定相続人でないため、財産を与えるためにはなんらかの対策が必要です。弁護士のアドバイスを受けながら、家庭の状況に合わせた対策を検討しましょう。 この記事では、孫に遺産を相続させる方法、相続以外で孫に財産を渡す方法、孫に財産を渡す際の注意点などを解説します。

孫に遺産を相続させることはできるのか?

子どもの死亡などによって代襲相続が発生した場合を除き、孫はご自身の法定相続人ではありません。したがって、特に何も相続対策をしなければ、孫に遺産を相続させることはできなくなってしまいます。

しかし生前の元気なうちに、遺言書や養子縁組などを通じて相続対策を行えば、孫に遺産を相続させることもできます。

また、生前贈与や家族信託によって孫に財産を与えることや、生命保険の受取人に孫を指定することも可能です。

孫に財産を与えたいと考えている方は、早めに弁護士へ相談して相続対策を行いましょう。

孫に遺産を相続させる方法

孫に遺産を相続させる方法は、主に以下の3通りです。

  1. 遺言書を作成する(遺贈をする)
  2. 孫と養子縁組をする
  3. 代襲相続人として遺産を相続させる

遺言書を作成する(遺贈をする)

遺言書を作成すれば、遺産の分け方をご自身で自由に指定できます(民法964条)。

遺言書によって財産を贈与することは「遺贈」と呼ばれます。孫に対して遺贈を行うことも可能です。

遺言書は、民法の方式(自筆証書・公正証書・秘密証書など)に従って作成しなければなりません方式要件を満たさない遺言書は無効になってしまうので、弁護士に作成サポートを依頼することをおすすめします。

孫と養子縁組をする

孫と養子縁組をすれば、孫はご自身の子として相続権を取得します。この場合、孫の相続分は実子と同じです。

孫と養子縁組をする際には、養親・養子いずれかの本籍地または住所地の市区町村役場に、養子縁組届などの必要書類を提出します。

代襲相続人として遺産を相続させる

ご自身が死亡した時点で子がすでに死亡している場合や、相続欠格(民法891条)または相続廃除(民法892条)によって相続権を失っている場合には、さらにその子である孫が「代襲相続」によって相続権を取得します(民法887条2項)。

このうち「相続廃除」については、子による著しい非行があった場合に、被相続人となるご自身にて家庭裁判所に申立てを行うことができます。親不孝の子よりも孫に遺産を相続させたいと考えている方は、相続廃除の申立てをご検討ください。

相続以外で孫に財産を渡す方法

相続の場面以外でも、以下の方法によって孫に財産を渡すことができます。

  1. 生前贈与をする
  2. 孫を家族信託の受益者とする
  3. 孫を生命保険の受取人にする

生前贈与をする

ご自身が存命中の段階で、孫に対して生前贈与を行えば、早い段階から財産を活用してもらうことができます。

生前贈与を行う際には、孫との間で贈与契約書を締結しましょう。孫が未成年者(18歳未満)の場合は、法定代理人(孫の親)が代理で贈与契約書を締結します。

孫を家族信託の受益者とする

家族信託とは、家族などに財産を預けて、代わりに管理してもらう仕組みです。「民事信託」とも呼ばれます。

家族信託では、受託者が信託財産を受益者のために管理します。たとえば、預貯金を信頼できる家族(受託者)に管理してもらい、そこから孫(受益者)へ定期的にお金を渡すなどの活用方法が考えられます。

家族信託も生前贈与と同様に、ご自身が存命中の段階から、孫のために財産を活用する方法の一つです。家族信託は活用方法が幅広い反面、どのように設計するか慎重に検討する必要があるので、弁護士への相談をおすすめします。

孫を生命保険の受取人にする

孫を生命保険の受取人にしておけば、ご自身が亡くなった際、孫に対して死亡保険金が支払われます。生命保険の掛金については、毎年所得控除を受けられるメリットもあります。

孫を生命保険の受取人にする場合は、孫がスムーズに死亡保険金を請求できるように、生命保険を掛けていることを孫に伝えておきましょう。

孫に財産を渡す際の注意点

相続またはその他の形で孫に財産を渡す際には、以下の2点にご注意ください。

  1. 贈与税・相続税がかかることがある
  2. 遺留分侵害によるトラブルに要注意

贈与税・相続税がかかることがある

生前贈与や家族信託については、贈与税が課されることがあります。贈与税の税率は最大55%で、相続税よりも高くなる傾向にあるので注意が必要です。

基礎控除や各種の非課税特例を使えば、無税または低額の税負担によって孫に財産を移せる可能性があります。

1. 暦年贈与の基礎控除

1年間に110万円までであれば非課税で贈与できます。

2. 教育資金の一括贈与の非課税特例

祖父母などから孫などに対して、1人につき1500万円までであれば非課税で教育資金を贈与できます。

3. 結婚・子育て資金の一括贈与の非課税特例

祖父母などから孫などに対して、1人につき1000万円までであれば非課税で結婚・子育て資金を贈与できます。

4. 住宅取得等資金の贈与の非課税特例

祖父母などから18歳以上の孫などに対して、一定の要件を満たすときには、住宅取得などの資金として最大1000万円を非課税で贈与できます。

また、相続財産等の総額が基礎控除額(=3000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合は、原則として相続税を納付する必要があります。

孫が遺産を相続する場合は、代襲相続人である場合を除き、相続税の負担が重くなることがあるのでご注意ください。

贈与税や相続税の取り扱いについては、税理士のアドバイスを受けることをおすすめします。弁護士に相談すれば、税理士の紹介を受けられることが多いです。

遺留分侵害によるトラブルに要注意

相続・生前贈与・家族信託などによって、孫に対して多額の財産を与える場合には、遺留分侵害によるトラブルが懸念されます。

遺留分とは、相続できる遺産の最低保障額です。兄弟姉妹以外の相続人には遺留分が認められています(民法1042条1項)。

遺留分を下回る財産しか取得できなかった相続人は、財産を多く取得した者に対して「遺留分侵害額請求」(民法1046条1項)を行って、金銭の支払いを受けられます

孫に対して財産を多く与えた場合は、ご自身の死後、孫が相続人から遺留分侵害額請求を受けるかもしれません。

遺留分侵害によるトラブルを防ぐためには、相続人の遺留分を侵害しないように、財産の配分を調整することが望ましいです。

弁護士のアドバイスを受けながら、できる限りトラブルが生じないような財産の配分を検討しましょう。

まとめ

孫は本来相続人ではないため、財産を与えたい場合には、生前の段階で何らかの対応が必要です。

早い段階から孫のために財産を活用してもらいたい場合は、生前贈与や家族信託を検討しましょう。ご自身が亡くなった際に財産を孫へ与えたい場合は、遺言書の作成(遺贈)や養子縁組、生命保険への加入などが考えられます。

相続対策をどのような形で行うのが適切であるかは、ご家庭の事情によって異なります。ご自身の意思に沿った形で財産を分けることに加えて、相続トラブルを予防できるような対策を講じることが望ましいです。

弁護士のアドバイスを受けながら、効果的かつスムーズに家族へ財産を引き継げるような相続対策を検討しましょう。

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この記事の監修者
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関根翔弁護士
監修者の所属事務所
池袋副都心法律事務所

東京弁護士会所属。相続問題は複雑な法理論を必要とし、また、事実関係が複雑であり、収集すべき証拠も多くなる傾向にあります。当事務所では、手間を惜しまず綿密な計画を事前に立て、迅速に行動することをモットーとしています。

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