相続弁護士 ドットコム
うみかぜ法律事務所(宮城県石巻市)

うみかぜ法律事務所

所在地
宮城県 石巻市鋳銭場4-16 コーポいわき2階

震災を乗り越え、相続問題に真摯に向き合う〜被災地で積み重ねた実績と信頼で依頼者の不安を解消

高橋 拓うみかぜ法律事務所
震災を乗り越え、相続問題に真摯に向き合う〜被災地で積み重ねた実績と信頼で依頼者の不安を解消

宮城県石巻市「うみかぜ法律事務所」の高橋拓弁護士(仙台弁護士会所属)に相続分野の取り組みについて聞きました。事務所を開設した4か月後に東日本大震災に見舞われ、被災地の方々の法的問題に向き合ってきた高橋弁護士。被災地の弁護士として相続案件を扱う上で心がけていることや相続問題を弁護士に相談するメリットなどを聞きました。

インタビュー

東日本大震災をきっかけに相続分野に注力

事務所開設の経緯を教えてください。

うみかぜ法律事務所は2010年11月に開設しました。当時、宮城県内の弁護士事務所は仙台市に集中しており、石巻市には弁護士の数が少ない状況でした。弁護士会として「仙台市以外の地域にも弁護士を増やしていこう」という動きがあり、私自身もその意義に共感して石巻での開設を決めました。

石巻市は仙台市から車で1時間以上かかる距離にありますが、それまで多くの事件に仙台市の弁護士が対応していました。しかし、距離的な問題もあり十分な対応が難しく、弁護士会としても地域の法的支援の不足に強い危機感を持っていたのだと思います。

事務所名の「うみかぜ」は、沿岸地域らしいイメージを持たせるとともに、ひらがなで親しみやすい名前にしたいと考えたことから名付けました。

事務所を開設して4か月後、東日本大震災が発生しました。震災直後から、地域の皆さんの力になれるよう、復興に関する業務を中心に活動してきました。法的な支援を通じて、困難な状況にある方々を少しでも支えることができればという思いで、今も地域に密着した仕事に取り組んでいます。

事務所の理念を教えてください。

1つひとつの事件に誠実に向き合い、丁寧に対応していくことです。どの依頼もご本人にとっては人生に関わる大切な問題ですから、1件1件をしっかりとこなし、真摯に取り組む姿勢を忘れないようにしています。

東日本大震災の際には、避難所や市役所での法律相談に追われ、多くの方々の声を直接聞く機会がありました。被災された方々の不安や困難に向き合いながら支援を続けた経験は、今も私の弁護士としての理念の礎になっています。困っている方の気持ちに寄り添い、少しでも不安を和らげられるような法律サービスを提供することを心がけています。

相続分野に注力するのはどのような理由からですか。

高齢化が進む中で、相続は避けて通れない分野だと思います。特に地方では、親族が遠方に住んでいたり、土地の評価額が低いことなどから遺産分割がスムーズに進まないことも多く、弁護士が果たす役割は大きいと考えています。

また、震災で亡くなられた方の相続や、震災後の相続財産の管理や清算に関する案件、自治体による土地収用など、東日本大震災以降に多種多様な相続案件を経験し、知見を深めてきました。

今後、高齢化がさらに進めば、高齢の親族同士が争うケースも増加すると考えられます。こうした紛争は、当事者にとっても、地域社会にとっても大きな負担となりかねないため、相続分野に注力しています。

うみかぜ法律事務所_事務所外観

相続はミスが生じやすい分野

どのような相談が寄せられますか。

相談の中で特に多いのは、遺産分割と相続放棄です。

遺産分割については、やはり親族間で争いになっているケースが目立ちます。争いの原因は感情的な対立が根深いものや、財産の分け方で意見が分かれるものなど様々です。

また、一部の相続人が「話し合いに参加してくれない」「行動を起こしてくれない」などの理由で手続きが進まないと相談に来る方もいます。こうしたケースでは、円滑に話し合いを進めるためのサポートが求められます。

