相続人同士の事後の関係を見据えた対応がモットー。依頼者の意向を尊重し、きめ細やかにサポート

東京都足立区「石塚法律事務所」の石塚大介弁護士(第一東京弁護士会所属)に、相続分野への取り組みについて聞きました。事件終了後の相続人同士の関係性を見据えた対応を心がけていると話す石塚弁護士。家族との関係について依頼者の意向を把握し、主張の強弱などを調整しながら交渉を進めていきます。事務所の理念や相続についてよくある相談、弁護士に相談するメリットなどを聞きました。
インタビュー
家族間で起こる問題だからこそ、事後の関係性も考慮した対応が必要
事務所設立の経緯について教えてください。
私は司法試験合格後、一般企業の法務部で社内弁護士として働いた後、都内の法律事務所に入所しました。その事務所では相続案件を専門に扱っていて、在籍中は様々な依頼に対応しました。その後、ベリーベスト法律事務所で6年ほど勤務し、2024年に北千住で事務所を開設しました。
事務所の理念や大切にしていることを教えてください。
難しい専門用語を使わずにわかりやすく説明することと、解決のために取りうる選択肢を複数示し、それぞれのメリット・デメリットを伝えることです。今後の方針について依頼者自身が納得して判断できるように、丁寧なコミュニケーションを心がけています。
相続に力を入れている理由を教えてください。
最初に入所した法律事務所での経験が大きく影響しています。相続人同士の話し合いができずに困っている方々の相談に数多く接し、相続問題に強い関心を持つようになりました。ベリーベストでは離婚案件が多かったものの、相続への関心は常に持ち続けていて、勉強も重ねていました。自分の経験を活かすことができ、関心も強い分野であるため、力を入れて取り組んでいます。
相続問題の特徴は、家族や親族との間で生じることです。赤の他人との紛争であれば、あまり躊躇せず自分の主張をぶつけ合っても問題ないこともあります。一方、相続の場合は事件が終わった後もお互いの関係が続くため、主張の仕方を調整しなければなりません。将来のことも考えると、ここで押すべきか、あえて引くべきか、事後の関係性まで考慮した解決策を見出す過程に、やりがいを感じています。
依頼者の中には、「あの相続人とは縁が切れても構わない」と言う方もいるので、その場合は遠慮なく押すこともあります。しかしそうではなく、もともと仲が悪かったわけではないのに、相続をきっかけに不仲になったような場合は、それ以上対立が深まらないようにうまく調整する方向で交渉します。このように、個別の状況に合わせて対応方法を変えています。
話し合いが進まない、不動産の分け方で揉めている…様々な相談に対応
相続について、どのような相談が多く寄せられますか。
最も多いのは遺産分割に関する相談です。相続人同士でうまく話し合いができなかったり、相手方からの提案に不信感があったりする場合に、どうすれば良いか悩んで相談に来る方が多いです。
特に多いのは、被相続人と同居していた人と同居していなかった人との認識のずれから生じるトラブルです。
同居していなかった側は「相手が遺産を隠している」「自分のために使ったのでは」といった疑念を持ち、同居していた側は「葬式にも来なかったのに相続になると急に現れて、遺産をよこせと言ってくる」「介護を一生懸命したのは私なのに、なぜ何もしなかった人に半分も取られるのか」といった不満を抱くケースが散見されます。
遺産の中に不動産がある方からの相談も多いと伺いました。
はい。相続人同士で同じ不動産を取り合うケースもあれば、誰もほしがらない不動産の処分について揉めるケースもあります。
また、1人が不動産を引き継ぐ場合、他の相続人に代償金というお金を支払うことで公平な分割をはかります(代償分割)。ここで問題になりやすいのが代償金の金額です。代償金を支払う側は低く抑えたいですし、支払いを受ける側はできるだけ高額にしたい。代償金の金額は不動産の評価額を元に決めるので、どのように評価するかでトラブルになるケースがよくあります。
不動産の評価で揉めている場合には、当事務所では懇意にしている不動産業者がありますので、ご依頼いただいた場合は紹介することも可能です。
相続案件を手がける上で心がけていることを教えてください。
事件終了後の相続人同士の関係をどうしたいかは必ず確認します。相続が終わった後、家族と仲良くしていきたいのか、縁が切れても構わないのか。依頼者の意向を聞いて、どのくらいの強弱で主張するのがベストか、相談しながら方針を考えます。
