40年以上の歴史の中で培った経験と実績〜不動産が絡む相続問題やお墓の相談にも対応
静岡県静岡市葵区にある「弁護士法人鷹匠法律事務所」の北上紘生弁護士(静岡県弁護士会所属)に、相続案件への取り組みについて聞きました。地域に根ざし、長年にわたり、個人が遭遇する法律トラブル解決に取り組んできた同事務所。長い歴史の中で培った知見や専門家とのネットワークを活かし、相続問題をベストな解決に導きます。事務所の理念や相続についてよくある相談、弁護士のサポートを受けるメリットなどを聞きました。
インタビュー
40年以上にわたって、市民の法律問題解決に邁進してきました
弁護士法人鷹匠法律事務所は、どのような事務所ですか。
当事務所は1983年に所長の大橋昭夫弁護士が設立し、40年以上にわたってここ鷹匠で活動を続けてきました。離婚や相続、交通事故など個人の方が遭遇する法律問題を中心に取り扱っています。
「市民のための法律事務所でありたい」という思いを大切にし、弁護士法の定める人権擁護と社会正義の実現、特に経済的・社会的な弱者のために行動することを理念としています。
経済的に余裕のない方でも依頼しやすいよう、一部の案件では分割払いや後払いに対応しています。
私自身は2012年に弁護士登録をし、すぐに当事務所に入所しました。法科大学院時代に大橋弁護士の授業を受ける機会があり、司法試験合格後に声をかけてもらったことが入所のきっかけです。
現在は4名の弁護士が在籍しています。それぞれのキャリアや強み、そして事務所設立以来の長い歴史の中で蓄積してきた知識やノウハウを駆使して、案件解決のために日々尽力しています。
相続問題に注力している理由を教えてください。
少子高齢化が進む中で、相続の問題はより深刻になっていると感じています。遺産の取り分などをめぐってきょうだい間で意見が衝突し、いがみ合うケースも少なくありません。そのような場合に、法律の専門家として当事者の間に入り、なるべく遺恨が残らない形で解決できればと考えて注力しています。
相続は会社でも起こり得ますが、どちらかというと、家族の誰かが亡くなったときに、その子どもやきょうだいといった個人が直面しやすい問題です。当事務所が掲げる「市民のための法律事務所でありたい」というポリシーに合致する問題であることも、注力する理由の一つです。
不動産の分け方やお墓に関する相談など、様々なケースに対応。丁寧な対話で解決をサポート
相続について、どのような相談が寄せられますか。
多いのは遺産分割に関する相談です。不動産の分け方で揉めるケースや、遺産の使い込みが疑われるケース、他の相続人と連絡が取れなかったりうまく話せなかったりして、遺産分割の話し合いが進まないケースなどがあります。
寄与分に関する相談もあります。例えば、亡くなった方の面倒を見ていた相続人が、遺産を多くもらいたいと主張して、他の相続人と対立するケースです。法律上は認められている主張ではありますが、寄与分のハードルは高く、必ずしも適用できるとは限りません。個別の事情を踏まえて、相手の主張が正当かどうかを判断する必要があります。
不動産の分け方で揉めるケースとは、例えばどのようなケースでしょうか。
よく問題になるのが、主な遺産が亡くなった人の土地で、その土地に家を建てて住んでいる相続人はその土地を相続したいけれど、他の相続人は売却を希望しているケースです。
このような場合、通常であれば、土地を相続する人が他の相続人に代償金と呼ばれるお金を支払って解決をはかります(代償分割)。しかし、土地を相続したい相続人に資力がなければ、代償分割をおこなうことは難しいです。他の相続人の希望を受け入れて土地を売却し、相続分に応じてお金を分配するという方法を選ばざるを得ないこともあります。
どうしても土地を相続したい場合は、何らかの方法でお金を用意するか、代償金の金額を減らす交渉をすることが考えられます。
代償金の金額は不動産の評価額に基づいて決まりますが、そもそも評価額が妥当ではないこともあります。その場合は、懇意にしている不動産業者に査定を依頼したり、「土地が狭くて利用価値が低い」「勾配があって建築しにくい」など様々な事情を主張したりして、土地の価格を下げ、代償金の額を減らす方向で交渉していきます。
先生は僧侶の資格をお持ちということですが、相続においてその資格が活きることはありますか。
