遺言作成から手続き代行、紛争解決まで相続全般に対応。長年放置している登記の問題もお任せ

大阪市大阪府「森下総合法律事務所」の舘康祐弁護士(大阪弁護士会所属)に、相続分野の取り組みについて聞きました。依頼者・相手方双方の気持ちに変化が生じるタイミングを見逃さず、話し合いか調停による穏便な解決を目指す舘弁護士。相続人が多数のケースや、感情的対立が激しいケースにも粘り強く取り組みます。相続についてよくある相談や事務所の強みなどを聞きました。
インタビュー
丁寧に話を聞き、依頼者が希望する解決への道筋を提示します
先生のキャリアについて教えてください。
もともと東京出身で、上智大学文学部に進学しました。入学して一般教養の科目を受講する中で法律に興味を持ち、3年生のときに神戸大学法学部に編入しました。その後、神戸大学のロースクールを卒業して2009年に弁護士登録しました。
大阪市内の法律事務所で経験を積んだ後、2014年に妻の父が所長を務める「森下総合法律事務所」に移籍し、現在に至ります。
仕事をする上で大切にしていることを教えてください。
依頼者の話を丁寧に聞くことです。一見したところ案件解決には直接関わらないような話が出てきても、遮らずに聞きます。他の人には話せないけれど、弁護士である私になら言えることもあるでしょう。依頼者の「伝えたい」という思いを受け止めて、どのような話にもしっかり耳を傾けるようにしています。丁寧に話を聞く中で、ふとしたときに紛争解決のヒントが出てきたりすることもあります。
話をしっかりと聞いたうえで、依頼者がどのような解決を望んでいるか、整理して確認します。そして、依頼者の希望を実現するための法律上の請求内容や手続きを考え、提案します。提案に当たってはリスクも含めて丁寧に説明します。その上で、私の提案を受け入れるかどうかは依頼者のご判断に任せます。
一番は依頼者に納得いただくことなので、依頼者が納得して決断できるようにサポートすることが私の役割と考えています。
相続案件に注力している理由を教えてください。
一つは、高齢化が進展していく中で相続に関する問題はますます増える可能性が高く、ニーズに応えたいと考えているためです。
2016年から、「一般社団法人 日本相続支援士会」に参画したことも、注力するようになったきっかけです。日本相続支援士会では、弁護士のほか、税理士や司法書士、行政書士、不動産鑑定士、社会保険労務士などさまざまな士業が集まり、相続に関するセミナーを開催したり、相続でお困りの方のサポートをおこなったりしています。ここで知り合った士業の先生から相続案件の紹介を受けるようになり、取扱件数が多くなっていきました。
また、相続は家族法の分野でありながら、相続財産の種類によっては、全く異なる分野の法律知識が求められます。財産に不動産があれば不動産に関する法律知識が、株式があれば会社法の知識が必要です。案件を解決するには視野や知識を広く持たなければならず、求められるものが多岐にわたります。常に勉強してスキルを磨き続ける必要があり、非常にやりがいを感じられる分野であることも、注力する理由の一つです。
相続放棄や登記に関する相談を多く受けています
相続についてよくある相談内容と、解決までの流れについて教えてください。
最近増えているのは相続放棄です。負債がプラスの財産を上回り、放棄したいということで相談にくる方が多いです。
相続放棄の手続きには期限があり、原則として、被相続人が亡くなり、自分が相続人になることを知った時点から3か月以内(熟慮期間)に行わなければなりません。
時々あるのが、亡くなって3か月が経過した後に債権者から請求書が届き、借金があることを知るパターンです。そうすると、相続人としては「もう3か月経っているから相続放棄ができない」と思って債権者にお金を支払ってしまうことがあるのですが、実は熟慮期間が過ぎた後でも例外的に相続放棄が認められるケースがあります。
知らなかった借金が見つかった場合は、返済をする前に、相続放棄ができるかどうか弁護士に相談することをお勧めします。
また、登記に関する問題もよく寄せられます。例えば、田舎の実家を、亡くなった方の名義のまま何年も放置していると、新たな相続が発生して相続人の数がどんどん増えてしまいます。そうなってから名義変更をする場合、相続人一人ひとりと連絡を取り、必要書類を集めて…と非常に手間がかかりますし、一人でも反対する人がいると手続きが前に進みません。
