沖縄で活動して20年以上。独自の文化を理解し、軍用地やトートーメをめぐる相続問題にも対応
沖縄県那覇市「美ら島法律事務所」を経営する横江崇弁護士(沖縄弁護士会所属)に、相続分野への取り組みについて聞きました。身近な弁護士であることをモットーに、20年以上沖縄で活動を続ける横江弁護士。沖縄ならではの相続問題の解決実績も豊富です。地元の不動産業者や他士業とのネットワークも活かし、相続に関する様々な困りごとを解決に導きます。
インタビュー
地元の方々にとって身近な弁護士でありたい。内装にもこだわった相談しやすい事務所です
事務所設立の経緯を教えてください。
2003年10月に弁護士登録し、2006年4月に独立して「美ら島法律事務所」を設立しました。
私は東京出身ですが、司法試験合格後の司法修習を沖縄で受けて、そのまま残りました。修習地として沖縄を希望したのは、単純に楽しそうだったというのもありますが、沖縄は基地があったり昔ながらの慣習が色濃く残っていたりと、文化的に特殊な地域でもあります。沖縄ならではの課題や問題を修習で勉強したいと思ったのも理由です。
当事務所では、離婚や相続、交通事故などの家事・民事事件をはじめ、刑事事件や中小企業支援など幅広い分野を取り扱っています。
さらに、ライフワークとして取り組んでいるのが、子どもの権利に関する問題です。沖縄は貧困率が高く、特に子どもの貧困問題はとても深刻な状況です。貧困、非行、虐待、いじめなどの厳しい思いをしている子どもたちがたくさんいるのが現実で、そういった問題にも精力的に取り組んでいます。2016年には「NPO法人子どもシェルターおきなわ」を設立し、理事長に就任しました。また、沖縄県や市町村、弁護士会の子どもに関する審議会の委員などの活動もおこなっています。
県外から沖縄に来て、沖縄が好きになり、20年以上この地で弁護士として活動してきました。美しい沖縄を守っていくことに力を尽くしたい、沖縄の方々のさまざまな困りごとに寄り添いたいという思いを胸に、日々活動しています。
事務所の理念や大切にしていることを教えてください。
「弁護士を身近に感じてもらいたい」ということです。
トラブルが起きたとき、起きそうなときに、相談できる人は周りにいるでしょうか。誰にも相談できず、1人で悩みを抱えているなら、ぜひ弁護士に相談してほしいと思っています。
「弁護士は敷居が高い」と思われがちですが、早めに相談していただくことが、解決のための第一歩です。当事務所は、気軽に何でも相談していただけることをモットーにしています。内装にこだわり、堅苦しくなく、落ち着き、安心できる環境を整えました。私自身も、なるべく話しやすい、接しやすいと思ってもらえる対応を心がけています。
弁護士に相談、依頼をすることは、一生に一度の重大な問題が起きたときかもしれません。その重みを常に意識して、親身に、誠実に対応しています。
沖縄ならでは相続問題にも対応。生前対策の相談もお気軽に
相続分野に注力している理由を教えてください。
沖縄県は独自の文化や風習がある土地です。しきたりが重んじられやすい相続の場面では、沖縄ならではのトラブルが発生することもあり、そういった場合にきちんと対応したいという思いから力を入れています。
軍用地やトートーメなど、沖縄独自のトラブルについてもしっかり理解し、解決をサポートします。
沖縄独自の相続トラブルというと、例えばどのようなケースがありますか。
よくあるのは軍用地の問題です。軍用地は毎年それなりの金額の地代が入ってきて、持っているだけで安定的な収入源になります。そのため、相続の対象となった場合に、どのように分割するかをめぐって相続人間で争いになることが少なくありません。
解決方法はケースバイケースですが、誰か1人が取得して、代わりに他の相続人にお金を支払うという形で解決をはかることが多いです。代償分割という方法です。
代償分割をする際は対象となる土地を評価する必要がありますが、評価額をいくらと見るかで揉めることがあります。その場合は、連携している複数の不動産業者に査定をお願いし、案件の状況に応じて、一番適正な評価額を当事者の皆さんに提示します。「これでいきましょう」という合意を得た上で、代償金の具体的な金額を決めていきます。
他によく寄せられる相談はありますか。
多いのは、「相続人間で誰がどの財産を取得するか揉めている」、「遺留分を請求したい」、「被相続人のために貢献したから取り分を多めにしてほしい」(寄与分)、「一部の相続人が被相続人からお金をもらっていた」(特別受益)などのご相談です。
