事前対策から紛争解決まで相続の悩みに広く対応〜他士業と連携し、複雑な問題もワンストップで解決
東京都調布市「白土文也法律事務所」の代表・白土文也弁護士に、事務所の強みや近年の相続問題の傾向、認知症対策としての家族信託など幅広いトピックについて伺いました。他士業と連携し、相続に関するどのような問題にもワンストップで対応しているという白土弁護士。相続の悩みを抱えたときに弁護士に相談するメリットや、初回相談の流れについてもお話いただきました。(第二東京弁護士会所属)
インタビュー
事前に対策をすることで、相続トラブルは回避できる
事務所として大切にしていることを教えてください。
法律をわかりやすく伝えることです。独立前に所属していた事務所でも、依頼者から「説明がわかりやすいですね」と評価していただいたことが多く、私自身の強みでもあると思っています。
開業してからはより意識するようになりました。というのも、当事務所にはセカンドオピニオンを求めて相談に来る方が多く、その中には「他の事務所に相談したけれど、弁護士が言っていることがよくわからなかった」と話す方が少なくないからです。
弁護士の説明がわかりにくく、問題が解決するどころかモヤモヤが増えてしまったーー。せっかく勇気を出して相談に行ったのに、そんな結果になるのは悲しいですよね。依頼者にそのような思いをさせないよう、当事務所では、専門的な内容も依頼者がイメージしやすい表現に噛み砕き、真に納得してもらえるまで説明を尽くすことを第一に考えています。
相続案件に注力する理由を教えてください。
1番の理由は、事前に対策をすることで紛争を予防できるからです。
紛争解決は弁護士の仕事の1つですが、なるべくなら紛争は起きない方がいいものです。個人の方が抱える法律問題の中で、事前に対策をすることで紛争を避けられる分野は何か、と考えたときに浮かんだのが相続でした。
相続は親族間の積年の思いが噴出しやすく、ひとたび揉めると泥沼化することが少なくありません。しかし、ケースによりますが、遺言書作成などの対策を講じることで、何もトラブルなく円満に手続きを終えられることもあります。予防法務の効果が発揮される分野として大きな可能性を感じたので、力を入れるようになりました。
さらに、相続の案件に取り組む上では、民法だけでなく、相続税法や不動産の問題、保険、登記など多岐にわたる知識と経験が求められます。常に勉強が必要ですが、だからこそ知的好奇心が刺激され、法律家としてのやりがいを感じられることも、相続に注力する理由の1つです。
紛争解決はもちろん、予防法務、手続きの代行まで幅広くサポート
相続に関するよくある悩みや相談は何ですか。
特に多いのは、遺産分割、遺留分、相続放棄に関する相談です。財産をお持ちの方から遺言書作成の相談を受けることもありますし、最近は認知症対策として家族信託を検討している方からの相談も増えています。
一般に、弁護士に依頼するのは紛争が起きたときと考えられがちですが、私の事務所では、紛争解決はもちろん、生前の対策、預金の名義変更などの手続きにも広く対応しています。「特に紛争にはなっていないけれど、手続きだけ弁護士に任せたい」という相談も喜んで承ります。気軽にご相談ください。
家族信託はどんなものですか。
簡単に言うと、家族信託は「遺言」と「後見制度」の良いところを組み合わせた制度です。
家族信託を利用すれば、遺言と同じように、自分の死後、誰に財産を渡したいかを指定できます。遺言よりも柔軟に内容を取り決められる点もメリットです。例えば、遺言では「自分の死後は妻に相続させ、妻の死後は長男に相続させる」といった二次相続の指定ができませんが、家族信託ではその指定が可能です。
さらに、認知症を発症するなどして自分の財産を管理できなくなった場合に備えて、財産の管理や処分の権限を家族に与えておくこともできます。このように、非常に使い勝手が良い制度なのです。
特に活用してほしいのは賃貸アパートなどの収益物件を多数お持ちの方です。あらかじめ家族信託をおこない、家族にアパートを管理する権限を与えておくことで、ご自身で財産を管理できなくなった場合に、その家族にアパートの管理や修繕、賃貸契約の締結、売却などを任せることができます。また、アパートの承継者として、まずは配偶者が引き継ぎ、配偶者の死後は子どもが引き継ぐというように具体的に指定することが可能です。