また、相続手続きの進め方や制度、相続財産の探し方といった全体の流れも最初に伝えます。話し合いでまとめたいのか、裁判所の調停・審判まで争いたいのか、というところも依頼者の意向を確認します。
専門家目線のアドバイスで、見落としがちなポイントもカバー
相続について弁護士に相談するメリットは何ですか。
一般の方が見落としやすいポイントについてアドバイスできるので、調査や手続きにミスが生じにくいのは大きなメリットだと思います。
見落としがちな財産の探し方も説明できますし、遺産分割協議書の作成においても、後から問題が起きないような記載方法をお伝えします。例えば、遺産分割協議書を作った後に新たな遺産が見つかった場合を想定して、「新たに見つかった遺産についてのみ協議を行う」「新たに見つかった遺産はAさんが引き継ぐ」というふうに対応方法を記載しておくなどです。
こういった細かい部分のケアをせずに手続きを進めると、後から思わぬ問題が起きたりするので、あらかじめ専門家のアドバイスを受けて対策をしておくことをお勧めします。
相談は早い方が良いのでしょうか。
そうですね。相続の手続きは時間がかかるものが多いですし、遺留分や相続放棄など期限が決まっているものもあります。早いうちに相談していただくことで、そういった手続きがスムーズに進み、期限を超過してしまうリスクを避けられます。
また、できれば、他の相続人と何らかの合意をする前に相談に来ていただきたいです。一度合意したことについて、後から撤回するのはかなり困難です。事前に相談に来ていただければ、「合意して問題ないです」「いったん合意はせずに、この部分についてもう一度話し合いをしてみてください」というふうに適切な対応方法をお伝えできます。
「話しやすい」「安心した」と言われることが多いです。気軽にご相談ください
これまで手がけてきた相続案件の中で、印象に残っている案件を教えてください。
遺言の有効性を争った案件です。もともと他の弁護士が対応していて、途中から引き継ぎました。依頼者は法定相続人ではない方でしたが、遺言の中で遺産を相続する人として指定されていました。ところが、他の相続人から、被相続人が認知症を患っていたことを理由に遺言無効を主張されたのです。遺言が無効になれば、依頼者は遺産を相続することができません。有効性を争えるか、ということで相談に来られました。
この案件は裁判に発展し、一審では、被相続人に遺言能力があったことを証明するために、医療記録を取り寄せて粘り強く主張・立証を重ねました。しかし結果的には、遺言能力がなかったということで無効の判断が下されました。
依頼者と相談して控訴をしましたが、高裁でもなかなか一審の判断を覆すことが難しいことがわかったため、方針を変えました。相手方の相続人に対して、依頼者と被相続人との関係性や献身の程度などを具体的に説明することで、依頼者が一定の遺産を受け取れる形で和解することができました。
遺言の有効性を認めてもらうためにあらゆる手を尽くしたのですが、最終的には無効と判断され、悔しかったですね。依頼者も残念がっていました。ただ、本来であれば遺産の取り分はゼロになるところ、ある程度受け取れる結果になったことについては満足していただけました。
初回相談の流れを教えてください。
まず、被相続人の死亡日や、相続人は誰か、遺言があるかないかといった基本的な事実関係を確認します。次に、依頼者が何を不満に思っているのかを聞きます。遺産の分け方に不満があるのか、遺産が隠されていると疑っているのか、遺言の内容や有効性に疑問があるのか…。不満があるポイントを率直に話していただきます。
その上で、法律的な問題点を整理し、解決の流れや弁護士が介入した場合の見通しについて説明します。初めての法律相談で緊張している方も多いので、リラックスして話せる雰囲気づくりを心がけています。ありがたいことに、相談後には、「安心した」「話しやすかった」と言っていただけることが多いです。
相談するにあたって、特別な準備は必要ありません。何か資料があればお持ちいただけると助かりますが、わざわざ準備していただくのも手間なので、手ぶらでも全く問題ないです。気負わずフラッとお越しください。
相続について弁護士への相談を検討している方へ、メッセージをお願いします。
初回相談は無料ですので、まずは話を聞かせていただければと思います。弁護士に相談することなのかわからない悩みでも大丈夫です。依頼するかどうかをその場で決める必要はなく、相談だけで終わっても問題ありません。
あなたが抱えているトラブルや不安を解消するために、当事務所がお力になります。少しでも困ったら、お気軽にご相談ください。