遺産分割で揉めているケースではどのような方針で解決を目指すのですか。

できるだけ話し合いによる解決を目指しています。話し合いが成立すれば、時間や経済的な負担を抑えて、当事者が納得できる解決が可能だからです。

ただ、実際にはスムーズに解決できるケースばかりではありません。当事者の数が少なく、相手方にも代理人がついている場合などは話し合いで解決することもありますが、感情的な対立や意見の食い違いがあると、交渉が難航することが少なくありません。そのため、調停を利用するケースが多いのが現状です。

協議で進めるか、調停を申し立てるかは、依頼者の希望や解決までのスピードを考慮して判断します。できるだけ依頼者の負担を抑え、納得のいく解決ができるように尽力しています。

相続案件を手がける上で心がけていることを教えてください。

相続案件は、細かなミスが生じやすい分野だと思います。例えば、相続財産の調査漏れ、不動産評価額や相続税に関する判断の誤りなどです。

こうしたミスがあると、依頼者の利益を最大化できないだけでなく、後々トラブルにつながる可能性もあります。そのため、丁寧な調査を徹底することを常に意識しています。

依頼者とのコミュニケーションにおいて意識していることはありますか。

相続は親族間の問題であるため、感情的になっている依頼者も少なくありません。そのため、依頼者の気持ちに寄り添い、丁寧に対応することを大切にしています。

また、解決策を検討する際には、依頼者の希望をできる限り尊重したいと思っています。しかし、法律上どうしても実現できないこともあります。その場合には、早い段階で見通しを示して、丁寧に説明することが重要だと考えています。

うみかぜ法律事務所_事務所入口

震災後の活動で得た地域の絆

相続問題を弁護士に相談するメリットにはどのようなことがありますか。

大きく分けて2つあります。1つは、感情的な負担を軽減できることです。相続は親族同士の問題であるため、感情的な対立が生じやすい分野です。弁護士が間に入ることで、直接相手方と交渉する必要がなくなり、精神的な負担を軽減できます。

また、相続人同士で話し合うと、感情的になりすぎて冷静な判断が難しくなることがあります。しかし、弁護士が関与することで、法的根拠に基づいた冷静な主張ができるため、不要な対立を避け、正当な権利を主張できます。

もう1つは、煩雑な手続きを任せられることです。相続に関する手続きは、財産の調査、遺産分割協議、相続税の申告など、多岐にわたり非常に煩雑です。法律や税務の専門知識が必要な場面も多く、一般の方がすべてを自分で進めるのは大変な負担になります。

弁護士に依頼すれば、面倒な手続きをすべて任せることができるため、スムーズに進めることが可能です。特に、相続人の間で意見が合わない場合や、法的なトラブルが発生する可能性がある場合は、早めに弁護士に相談することで、不要なトラブルを回避し、円滑に解決することができます。

相続分野における事務所の強みや特徴を教えてください。

独立して間もなく東日本大震災に見舞われたことで、多くの相続案件に関わりました。震災による相続問題は通常の相続とは異なり、複雑な要素が絡むことも多かったため、それらを解決する中で柔軟な対応力と実務経験を積み重ねることができたと感じています。

また、被災地の弁護士として、復興に関する業務にも積極的に関わってきました。相続問題においては、法律的な知識や手続きだけでなく、依頼者の置かれた状況や気持ちを深く理解することが大切だと思います。

震災から14年が経ち、震災に直接関係する相続案件は減りましたが、被災された方々の苦労や心情を理解していることは、今後の相続案件にも活きると考えています。

最後に、相続問題で悩まれている方へメッセージをお願いいたします。

相続問題は、弁護士に相談することで解決の見通しを立てることができます。 抱えている問題が比較的簡単に解決できるのか、あるいは慎重に進めるべき案件なのかを判断するためにも、早期の相談が重要です。

大切な方を亡くされた直後に相続のことを考えたり、弁護士に相談するのは心理的にも負担が大きいかもしれません。しかし、相続手続きには期限があるものもあり、時間が経つほど問題が複雑になることも少なくありません。だからこそ、できるだけ早くご相談いただくことが、最良の解決への第一歩だと思います。

また、「弁護士に相談すると紛争になってしまうのでは?」と不安に感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、弁護士の役割は、不要な争いを防ぎ、最適な解決策を見つけることです。今後どのように進めていくべきかの判断基準を得るためにも、まずはお気軽にご相談いただければと思います。

うみかぜ法律事務所_相談室