徳島県内で約30年の弁護士経験。豊富な知見を活かし、「心は熱く頭は冷静に」相続問題に取り組む

徳島県徳島市で「弁護士法人大西聡法律事務所」を経営する大西聡弁護士(徳島弁護士会所属)に、相続案件に取り組む上での心構えや、事務所の強みを聞きました。弁護士過疎地域に事務所を構えて地域のニーズに応え続け、弁護士会の会長など様々な役職も歴任してきたという大西弁護士。豊富な知識と経験、依頼者との丁寧なコミュニケーションで、一人ひとりの背景事情や想いに合った解決を導きます。
インタビュー
地元・美馬市と徳島市に事務所開設。弁護士会の会長なども務めてきました
これまでの経歴を教えてください。
徳島県美馬郡(現美馬市)脇町出身で、中央大学法学部へ進学しました。1996年に弁護士になり、徳島市内の法律事務所で経験を積んだ後、2003年に地元美馬市に大西聡法律事務所を開設しました。2012年に法人化し、現在は美馬市と徳島市に事務所を構えています。
また、これまで徳島弁護士会の会長と副会長も務め、2025年4月からは四国弁護士会連合会の理事長を務めるなど、様々な役職も任せていただいております。
どういった想いから、地元に事務所を開設されたのでしょうか。
全国には、弁護士が全くいない、あるいは非常に少ない、「弁護士過疎地域」と呼ばれる地域があります。美馬市もその1つで、私が独立した当時は弁護士が1人もいませんでした。
しかしどんな場所にも法律問題はあり、弁護士の力が必要ですから、私が事務所を構えることで地元の皆様のお役に立ちたいと思ったんです。実際事務所を構えてみると、たくさんの相談・依頼が寄せられて、やっぱり弁護士が必要なんだと実感しました。
その後、徳島市内にも事務所を開設されたのは、どういった理由だったのでしょうか。
管轄の関係で、徳島市内の裁判所まで出向く案件が非常に多かったことが理由です。経費がかかるというデメリットはありましたが、徳島市内に事務所を構えれば、顧客との連絡も取りやすくなりますし、仕事ができない無駄な時間帯をなくすことができるなどのメリットがあることから徳島市内にも事務所を開設しました。
事務所の理念を教えてください。
「Cool Head, Warm Heart(心は熱く、頭は冷静に)」、そして「誠実な業務遂行」を理念にしています。
弁護士は、依頼者に寄り添って、依頼者の怒りや悔しさに共感することが大切です。しかし依頼者と一緒に感情的になってしまい、冷静に仕事ができないようではプロとは言えません。かといって、心まで冷めて冷淡な対応をしてしまうと、依頼者の満足は得られません。そこで、「Cool Head, Warm Heart(心は熱く、頭は冷静に)」ということを理念にしています。
「誠実な業務遂行」というのは当たり前のように聞こえるかもしれませんが、その当たり前を徹底することが大事です。依頼者の話をよく聴くこと、弁護士の考えを押し付けないこと、依頼者の本当の希望を汲み取り、その希望をできる限り実現すること、そういったことを日々心がけています。
弁護士に依頼したからといって、常に希望どおりの結果が出るわけではありません。その場合でも、依頼者が少しでも救われ、前向きに人生を生きられるようなお手伝いをしたいと考えています。
遺産分割から遺言書作成まで様々なご相談に対応
相続案件に注力している理由を教えてください。
相談が多いので、ニーズにお応えしたいという想いがあります。また相続は親族間の問題ですから、できるだけ問題を予防し、たとえ問題が起きても激化しないように解決することが重要です。そのために弁護士がお役に立てる部分が大きいことも、力を入れている理由です。
相続についてよくある相談内容を教えてください。
遺産分割や遺言書に関するご相談が多いです。遺産分割については、長男が多く相続すると主張して譲らない、遺産の多くが不動産で分け方の意見が合わない、感情的な対立があって話し合いが前に進まないといったご相談がよく寄せられます。
遺言書については、ご自身が他界した後にトラブルが起きないように遺言書を作りたい、被相続人が残した遺言書の内容に納得がいかない、遺留分侵害額請求をしたいといったご相談が多いです。
最近の相談の特徴や傾向があれば教えてください。
インターネットを使って、事前に知識を調べてくる方が増えました。基本的な知識をお持ちであれば話が早い場合もありますし、ご自身の希望を整理して来られる方もいるので、そういった意味ではよい傾向です。