事務的な手続きだけでなく、他の相続人と交渉したり、場合によっては調停など裁判所での手続きが必要になったりと、ご本人だけで対応するのは難しいケースがほとんどです。
私は以前、相続人が30人以上に膨れ上がった案件を手がけたことがあります。各相続人と丁寧にコミュニケーションを取り、時間はかかりましたが一人の名義に書き換えることができました。司法書士とも連携し、スムーズに名義変更を行えるようにサポートしますので、お困りの際はぜひご相談ください。
相続について弁護士に依頼するメリットを教えてください。
相続人間での話合いや裁判所での手続きにおいて、依頼者の代理人となれるのは弁護士だけです。弁護士に依頼すれば、相続の事務的な手続きはもちろん、他の相続人との交渉、調停や審判の対応など、相続に関する業務全般を任せられます。
相続について、税理士や司法書士に相談される方もいます。相続人間の争いがなく、税務や登記などの手続きだけであれば問題ないですが、少しでも紛争性がある場合は最初から弁護士に相談することをお勧めします。
すでに争いになっている場合だけではなく、「相続人同士が疎遠で、今までほぼ連絡を取っていなかった」「話し合いが難航しそうな感じがする」など少しでも引っかかりがあれば、弁護士に相談することで、早く、あまり費用をかけずに解決できる可能性が高いです。
当事者の心境の変化に寄り添い、納得感のある解決を目指します
事務所ならではの強みや、他の事務所との違いを教えてください。
当事務所の顧問先には不動産業者が多いため、不動産に関する案件を多く扱っています。相続案件にも不動産が絡む話は必ず出てきます。多くの経験があり、解決のノウハウを蓄積していますので、不動産が関わる相続案件には強いと考えています。
また、相続案件は税理士や司法書士、不動産鑑定士といった他の士業との連携が重要になってきます。私は日本相続支援士会を通じて、それらの士業とも提携しており、ワンストップで事案を解決することができます。
これまで取り組んできた相続案件の中で、印象に残っているものを教えてください。
子どもが複数人いるオーナー社長が亡くなったのですが、遺言がなく、遺産の分け方をめぐってきょうだい間で争いになった案件がありました。会社の後継者である長男から依頼を受けて受任しました。
遺産の内容や相続人の関係性が複雑だったため、まずは遺産と相続人の範囲を確定し、その上で遺産分割調停を申し立てました。きょうだい間の対立が激しく、依頼者は当初、「他のきょうだいには金を渡したくない」と言っていましたが、時間とともに気持ちが変化し、結果的には公平に分割することで相手方と合意しました。
解決までには時間がかかりましたが、最終的には穏便な解決に至り、依頼者からとても感謝され、その会社の顧問を任せていただくことになりました。
相続は家族間で起こる問題なので、当事者の感情的な対立が激化する傾向があります。ただ、家族だからこそ、どこかで「ある程度は歩み寄った方がいいのかもしれない」と冷静になるタイミングがあるのです。そのタイミングで依頼者に寄り添い、相手方を説得することで、最終的に納得いただいて和解になるケースが相続では多いと感じます。
これまでいくつも相続案件を手がけてきましたが、今のところ審判まで進んだケースはほとんどなく 、全て話し合いか調停で解決しています。今後もなるべく平和的で柔軟な解決を導けるよう、当事者の心境の変化にも目を配り、その変化に応じたサポートを心がけて、納得感のある解決ができるように努めたいと思います。
相談や依頼を検討している方へのメッセージをお願いします。
相談しようか迷っている方は、早めに一度、弁護士と話をしてみることをお勧めします。
相続放棄や相続税の申告のように期限がある手続きもありますし、問題がより深刻になる可能性もあるので、後回しにするのはリスキーです。相談だけでも早めにお越しいただければと思います。
一番大事なのは、相続開始前に相談に来ていただき、対策をしておくことです。ご自身が亡くなった後に家族をトラブルに巻き込みたくない、将来相続人になる方であれば家族同士で紛争になるのは絶対に嫌だ、という思いがあるなら、本当に、いち早く遺言の作成をした方が良いです。遺産の内容や相続人の関係性を踏まえて、どのような内容にすればトラブルを未然に防げるかをアドバイスします。お気軽にご相談ください。