きめ細やかなサポートで相続問題を円満解決に導く。税務の手続きにもワンストップで対応
新潟県三条市で「坂上富男法律税理事務所」を経営する江澤和彦弁護士に、相続案件を手掛ける上での心構えや事務所の強みを聞きました。江澤弁護士は65年以上続く法律事務所を引き継ぎ、弁護士業務に加えて税務に関する手続きにも対応しています。依頼者と丁寧に向き合い、わかりやすい説明を大切にしている江澤弁護士。相続の流れや法的ルールを知るためにも、法律相談を活用してほしいと話します。(新潟県弁護士会)
インタビュー
目の前で困っている人が、少しでも笑顔になれるように
これまでの経歴について教えてください。
出身は千葉県で、早稲田大学、関東学院大学法科大学院(ロースクール)を卒業しました。司法試験合格後の研修期間中に新潟県に配属されたご縁で、2017年に弁護士になり当事務所へ入りました。
当事務所は「坂上富男法律税理事務所」という名前のとおり坂上富男弁護士が65年以上前に開設した事務所ですが、坂上弁護士は私が入って約1年後に永眠いたしました。そこで私が当事務所を引き継ぎ、現在弁護士は私のみとなります。
事務所の理念を教えてください。
目の前で困っている人が、少しでも笑顔になれるようにということを大切にしています。私は弁護士になる前は15年ほど劇団で舞台俳優をしていたのですが、一人でも多くの人を笑顔にしたいという想いで舞台に立っていました。弁護士の仕事も同じ想いで取り組んでおり、今後も変わらないと思います。
事務所の理念を実現するために、具体的に取り組んでいることを教えてください。
当事務所では法テラスを積極的に活用することで、様々なご事情を抱えている方でも気軽に相談・依頼していただける体制にしています。
法テラスでは、一定の条件を満たす方を対象に、弁護士費用を立て替える制度を設けています。経済的な理由で弁護士費用を支払うことが難しい方にも、法的サービスを受けていただきたい。そのような思いから、法テラスの活用を推進しています。
また、学校を訪問して授業や講演も行っています。劇団に所属していた頃から、親のいない子どもや施設に入っている子どもに芝居を見てもらう活動をしていました。弁護士になってからも引き続き、子どもたちへの支援に取り組んでいます。
一人ひとりと向き合い、じっくり話を伺います。税金に関する悩みもお任せください
先生の事務所ならではの強みや、他の事務所との違いはどんなところですか。
相続では税金が問題になることが多いんです。当事務所は長年税理士業務も行っており、私は税理士資格も持っていますので、税金のことも視野に入れた解決策の提案ができます。相続税や不動産譲渡所得税などの申告が必要な場合も、当事務所がワンストップで対応できることも大きな強みです。
また長年続く事務所ですから、司法書士や不動産業者などとの信頼できるネットワークがあることも強みです。
依頼者とのコミュニケーションで心がけていることはありますか。
緊張して相談に来られたり、「こんなこと質問してよいのだろうか」と遠慮される方も多いので、まずはしっかりお話をうかがうことを心がけています。そのうえで、できるだけ難しい言葉を使わずにアドバイスや解決策を提案することを心がけています。
劇団に所属されていた経験は、弁護士業務にも活きていますか。
そうですね。たとえば目の前の相手がどんなことを言いたいのか察したり、相手の反応を見ながらわかりやすく説明するスキルは、演劇をやっていて身についたと思います。おかげさまで、話しやすいと言っていただくことも多いです。
依頼後、長い間の悩みがスピーディーに解決したケースも
相続についてよくある相談内容を教えてください。
一番多いのは遺産分割に関するご相談です。親や配偶者が他界して相続が発生したけれど、なにから手を付けてよいかわからないとか、遺産の調べ方がわからないといったご相談が寄せられます。
また、相続人同士では建設的な話し合いができず、間に入ってほしいということで相談に来る方も多いです。話し合いがうまくいかない理由は様々ですが、よくあるのは、元々仲が悪かったり、空き家や農地など処分に困る財産があったりするケースです。
相続案件を手掛ける上で心がけていることを教えてください。
色々ありますが、亡くなられた方の想いに沿って解決することを心がけています。生前の状況などから「きっとこうしたかったんだろう」と想像して、それを依頼者に伝えることもあります。
また、相続に限りませんが、弁護士に期待されていることは問題解決です。「それは法的に難しいですね」という答えで終わると解決になりません。他にどういう解決策があるか考え、提案することを心がけています。たとえば福祉につなぐことで解決する問題もあります。法的な解決が難しいとしても、何か対処法がないかを考えて提案することを大切にしています。
遺産分割協議について依頼を受けた場合、どのように進めていくのですか。
まずは他の相続人に書面を送って、「こういう内容で遺産分割したい」と提案します。それに対して返事があれば、説明や交渉をして協議成立を目指します。
どうしても話し合いが難しいケースでは、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てます。ただ、調停になると、「裁判沙汰にされた」というネガティブな印象を持たれることもあります。できるだけ調停は避けて、話し合いでの解決をはかるようにしています。
これまで取り組んできた相続案件の中で、印象に残っているものはありますか。
相談に来られた時点で、1年ほど自分で遺産分割調停をしていて、なかなかうまくいかないという方がいらっしゃいました。私が依頼を受けて調停に対応したのですが、わずか2回の調停で無事に解決となり、大変喜んでいただけました。
先生が対応したことで、どういう効果があったのでしょうか。
感情論や証拠がない状態で主張しても、なかなか裁判所や他の相続人の理解は得られません。そこで私は、依頼者の主張をしっかり法律的に構成して、主張を裏付ける証拠を提出しました。丁寧な主張・立証活動がカギとなり、裁判所に依頼者の言い分を認めてもらうことができました。
解決までの過程において心がけていたのは、依頼者と細やかなコミュニケーションを取ることです。法律のルールや解決までの流れについて丁寧に説明し、正確に理解してもらえるように努めました。私の方針に納得していただき、解決に向けて、依頼者自身が前向きな気持ちで臨めたことも、いい結果につながった理由だと思います。
自分で対応すると間違えるリスクも。トラブル予防のためにも法律相談を活用してください
相続について弁護士に相談するメリットを教えてください。
相続を初めて経験する方も多いので、そもそも基本的な知識や流れがわからない方が多いです。そのような状態で自分で対応すると、どこかで間違える可能性が高いといえます。自分が損をしていることに気づかないまま、不利な条件に合意してしまうこともあるかもしれません。
一方、弁護士に相談すれば、相続全体の流れを理解できますし、悩んでいることや疑問に思っていることについて法的に正しいアドバイスを受けられます。その結果、トラブルを防げたり、損をすることを防げたりすることは大きなメリットです。
早めに相談するメリットと、相談が遅れることによるデメリットを教えてください。
早めにご相談いただくことで、トラブルを防止できますし、トラブルが起きてしまったとしても、問題が小さい段階で対処することで早く解決する可能性が高いです。トラブルが大きくなってしまった後だと、どうしても解決までに時間や費用がかかる上、感情的な対立も激しくなって、相続の手続きが終わった後も関係性にしこりが残る場合があります。
無駄なコストをかけず、なるべく円満に解決するためにも、早めのご相談をお勧めします。
相続について悩み、弁護士への相談を検討している方に向けて、メッセージをお願いします。
相続は人生で何度も経験することではないので、「どうしたらいいんだろう」と不安に思うことがあって当然です。少しでも、気になること、わからないことがあれば、気軽に相談してください。