一方、自分に都合のよい情報だけ集めたり、誤った理解をしている方も少なくないので、インターネット上の知識だけで判断しないようにご注意ください。
ベテランと若手が力を合わせて相続案件を解決します
相続案件を手掛ける上で心がけていることを教えてください。
相続では、当事者の長年にわたる背景事情や感情の対立があります。ですから法的に必要な部分だけでなく、様々な背景や依頼者の想いを知ることを心がけています。そうすることで、より依頼者の想いに沿った解決ができると感じています。
そのためにも、きちんと打ち合わせの機会を設け、打ち合わせの場ではしっかり依頼者のお話を聴くということも心がけています。
先生の事務所ならではの強みや、他の事務所との違いはどんなところでしょうか。
私は1996年から弁護士を続けており、様々な分野を手掛け、数多くの案件を解決してきました。弁護士過疎地域で独立したこともあり、それこそありとあらゆる相談が寄せられ、「この地域のために頑張るしかない」という責任感のもと業務にあたってきました。
その経験を通じて、先を読む力や、臨機応変に対応する力、交渉力など、弁護士に必要な力が磨かれたことは大きな強みです。
また、徳島県内で長年弁護士を続けてきましたので、相続で連携が不可欠な税理士・司法書士・土地家屋調査士・不動産業者などとのネットワークもあります。当事務所にご相談いただければ、様々な専門家と連携できることも強みです。
さらに当事務所には、若手弁護士も所属しております。これまでも何人かの弁護士が巣立っていきましたが、若い弁護士の感性やスピード感も大きな力になっています。
早めに相談することで、トラブルを防げたり、まだ小さなうちに解決できることも
相続について弁護士に相談するメリットを教えてください。
ご自身が今まさに悩んでいるケースと全く同じケースはありません。インターネットの情報は一般論に過ぎず、最終的には、ご自身の状況に合わせた解決方法を考える必要があります。弁護士に相談することで、その解決方法を知ることができるのは大きなメリットです。
早めに相談するメリットと、相談が遅れることによるデメリットを教えてください。
早めに相談することで、様々な備えができるので、トラブルを防げる可能性が高いです。反対に、相談が遅れることでトラブルが発生したり、トラブルが大きくなって解決に時間がかかったりする可能性があります。
たとえば遺言書は、「そのうち作ろう」「まだ大丈夫」と思う方もいらっしゃいます。しかし、その後時間が経過してしまって、亡くなられたり、判断能力の低下により遺言者が作成できないというケースも多くあります。ですから、遺言書というものが気になったときが相談すべきタイミングです。遺言書は、一度作っても書き直せますから、お元気なうちに弁護士に相談することをお勧めします。
初回の相談ではどのような対応をしているのでしょうか。
初めて弁護士に相談される方は、緊張されている方も多いです。リラックスしてなんでも話していただけるような声掛けや対応を心がけています。
これまで取り組んできた相続案件の中で、印象に残っているものはありますか。
父親が亡くなって、子どもが3人という遺産分割のケースがありました。私は二男から依頼を受けたのですが、二男は生前に父親から、ある土地の一部をあげると言われていました。
ただその土地というのが、長男が引き継ぐことになった会社の債務について、抵当権がついていたんです。ですからその土地の一部をもらっても、いつ抵当権が実行されて競売に出されるか分からないわけですね。
そこで私は、他の相続人や銀行、司法書士などと協議を重ねて、最終的には抵当権を外し、分筆を行いました。その結果、依頼者は抵当権がない土地を相続することができました。
遺産分割の過程で抵当権を外したり分筆したりすることは珍しく、解決までに2〜3年かかった大変な案件でしたが、終わったときには依頼者に非常に喜んでいただけました。
相続のトラブルを抱えて弁護士への相談を検討している方に向けて、メッセージをお願いします。
相続の問題は、時間が経てば経つほど不利な状況になったり、打てる手が少なくなったり、解決までに時間がかかったりすることが多いです。「将来争いになるんじゃないか」という心配があったり、「争いになったら嫌だな」という気持ちがある方こそ、早めにご相談ください。