堅実な対応で相続トラブルを円満解決〜依頼者の不安を解消し、笑顔を取り戻せるよう力を尽くす
相続問題の解決に力を入れる「塚本幸司法律事務所」(熊本県熊本市)の塚本幸司弁護士に、相続問題に注力する理由や、案件に取り組む上で大切にしていることなどを話していただきました。近しい人同士が対立し、ときには泥沼の争いにも発展しうる相続問題。悩みを抱えたときに早めに弁護士に相談するメリットや、初回相談の流れについても詳しく伺いました。(熊本県弁護士会所属)
インタビュー
相続トラブルで悩む人を減らしたい
相続問題に注力する理由を教えてください。
根底にあるのは、親族間で発生する無駄な争いを減らしたいという思いです。
相続では、財産の取り分などをめぐって相続人同士の積年の思いが噴出し、激しく対立するケースが少なくありません。あらかじめ、財産を残す方が遺言を作っておけばトラブルを回避できますし、トラブルが起きてもすぐに弁護士が入って適切な対応をすれば、早期に収束する可能性が高いです。
事前対策や相続発生後のサポートを通して、相続争いで苦しむ方を1人でも減らせればと思い、注力しています。
よく寄せられる相談には、どのようなものがありますか。
相続人同士の仲が悪いことなどが原因で、財産を管理している相続人が財産の内容を開示してくれず、困っているという相談がよくあります。
このようなケースで弁護士が入った場合、まずは被相続人が取引をしていたことが予想される金融機関に照会手続きをして、預貯金の額を調査します。不動産や有価証券、生命保険などについても並行して調査を進めます。財産の内容を明らかにした上で、分け方について他の相続人と交渉をおこないます。
相続人の1人に使い込みが疑われるという相談も少なくありません。使途不明金が見つかった場合、お金の流れがわからない側からすれば疑心暗鬼になるのは仕方がないことでしょう。
使い込みが疑われるとき、真っ先におこなうべきは真相究明です。以前私が手がけた案件では1000万円もの使途不明金が争点になったのですが、調査により、全て被相続人の介護費に使われていたことが分かりました。調査結果について証拠を示しながら各相続人に説明したところ、納得を得られ、交渉だけで解決することができました。訴訟よりも早期に解決でき、家族間にわだかまりが残らなかったこともよかったと思っています。
相続トラブルは、1つずつ問題を明らかにすることで、収まるところに収まると考えています。各相続人の意向も汲みながら、円満解決を目指して、着実に進めていくことを心がけています。
丁寧に話を聞き、依頼者の不安を取り除く
相続問題に取り組む上で大切にされていることを教えてください。
丁寧なコミュニケーションです。依頼者の話をゆっくりしっかり、最後まで聞くことを意識しています。「とにかくよく話を聞いてくれて、気持ちが晴れた」と言っていただけることもあります。
以前所属していた事務所の先生で、今も目標にしている方がいます。沈んだ表情で相談に来た方たちが、その先生と話した後、笑顔を取り戻して帰っていく姿が忘れられないんです。先生の個性であり、なかなか真似できることではありません。それでも、先生のような温かいコミュニケーションを目標に、依頼者の話を傾聴して思いに共感し、不安が落ち着くような対応を常に心がけています。
また、レスポンスの早さも大切にしています。できるだけ当日、遅くとも次の営業日までには返事をし、すぐに回答できない場合は回答期限を伝えるようにしています。
依頼者から「弁護士に依頼すると、解決までに時間が掛かりますよね?」と言われることがよくあります。確かに、半年、1年…と時間を要する場合もありますが、1つ1つの手続きをスピーディーに進めるなどして、短縮できる部分は短縮し、一刻も早く依頼者を悩みから解放できるように努めています。
相続問題を弁護士に相談するメリットを教えてください。
法律、税務、登記…と、相続に関するあらゆる問題に対応できることです。
相続について問題が生じたとき、依頼先として考えられるのは、主に、弁護士・司法書士・行政書士・税理士の4者でしょう。
これらの専門家の中で、依頼できる業務の範囲が最も広いのが弁護士です。複雑な調査や手続きの代行、他の相続人との交渉など、相続に関するあらゆる業務を依頼できます。
相続税申告や相続登記も弁護士の業務に含まれます。ただ、これらの手続きは、税理士や司法書士など、その道に特化した専門家に依頼することが一般的です。必要に応じて各専門家につなぐこともできますので、誰に相談すればいいのか判断がつかないときは、まず弁護士に相談してもらえればと思います。
相談するなら、なるべく早めがおすすめです。相談が遅くなると、解決のための選択肢が狭まってしまいます。そうなると適正な費用対効果のある解決策を選べず、余計なコストがかかる可能性もあります。依頼するかどうかをすぐに決断する必要はないので、悩みを抱えたら一度弁護士に相談し、問題を解決するためのアドバイスを受けることをお勧めします。
まずは思いの丈を話してもらい、解決への道筋をつける
初回相談の流れを教えてください。
初回は基本的に、相談者が話したい内容を何でも話してもらっています。とにかく思いの丈を話してもらい、気持ちを落ち着かせてから問題点を整理していきます。
家系図や相続人の相関図があれば、メモ程度でかまいませんのでぜひお持ちください。状況をすぐ把握できるので、本題に入りやすいです。財産についても、手がかりになる郵便物や通帳があれば持ってきてもらえればと思います。とはいえ必須ではないので、これらの資料がない方でも気軽にご相談ください。
なお、相談したからといって必ず契約しなければならないわけではありません。今後の対応について説明しますので、方針に納得できるかどうか、じっくり検討した上で判断してもらえればと思います。
印象に残っている案件を教えてください。
祖父母世代の相続争いに巻き込まれた方の代理人を務めた事案が印象に残っています。家父長制度が残る世代特有の考え方や地域の慣習などが問題を複雑にし、相手方のこだわりも強く、落としどころがなかなか見つからない事案でした。
法律上の正しさだけを主張しても相手方は納得しないと判断し、相手方の主張の裏にある思いに注目し、こだわりの強さは何に起因しているのか探りながら交渉しました。時間をかけて話合いを重ねた結果、相手方の中でしこりになっている部分を見出し、最終的には依頼者・相手方の双方が納得する結果を導くことができました。
複雑な事案でしたが、法律のルールだけではなく当事者の思いにも配慮してこそいい解決につながると学ぶことができ、記憶に残っています。
相続トラブルを抱えて、悩んでいる方にメッセージをお願いします。
相続は多くの方が人生で一度は経験する出来事ですが、手続きの進め方を把握している方はそう多くないでしょう。ましてや、相続人同士の対立などのトラブルが起きた場合、どのように対処していいのかわからず途方にくれるのは当然です。
相続の手続きについて疑問が生じたり、トラブルに巻き込まれたりしたときに、1人で抱えこむのは辛いことです。相続の手続きには期限が決まっているものもあります。必要な手続きを期限内に完了させるためにも、弁護士と話し、今ある問題をどのように整理すべきか道筋をつけてみませんか。頭の中に渦巻く不安を、第三者である弁護士に打ち明けるだけでも、ずいぶん気持ちが軽くなると思います。
大切な人が亡くなった直後で、喪に服したいお気持ちもあるでしょう。ご自身の中で区切りがついたタイミングで、いつでもお問い合わせください。あなたの不安を落ち着かせるために、弁護士がサポートいたします。