経験豊富な弁護士2名で相続に関する悩みを徹底サポート〜他士業との連携と家事調停官の経験が強み

兵庫県神戸市「シノディア法律事務所」の高木佐和子弁護士と上原隆志弁護士(兵庫県弁護士会所属)に相続分野の取り組みについて話を聞きました。弁護士経験10年以上の2人が培った豊富な知識と実務経験を活かし、依頼者一人ひとりに寄り添った解決策を提供。相続案件を扱う上で心がけていることや弁護士に相談するメリットについて伺いました。
インタビュー
依頼者と一緒に問題を解決する伴走者
事務所設立の経緯を教えてください。
高木:設立は2021年7月です。以前は上原弁護士と同じ神戸の法律事務所に所属していたのですが、そこを独立するにあたって、相続分野に強い法律事務所を作りたいという気持ちから、上原弁護士と一緒に新しい事務所を立ち上げることを決意しました。
以前の事務所でも共同経営者という形で働いていたので、新しい事務所を立ち上げることへの不安は特にありませんでした。弁護士2名体制で、法律問題で悩まれている方々を全力でサポートしています。
事務所の理念を教えてください。
高木:事務所名の「シノディア」には、ギリシャ語で「伴走者」という意味があります。弁護士というと、「依頼者をリードして引っ張っていく存在」というイメージがあるかもしれません。
しかし私たちは、弁護士がすべてを決めてリードするのではなく、依頼者と一緒に歩みながら、協力して問題を解決していく姿勢を大切にしたいと思っています。その思いを事務所の理念として、「シノディア」という名前をつけました。
また、専門性の高さも重要だと考えています。特に相続分野については、専門的に扱うことで知識と経験を深め、より高いレベルのサービスを提供したいと考えています。
相続分野に注力しているのはどのような理由からですか。
上原:社会全体の高齢化に伴い、相続に関するトラブルが増えていると感じるからです。遺産分割の問題や遺言書の作成、相続税の対策など、相続に関する悩みを抱えている方は多く、そうした方々を法的な側面からサポートしたいと考えています。
また、私は2021年10月から家庭裁判所の家事調停官を務めています。家事調停官は、家庭裁判所で行われる遺産分割調停や遺留分調停といった家事調停を専門的に取り扱う役職で、弁護士経験5年以上の者から、最高裁判所が任命します。弁護士をしながら、裁判官と同等の権限で調停を主催するため、非常勤裁判官という呼び方をすることもあります。
特に相続に関する法律は、2018年から大きな法改正が続いています。配偶者居住権制度の創設、遺留分減殺請求権から遺留分侵害額請求権への変更、相続登記の義務化、特別受益・寄与分の期間制限などは相続の実務に大きな影響を与える改正でした。また、相続税に関する法改正も頻繁になされています。
家事調停官の仕事を通じて、法改正を踏まえた家庭裁判所の新しい実務運用を経験することができていることも、私の弁護士としての強みになっています。こうした家庭裁判所での家事調停官の経験を活かせることが、私が特に相続分野に注力している理由です。
高木:相続分野は、司法書士、税理士、不動産鑑定士といった専門家と連携しながら取り組む必要があります。それぞれの専門家と協力しながら問題を解決することに、弁護士としての役割を強く実感します。
さらに、弁護士が介入することで、依頼者がより良い解決策を見つけられるケースも多いため、やりがいのある分野だと感じています。今後も最善のサポートができるよう、専門性を磨いていきたいと思います。
遺産分割調停のメリット
どのような相談が寄せられますか。
高木:相談に来られる方の多くは、当事者同士の話し合いだけでは解決が難しいと感じている方です。特に、遺産の分け方について納得できない相続人がいる場合、話し合いが進まなくなってしまうことがよくあります。
その背景にはさまざまな事情がありますが、よくあるケースとしては、「兄弟の中で1人だけが親から優遇されていた」「親と同居していた兄弟が財産を取り込んでいる」といったものです。
こうしたケースでは感情的な対立も深まりやすく、話し合いが平行線をたどり、弁護士に相談に来られるケースが多いです。
上原:相続財産に不動産が含まれる場合は、問題がさらに複雑になります。不動産の分け方や処分の方法について親族間で意見が食い違い、話し合いが進まないことはよくあります。
また、「親族同士がもともと不仲である」「前妻の子どもと、現在の配偶者・子どもとの間で関係が悪化している」というような複雑な家族関係が原因で冷静な話し合いが難しく、相談に来られるケースもあります。
遺産分割で揉めているケースでは、どのような方針で進めるのですか。
高木:まず依頼者がどのような解決を望んでいるのかをしっかり伺います。その上で、法的な見通しを伝えて、最適な方法を考えます。
依頼者の利益を最大化することは重要ですが、法的に実現が難しいケースもありますので、その点については丁寧に説明し、具体的なアドバイスを行いながら進めていきます。
上原:私たちの事務所では、比較的早めに調停に進むことが多いです。もちろん、当事者同士での話し合いが可能であれば、弁護士が間に入って協議を進めることもあります。
しかし、相手方に代理人がついていないケースも多く、交渉だけでは話がまとまりにくいことがあります。また、当事者間で長期にわたって話し合いをしても進展がないようなケースでは、代理人が入ったからといってすぐに解決するとは限りません。
そのため、依頼者と相談しながら、必要に応じて速やかに調停の手続きを進めるという方針をとることが多いです。
調停にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
上原:定期的に裁判所を通じて話し合いの機会が設けられることです。当事者同士では感情的になりやすく、冷静な話し合いが難しくなることもあります。しかし、調停では第三者である調停委員が間に入り、公平な立場で進行をサポートしてくれます。
