相続事件を多く手がけ、培った交渉力と決断力 スピード感をもった解決で依頼者から感謝の声集まる
東京都北区「十条王子法律事務所」の代表・金ヶ崎絵美弁護士に、相続事件を手がける上で心掛けていることや弁護士に依頼するメリットについて聞きました。依頼者の希望を第一にしながらも、迅速かつ柔軟な対応を心掛けている金ヶ崎弁護士。どのような相談が多いのかや金ヶ崎弁護士ならではの強みについて、具体例を交えてお話しいただきました。(第二東京弁護士会所属)
インタビュー
依頼者一人一人と向き合って仕事をしたいと独立、相続事件を多く手がけ自信に
——事務所設立の経緯を教えてください。
もともと、私は東京都内の法律事務所で一般民事や企業法務に取り組んでいましたが、一つの事件を3〜4人の弁護士で共同して担当していました。もっと自分一人で責任を持ちながら、依頼者の方一人一人と向き合って仕事をしたいと思い、独立を決意しました。独立してからは、個人の方からの相談が増えており、相続や離婚、交通事故、労働問題などを幅広く扱っています。
——相続事件に注力している理由を教えてください。
やはり相談件数がとても多いためです。たくさん相続事件を扱うようになり、自分でも自信をつけることができましたし、自然と依頼者の方も増えていきました。以前の依頼者から紹介を受けることもあります。
調停委員のように相続人全員をまとめることも
——相続に関するよくある相談内容を教えてください。
一番多いのは、遺産分割協議についての相談です。遺産分割協議は、相続人全員と連絡が取れ、話し合いができる状況であれば、調停まで持ち込まずに話し合いがまとまることもあります。私がどなたかの代理人についたあと、結果的に相続人全員をまとめる調停委員のような形で動くことも多いです。
次に多いのが、遺留分に関するものです。遺言書を見たら自分の取り分が何もなかったため、遺留分侵害額請求をしたいという相談があります。公正証書遺言ですと遺留分を考慮して遺言を書かれている方もいますが、自筆証書遺言の場合は遺留分を考慮せず、「誰々に全ての遺産を相続する」とだけ書かれているようなものも意外とあります。
最近は、80代〜90代の方が亡くなり、その兄弟もすでに亡くなっているために、その兄弟の子どもたちが代襲相続するというケースが多いです。こうしたケースでは、相続人の数が10人にもなることがあります。
また、お父さんかお母さんのどちらかが亡くなったものの、複数いる兄弟が仲が悪くて遺産分割協議で揉めているという事案もよくあります。
——相続事件を手掛ける上で心がけていることはありますか。
依頼者がどこまでこだわるかを大切にしています。スピード感を持って解決したいという方には、無理な主張はせずに、他の相続人と迅速にお話しして解決することをおすすめしています。
時間をかけてでもいいという方には、通りそうな主張であれば法的な構成を組み立てて、最後まで譲歩せずにやっていきます。
依頼者の中には「過去にこんな寄与をしたから相続分を増やしてほしい」という要望をお持ちの方もいます。寄与分が認められるには「特別の寄与」であることが必要ですが、法律上の要件は厳しいため、なかなか認められないこともあります。
話し合いの場であれば他の相続人の理解を得て、寄与分を認めてもらうこともありますが、裁判手続きになると厳しいということを率直にお伝えしています。
——遺産が多い場合、相続で揉めごとが起こりやすいのでしょうか。
必ずしもそうとも限りません。たとえば、亡くなった方の看護を長年していた方が、生前に銀行口座からお金を引き出していたというケースがありました。その結果、亡くなった時には預貯金がほとんど無くなってしまっていたのです。
このような場合、現金で残っていたら相続財産になりますが、使ってしまった場合には遺産ではない状態になりますので、不当利得返還請求等の別の手続きが必要です。残っている財産の金額が数十万円など少額であっても、亡くなる前の財産について別の裁判手続きをおこなうこともあります。
弁護士に依頼することで精神的・時間的な負担を減らせる
——相続について弁護士に相談するメリットを教えてください。
相続人と感情的に対立しており仲が悪い場合には、第三者が入る方が冷静な判断ができます。弁護士が筋道を立てて粛々と手続きを担いますので、精神的な負担が少なく済みます。
相続はほとんどの人が一生に1回か2回経験するかどうかの出来事で、手続き書類も見慣れていないために苦労することが多いですが、弁護士に依頼することで確実に手続きを進めることができます。また、調停は代理人だけで進めることも多いので、時間的な負担も減らすことができます。
さらに、相続放棄をしたいが期限を過ぎてしまったという相談もあります。こうした場合、相続開始を知った日時や、なぜ期限の3カ月以内に手続きができなかったのかを裁判所に分かりやすく説明する必要がありますので、弁護士に依頼した方が確実だと思います。
相続に関わる専門家は多岐にわたりますが、中には行政書士に依頼した後に私のもとに再度相談に来られる方もいます。行政書士は決まった内容を定型的に書面にすることはできますが、相続人間の交渉をおこなうことは非弁行為(弁護士にのみ認められている行為を弁護士以外がおこなうこと)にあたるためできません。
そのため、相続人がいて遺産分割協議が必要なときには、弁護士にご相談ください。
——先生の事務所ならではの強みや、他の事務所との違いは何でしょうか。
依頼者からは、スピード感があった、柔軟な解決ができた、という点で良かったというお声をいただいています。
柔軟な解決というのは、相手の出方や反応を見ながら柔軟に対応していくということです。例えば、こちらが1000万円を請求しているときに、相手方は500万円しか払わないと言っているケースがあるとします。もちろん1000万円をもらえれば良いですが、相手方の言い分を聞いて難しそうであれば、最初に依頼者には「このくらいの金額までは下がってもしょうがない」と見込みをお伝えします。
そして実際に協議を始めていくと、「相手方がこう話しているうちに、金額を決めてしまった方がいい」と判断するタイミングが出てきます。これは複数の争点がある中で、この金額で合意した方が他の争点においてこちらが優位に立てそうだ、というものです。
譲るべき点と譲れない点を総合的に考えながら、その日の調停での先方の感情の起伏や発言などを見て、最終的な決定を下す。こうした交渉力と決断力は、これまで多くの相続事件を扱ってきた経験から培われたものだと思います。
——相続のトラブルを抱えて弁護士への相談を検討している方に向けて、メッセージをお願いします。
遺産分割協議はつい後回しにしがちですが、相続が発生した時点で、早めに弁護士に相談することをおすすめします。
調停まで進めたくないという方もいますが、調停とは話し合いの場であることをご説明しています。相続人と連絡が取れない場合でも、調停を開始すると裁判所から連絡がいきますので、それにより出頭する方も多いです。また、調停委員という第三者が入ることで、交渉がまとまることもあります。東京では事件が多く、すぐに期日が設定されないこともありますので、急ぎのものは早めに申し立てた方が良いです。
弁護士選びについては、ある程度相続事件の経験が豊富な弁護士を選ぶことをお勧めします。かたくなな法律論というよりも、様々なことを考慮して柔軟な解決を目指す弁護士の方が、話がまとまりやすいと思います。
相続人が全国各地に散らばっている場合、どこで依頼すべきか迷うこともあるかと思いますが、自分の居住地に近く相談しやすい場所にいる弁護士を選ぶことをおすすめします。やはり困ったときに直接顔を見ながら相談に行ける方が良いと思います。当事務所は初回相談が無料ですので、気軽にご相談ください。