丁寧な対話とアドバイスで相続トラブルを解決へ。事務所一丸となって依頼者をサポート
宮崎県都城市で「弁護士法人大塚法律事務所」を経営する大塚幸治弁護士(宮崎県弁護士会所属)に、事務所の理念や相続の案件を手がける上での心構えを聞きました。相続トラブルの解決には年単位の時間がかかることも少なくないと話す大塚弁護士。「長い時間を共にするからこそ弁護士との相性はとても重要。波長が合うかどうかを確かめるためにも、気軽に相談してほしい」と話します。
インタビュー
話を徹底的に聞き、真摯に向き合います
事務所設立の経緯について教えてください。
私は都城市に隣接する曽於市で生まれ育ちました。私が幼い頃、このあたりの地域には弁護士事務所がありませんでした。中学のときに同級生が法律トラブルに巻き込まれたのですが、相談する先がなく、何もできずに泣き寝入りせざるを得なかったんです。そのときに漠然と「将来、自分が弁護士になって困っている人を助けられたらいいな」と思ったことが、弁護士という仕事を意識したきっかけです。
2001年に弁護士になり、同じ年に「弁護士法人大塚法律事務所」を開業しました。
事務所の理念や、大切にしていることを教えてください。
依頼者にできるだけ満足していただける結果を出すために、やれることは最大限やること、そして依頼者の話をよく聞くことです。私だけではなく、事務スタッフも含めたメンバー全員で共有している理念です。
「これは法律的に実現することは難しい」というご要望でも、頭ごなしに否定せず、最後まで話を聞いた上で、実現が難しい理由を説明するようにしています。「なぜ難しいのか納得できた。ここまで詳しく話を聞いてもらえてありがたかった」と言って帰られる方が多いですね。
事務所にいらっしゃるのは、離婚や相続など、他人には話せない問題を抱えた方がほとんどです。特に相続に関しては「身内の恥」という意識が強く、誰にも相談できず、長い間モヤモヤを抱えてきた方が少なくありません。
そういった方から「他の人に話せないことを聞いもらえたので、心が軽くなった」「無理なことは無理だと言ってもらえて、気持ちに区切りがついた」といった言葉をいただくと、この仕事をやっていてよかったなと感じます。
無理に依頼を勧めることはしません。ご自身で手続きを進める方法も丁寧にアドバイス
相続についてよくある相談を教えてください。
相続発生後に相続人同士でトラブルになり、相談に来る方が多いです。たとえば、いらない不動産を押し付けあっているケースや、亡くなった人の世話をしていた相続人と他の相続人との間で取り分をめぐって揉めているケースなどです。
遺言作成など生前対策の相談も承っています。
相続案件を手がける上で、心がけていることがあれば教えてください。
事務所の理念とも重なりますが、依頼者の話をしっかり聞くことです。
初回の相談では、依頼者がどのような問題を抱えていて、どのような解決を望んでいるのかを本音で話していただきます。
お金が欲しいのか、土地が欲しいのか。どうしてその土地が欲しいのか、その土地が手に入らなかったら別の財産を引き継ぐ形で譲歩できるのか…。話を深堀りして、依頼者が「本当に求めていること」を理解します。
もう一つは、弁護士が介入する必要がない場合は、無理に依頼を勧めず、ご自身でできることを試してみてくださいと提案するようにしています。もちろん、ご自身での対応が難しい場合はお引き受けしますが、弁護士に依頼すると費用がかかるため、負担をなるべく減らしたいという思いからこのような方針にしています。
依頼者自身で対応できるのは、たとえばどういうケースでしょうか。
たとえば、兄弟の中で長男が相続財産を独り占めしてしまい、全容がわからないというケースです。
このような場合、財産の内容をご自身で調べる方法をお伝えします。具体的には、金融機関や郵便局に行って、自分が相続人であることを証明できれば、被相続人の預金通帳のコピーをもらえます。不動産も、その建物や土地がある市町村で名寄帳を取れば、名義や面積、評価額を確認できます。このように、ご自身でも対応できるように手続きの方法を詳しくアドバイスします。
調査をして財産の全体像が明らかになったら、他の相続人と遺産分割の話し合いをするか、話し合いが難しければ遺産分割調停を申し立てるという流れになります。