さらに、毎回の調停ごとに「次回までに回答すべき課題」が明確になるため、依頼者にとっても進行状況が目に見える形でわかりやすいのが特徴です。
また、調停で合意に至らなかった場合でも、最終的には審判で裁判官が判断を下すため、必ず一定の解決が得られるというメリットがあります。また、審判では、裁判官が法律と証拠に基づいた判断を下します。調停・審判を通じたメリットとしては、公平で合理的な解決が得られるという点を強調したいです。
相続問題を扱う上で心がけていることはありますか。
高木:相続問題でお悩みの方は、多くの場合、心に不安を抱えていらっしゃいます。そのため、依頼者の話に耳を傾けることを第一に考えています。
依頼者のつらい状況や複雑な感情に真摯に向き合い、その気持ちをしっかりと受け止めることによって、依頼者の心の負担が軽くなることがあります。
また、依頼者自身も、抱えている思いを言葉にすることで気持ちの整理がつき、その結果、感情的な対立が和らぐこともあります。
相続問題は、法律の問題であると同時に家族の問題でもあります。感情の問題を整理しながら、適切な解決策を見つけていくことが重要だと考えています。
生前対策で将来のリスクを軽減する
相続問題を弁護士に相談するメリットにはどのようなことがありますか。
高木:相続問題は専門性が高く、法的な知識が不可欠な分野です。また、税金の問題や不動産の評価など、法律以外の分野も関係してくるため、税理士、司法書士、不動産鑑定士などの専門家と連携が不可欠です。
法的問題が解決しても、税金で大きな損失が出るようでは意味がありません。そうした点も考慮し、弁護士が窓口となって他の専門家と連携しながら問題を解決していくため、依頼者にとっては、スムーズに相続手続きを進められるというメリットがあります。
上原:相手方や裁判所と直接やり取りしなくて済むという点もメリットです。相続問題では、親族間の交渉が感情的になりがちですが、弁護士が間に入ることで、冷静な対応が可能になります。
また、弁護士は紛争解決の専門家です。法律に基づいて適切な方向性を示しながら、交渉・調停・裁判といった手続きを進めることができます。
相続分野における事務所の強みや特徴を教えてください。
上原:私が家庭裁判所の家事調停官を務めているため、調停や審判などの手続きに進んだ場合の見通しを的確に立てることができます。相続の紛争がどのように解決へ向かうのか、依頼者に具体的な道筋を示しながらサポートできるのは、大きな強みです。
また、私自身は弁護士として15年以上、高木弁護士も13年以上の経験があります。これまでの実績を活かし、依頼者の状況に応じた最適な解決策を提案できると自負しています。
特に、不動産案件を多く手掛けてきたため、不動産が関係する相続問題に強いという点も特徴の一つです。不動産の評価や分割方法については、専門的な知識が必要となる場面が多いですが、経験に基づく適切なアドバイスを提供できます。
さらに、税理士、司法書士、不動産鑑定士などの専門家との連携も当事務所の強みです。これまで多くの案件を扱う中で、地域の信頼できる専門家とのネットワークを築いてきました。相続問題は法律だけでなく、税金や登記など複雑な手続きが関わるため、弁護士が窓口となり、ワンストップでサポートできる体制を整えています。
今後の展望などはありますか。
上原:現在は紛争解決を中心に取り扱っていますが、将来的にはそもそも紛争が起こらないようにするためのサポートにも、力を入れていきたいと考えています。
相続トラブルは、事前の準備が不十分なことが原因で起こるケースも少なくありません。例えば、遺言書がなかったために親族間で対立が生じたり、認知症の方の財産管理が問題になったり、といったことがよくあります。
こうした事態を未然に防ぎ、関係者全員が納得できる形でスムーズに次世代へと資産を引き継げるようにすることが、今後の日本社会にとって重要だと考えています。
特に、高齢化の進行に伴い、認知症の方が増加している現状を踏まえると、高齢者の資産をどのように守り、次世代に引き継ぐのかが大きな社会的課題になっています。弁護士としても、この問題には強い関心を持っていますし、社会的にも意義のある取り組みだと考えています。
最後に、相続トラブルを抱えている方へメッセージをお願いいたします。
高木:1人で抱え込まずに、まずは相談に来てほしいです。どうしたらいいのかわからず、考え込んでしまう方が多いですが、その悩みを弁護士に相談していただければ、解決への方向性を示すことができます。
「弁護士に相談するのはハードルが高い」と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、私たちは、事務所の面談室を、完全個室としつつ、圧迫感がないよう壁の1面を半透明の曇りガラスにするなどして、相談者の方ができるだけリラックスして話していただける環境を整えています。肩肘張らずに、まずは気軽にご相談いただければと思います。
上原:相続問題は、「今すぐ解決しなくてもいい」と思われがちですが、先延ばしにすることで後々不利益を被ることが多いのが現実です。
例えば、重要な資料や証拠が時間とともに失われてしまったり、銀行の取引履歴が一定期間を過ぎると取得できなくなってしまったりすることがあります。虫歯と同じで、放置すると状況が悪化し、後で取り返しのつかないことになってしまうケースもあります。
また、相続が発生した後、親族などから「この書類にサインをしてほしい」「判子を押してほしい」と言われた場合、よくわからないまま応じてしまうのはとても危険です。その後に「大丈夫でしょうか?」と相談に来られる方も多いのですが、一度サインや押印をしてしまうと、後から覆すのは非常に難しいことがほとんどです。
ですから、書類の内容がよく分からないときは、必ず専門家の意見を聞いてください。 わからないことがあれば、その段階で相談することをおすすめします。
相続問題は、早めに相談することでスムーズに解決できることが多いです。「どうしよう」と悩んでいる方こそ、ぜひ一度ご相談にいらしてください。私たちが全力でサポートいたします。