お寺との関係やお墓についての相談に対応できることは、私の強みかもしれません。相続に関連して、「誰が檀家を継ぐのか」「戒名は誰がつけるのか」「お墓の管理を誰がするのか」といった問題が生じることがあります。私は実家が寺院で、僧侶になるための修行も経験しました。お寺側の考え方や事情に精通しているので、このような相談にもお応えできます。
お墓を建てたい、墓じまいをしたいという方には知り合いの石材店を紹介することが可能です。静岡県内であれば、地域によっては、菩提寺になってくれるお寺を紹介できる場合もあります。
相続案件を手がける上で心がけていることを教えてください。
話し合いができなくなっている根本的な原因を丁寧に聞き取ることです。その上で、法律の観点から見た現在の状況や解決の方針について説明します。
依頼者が法的に通らない主張をしている場合でも、頭ごなしに否定しないように気をつけています。難しいことは難しいと伝えますが、受け止め方には個人差があります。「この弁護士は私の思いをわかってくれない」という印象を持たれてしまうと、信頼関係が築けません。依頼者の気持ちに配慮し、丁寧に言葉を選ぶようにしています。
悩みに真摯に向き合います。気軽にご相談ください
相続について弁護士に相談するメリットを教えてください。
一つは、法律に従った解決方法を提示してもらえることです。気になっていることを相談し、解決のために何をすべきかが分かれば、気持ちが落ち着き、今後のことを前向きに考えられるようになります。
「こんなことを聞いていいのかな」と心配する必要はありません。例えば、「葬儀費用を相続財産に入れて良いかどうかわからない」など、ちょっとした疑問でも全く問題ないので、遠慮なくご相談ください。
相続はお金が絡む問題であり、放置すると生活への影響が生じる可能性もあります。後回しにせず、なるべく早めに相談していただければと思います。当事務所では相続の初回相談は無料で、時間の制限も設けていません。ご不安に思っていることについてじっくり伺い、解決に向けたアドバイスをお伝えします。
相談が遅れることによるデメリットは何ですか。
最も問題となるのは、他の相続人に言われるままに書類にサインしたり、実印を渡したりしてしまうことです。相手から遺産分割協議書を提示されてサインした場合、後で「おかしい」と気づいても、撤回することは難しいです。ご自身の判断で行動する前に、一度弁護士に相談することをお勧めします。
また、相続税の申告は相続開始から10ヶ月以内に行う必要があり、遺産に不動産があれば登記もしなければなりません。相続の手続きは多岐に渡りますが、早めに専門家に相談することで、スムーズに進められます。
これまでに手がけた相続案件の中で、印象に残っている事例はありますか。
遺留分侵害額請求のケースです。「自分の相続分がゼロで、納得できない」ということでご相談いただき、まずは話し合いで遺留分を請求しました。しかし、相手方と合意できず、調停に移行しました。
調停の過程で、弁護士会照会を利用して銀行の取引履歴を取り寄せたところ、被相続人が亡くなる前に預金が引き出されていた事実が判明しました。引き出された分も相続財産に含めるべきだと主張したところ、相手方も認めざるを得なくなり、結果として依頼者の遺留分が増額されました。
この事例では、弁護士ならではの証拠収集能力が功を奏しました。依頼者自身が調停を行っていたら、使い込みが発覚せず、受け取れる金額が増えることもなかったかもしれません。依頼者から非常に感謝され、私自身も印象に残っています。
相続に関する悩みを抱えて弁護士への相談を検討している方へ、メッセージをお願いします。
弁護士に相談することについて、あまりハードルが高いと思わず、気軽に相談してください。モヤモヤした気持ちを抱えたまま過ごすのは辛いものです。一つ一つ疑問を解決して頭の中を整理することで、心の負担が軽くなります。
特に、他の相続人との話し合いがうまくいかなかったり、寄与分や特別受益など法律の知識が必要な問題が生じたりしている場合は、なかなか当事者だけで解決するのは難しいです。1人で抱えず、専門家のアドバイスを受けていただければと思います。
なお、当事務所は司法書士や税理士とも連携していますので、登記や税金の申告なども含めて相続に関する様々な問題に対応することができます。事務所までご足労いただくことにはなりますが、1人ひとりの悩みに真摯に向き合い、解決に向けて全力でサポートいたしますので、ぜひ一度ご相談ください。