ただし、家族信託は万能ではなく、利用すべきではないケースもあります。また、法律・税金・登記の全ての面で実務上の取り扱いが確立していないため、慎重な検討が必要です。当事務所でも十分に時間をかけて検討しております。
最近寄せられる相続の相談について、何か特徴はありますか。
相続放棄をする人が増えた印象があります。理由は様々ですが、特徴的なところでいうと、長年連絡を取っていなかった親族が孤独死し、関係性がほぼないので相続する気はないということで相談に来る方がいます。
また、財産の内容が地方の山林や不動産など価値がほとんどないものばかりで、相続しても税金や維持費がかさむだけなので放棄したい、という方も増えています。財産の中に借金が多いという理由で放棄する方もいます。
親族関係の希薄さや孤独死、借金など、相続放棄の相談には、現代日本の家族の形や社会情勢が反映されていると感じます。
他士業と連携し、事案に合わせたベストチームで対応
相続について、弁護士に相談するメリットを教えてください。
一番のメリットは、紛争を解決できることです。依頼者の代理人として他の相続人と交渉したり、調停や裁判に出席したりする権限は、弁護士にだけ認められています。
弁護士は、法律や判例の知識、様々なケースの案件を手がける中で培った経験に基づき、交渉を進めていきます。弁護士が代理人となり、第三者の立場から話合いを取り仕切ることで、スムーズな協議成立を目指せます。
しかし、紛争が複雑化している場合は交渉での解決が難しく、裁判所での手続きに移行する可能性もあります。調停や審判、訴訟で争う可能性も視野に入れて対応しますので、こじれているケースこそ、早めに、弁護士に、ご相談ください。
すでに紛争状態になっているケースを解決に導くことはもちろん、紛争を予防することも、弁護士が果たすべき役割です。
依頼者自身が気づいていないトラブルの種を発見し、問題として表出することを回避するためのアドバイスを提供します。今は揉めていないという方も、最後までトラブルなく相続の手続きを進めるために、一度弁護士にご相談いただければと思います。
初回相談はどのように進むのでしょうか。
事前に、相続人の関係性や財産の構成などについて受付フォームへの入力をお願いし、手元に資料があればそれも共有してもらいます。こうすることで面談前に基礎的な情報をある程度把握できます。
その上で、相談当日は、依頼者の要望や、何が問題で解決が困難になっているのか、といった重要なポイントにフォーカスして話を聞いていきます。
先生の事務所の特徴を教えてください。
相談に来る方の多くが、自身がぶつかっている問題に対して、弁護士に相談すべき内容なのか、それとも税理士や司法書士など他の専門家に相談すべきなのか、自分で判断できず悩んでいます。
そのため当事務所では、相談を受けたら早い段階で、税務申告や登記が必要かどうかの見立てをして、必要であれば速やかに司法書士や税理士と連携し、チームでの対応を進めます。相続に関する様々な問題にワンストップで対応することができ、依頼者が自ら専門家を探す必要はありません。
現在は税理士事務所5か所、司法書士事務所7〜8か所と連携しています。依頼者が住んでいる地域や手続きの内容など、事案の特徴に合わせて最適な専門家を選び、ベストなチームを組んで対応を進めます。連携先は今後も増えていく見込みです。
不安や疑問を1人で抱えず、気軽に相談を
最後に、相談を検討されている方へのメッセージをお願いします。
弁護士は紛争解決の専門家です。あなたが今まさに紛争に巻き込まれている場合や、いずれ揉めることが目に見えているような場合は、迷わず弁護士にご相談ください。他の士業にはできないことも弁護士であればカバーできます。
一方で、当事務所では税理士や司法書士の先生方とチームを組んで対応しているので、相続に関するどのような問題もトータルでサポートすることが可能です。
相談のタイミングが早いほど、早期の解決につながります。1人で思い悩まず、気軽にご相談ください。