調停にご自身で対応するのはハードルが高いので、できれば弁護士に依頼するのがお勧めです。ただ、財産の総額によっては積極的にお勧めできない場合もあります。総額100万円の財産があり、弁護士費用が50万円かかるとすると、残額は50万円です。50万円を相続人3人で分けるとすると1人あたり16万円ほどになり、この16万円を得るために弁護士に50万円を支払うのは、依頼者にとってメリットがあるのかという話になります。
このような場合、「調停の進め方をアドバイスするので、できるところまでご自身で進めてみませんか。最初から弁護士に依頼するより、費用が抑えられますよ」と提案する場合もあります。
残された人が安心できるよう、生前の相談も重視
弁護士に相続案件について相談するメリットを教えてください。
当事者同士で話しているとどうしても感情的になってしまいがちです。弁護士は問題を客観的な視点から見て、「法律的にはどういう解決ができるか」とアドバイスすることができます。
特に寄与分や特別受益など法的に難しい論点が絡むケースはご自身で判断せず、一度弁護士に相談していただければと思います。たとえば、「兄弟の中で自分だけが親の面倒を見てきたから、他の兄弟よりも多く財産をもらいたい」と考えている場合、ご相談いただければ、被相続人への貢献度やそれを証明する証拠など個別の事情を踏まえて、請求する余地があるのかといった見通しをお伝えします。
弁護士にはいつ相談すべきでしょうか。
早ければ早いほどいいです。本音を言えば、相続が発生する前に相談していただき、生前対策をしておくのが一番いいと思います。財産をお持ちの方が、ご自身がまだ元気なうちに遺言書を作成してどの財産を誰に渡すかという意思表示をすることで、相続後のトラブルを防止できます。
よくある事例が、酪農や農業など、家族で事業を営んでいる家で、長男だけが家の事業を継いでおり、他の兄弟は県外で違う仕事についているケースです。この場合、親が「自分が死んだら事業を長男に引き継ぐ」と口では言っていても、遺言書がなければ他の相続人が「財産を等分して分けてほしい」と主張し、事業に必要な土地も売らざるを得なくなるケースが少なくないのです。
「事業に関わる農地や牛、豚はすべて長男に引き継ぎ、残りの預金を他の相続人で分ける」という遺言書さえあれば、事業を安心して続けられたのに…と悔やまれる事例をいくつも見てきました。
事業を営んでいるかどうかにかかわらず、「自分が死んだ後のことが心配」という思いが少しでもあれば、相談だけでも一度お越しいただきたいです。
事務所ならではの強みや、他の事務所との違いを教えてください。
依頼者と直接話すのは私ですが、2001年の開業当初からずっと共に働いてきたスタッフが2名います。弁護士資格こそないですが、相続の事務的な手続きや制度などの知識に関しては私以上に詳しい部分もあり、非常に信頼できる仲間です。問題解決にあたっては、スタッフとともに話し合いながら最適な方法を検討し、進めていきます。
かけがえのないスタッフの存在は当事務所の財産であり、強みでもあると考えています。
弁護士選びは相性が重要。二人三脚で進めるパートナーを見極めて
相談・依頼を検討している方へのメッセージをお願いいたします。
相続案件は解決までに1年以上かかることもあり、打ち合わせは10回、20回に及ぶこともあります。ですから、「この弁護士と二人三脚でやっていけそうか」という観点から、相性を見極めることはとても重要です。
相性の良し悪しは、実際に会ってみないとなかなかわかりません。直接会って話をして、口調や話すテンポ、表情などをよく見て、波長が合うかどうかを確かめていただきたいです。できれば複数の弁護士に同じ相談をして、「この人はしっくりくるな」「ちょっと合わないな」というふうに比較するのがいいと思います。
相談したからといって、必ず依頼しなければならないわけではありません。何となく違うなと思ったら、「家族と相談して、お願いするときは改めてご連絡します」と言って帰っても問題ないですよ。
何人かの弁護士と話してみて、一番しっくりくる弁護士に依頼することをお勧めします。その上で、もし当事務所をパートナーに選んでいただけたなら、問題解決に向けて全力でお手伝いさせていただきます。