相続財産の出金に関する相談もよくあります。例えば、被相続人の介護とお金の管理をしていた相続人に対して、他の相続人が、「介護に必要なお金だけではなく、自分のために使うお金も引き出していたんじゃないか」と疑いをかけるケースです。お金の引出しの問題については、疑う側・疑われた側どちらからも依頼を受けていて、多数の案件を手がけた経験があります。
この他にも、遺言無効の争いや数億円規模の高額な遺産分割、相続人の数が多い複雑なケースなど、相続に関連するありとあらゆる案件を扱い、解決に導いてきました。被相続人の世話を献身的におこなっていた依頼者について、一定割合の寄与分が認められたケースもあります。
相続問題では、当事者の感情的な対立が大きかったり、長年続いてきた慣習がトラブルの背景にあったりすることも少なくありません。解決にあたっては法律のルールに従うことが原則ですが、依頼者の話をよく聞いて、お気持ちや慣習にも配慮することを大切にしています。法律でできることと、依頼者が気持ちの上で希望していること、この2つのバランスを考えながら、できるだけ納得感の高い解決につながるように進めていきます。
生前対策についても相談できますか。
はい。遺言書の作成や、相続税対策、不動産の管理など、様々な観点から最適なプランを提案しています。
自身の財産を巡って、ご家族が争ってしまうのは避けたいですよね。沖縄には独自の風習・慣習があるものの、時代とともに考え方も変わっています。「慣習通りに相続してくれるだろう」と思っても、実際に相続が発生したときには、争いに発展してしまうケースも少なくありません。
そのため、事前に生前対策をしっかりとしておくことをお勧めします。
長年の経験で得られた迅速な対応、見立ての的確さを駆使し、相続問題の解決をサポート
相続について弁護士に依頼するメリットを教えてください。
遺産を相続する人や、それぞれが相続する割合は法律で決められています。しかし、実際の遺産分割の場面では、そうシンプルには解決できないことがほとんどです。
特に沖縄では「長男がトートーメを継承し、長男が全ての遺産を受け継ぐ」という慣習が根強い傾向があります。もちろん、慣習を大切にする方もいますが、法律で権利が認められている以上、それでは納得できない方もいます。
また、それ以外にも不動産や軍用地のように分割が難しい遺産があったり、被相続人とのこれまでの関係性による思い入れがあったりと、主張がぶつかる要因は様々あるでしょう。
遺産分割争いは、一度起こってしまうと年単位で長期化してしまう可能性があります。早い段階で弁護士に依頼することで、問題点を整理し、法的な視点で遺産分割を進めることができます。
ストレスが軽減することも、弁護士に依頼するメリットです。相続問題の多くは親族間で発生するため、感情的な対立が大きくなる傾向があります。弁護士に依頼することで、他の相続人との交渉を任せることができます。対立する相手と直接やりとりする必要がなくなり、心理的負担がかなり軽くなるでしょう。
先生の事務所ならではの強みや、他の事務所との違いを教えてください。
弁護士として活動を始めてから今年で22年目になり、これまで様々な経験と実績を積んできました。相続は手続きが多岐に渡り、早期解決のためには迅速な対応が必要ですが、年々スピーディーに進められるようになっていると実感しています。また、見立て、つまり今後どういう展開が予想されて解決のために何をすべきか、といった先行きの予測も、経験を積むほどに精度が上がっています。
対応のスピード感や見立ての精度は、いくら本を読んでも獲得できず、経験を積むことでしか育てられないと思っています。長く弁護士を続けてきたからこそ得られた強みです。
また、一貫して沖縄で活動し、この土地特有の問題も含めて、様々な相続問題を解決してきました。地元の不動産業者や司法書士、税理士など、相続に関連する専門家とのネットワークも築いているので、不動産評価や登記、税務の問題も当事務所が窓口となって対応します。
「今さら無駄」と諦めず、思い立ったタイミングでご連絡ください
相続について、弁護士への相談や依頼を検討している方へメッセージをお願いします。
相続問題の解決には早めの相談が肝心です。先延ばしにするほど感情的な対立が深まり、解決までにかかる時間が長くなってしまいます。できるだけ早く相談や依頼をしていただければ、問題が小さいうちに適切な対処ができ、早期解決につながります。
ただ、どんなタイミングであっても、相談する意味がないということはありません。相談時点での状況や、その時点でわかっている事実などを踏まえて、今よりも状況を好転させるためのアドバイスをお伝えします。「今さら相談しても無駄だろう」と諦めず、思い立ったタイミングで一度ご連絡ください。お待ちしています。