琴似に根ざして約10年。相続問題に事務所一丸となって取り組み、依頼者の明日を明るく照らします
北海道札幌市西区で「琴似あかつき法律事務所」を経営する小野暁世史弁護士(札幌弁護士会所属)に、相続案件を手がける上での心構えや、事務所の特徴などを聞きました。裁判官として30年以上の経験がある小野博道弁護士と親子二人三脚で、依頼者の悩み解決に取り組む小野弁護士。1時間以上かけて丁寧に話を聞き、明るい未来に向かうための道筋を示します。
インタビュー
元裁判官の父や他士業と連携し、悩みを解決します
事務所設立の経緯を教えてください。
2009年に北海道大学ロースクールを卒業し、翌年司法試験に合格して2011年に弁護士登録しました。札幌市内の法律事務所で修行したのち、2014年に現在の事務所を開設しました。
琴似は札幌市内でも大通周辺に次いで栄えている地域です。琴似駅にはJRも地下鉄も通っているので交通アクセスが抜群で、札幌市内外どこからでも足を運んでもらいやすいと考えて、ここに事務所を構えました。
「琴似あかつき法律事務所」という事務所名の由来を教えてください。
私の名前に入っている「暁」という字から取りました。「暁」には、夜明け前に、これから太陽が上ってくるという意味があり、依頼者に明るい未来を提供したいという想いを込めています。事務所のロゴに使っているオレンジ色も、太陽の光をイメージしています。
事務所の特徴を教えてください。
4つの特徴があると考えています。
1つ目は、丁寧なコミュニケーションです。私は依頼者の話をじっくり聞きたいタイプなので、打ち合わせには充分に時間をかけます。短くても1時間、長ければ2時間くらいになることもあります。事件の全体像を掴む必要があるので、初回の相談は特に丁寧に話を聞くようにしています。説明する際はホワイトボードに図を書き、視覚的にもわかりやすく伝えています。
2つ目は、裁判官として30年以上の経験がある父の存在です。事務所には週に3日ほど出勤していて、タイミングが合えば依頼者との打ち合わせにも同席してもらっています。様々な事件に裁判官の立場で関わってきた知見に基づき、依頼者の問題に対して的確な見通しを提示することが可能です。
依頼者から「元裁判官の方がそう言うなら、安心できる」と言われることも多いです。案件への対応方針を父と話しながら決めることもあり、私にとっても父の存在は大きな力になっています。
3つ目は、地域に密着した事務所であることです。琴似で開業したのは、交通の便がいいのもありますが、この街の下町的な雰囲気が好きなことも大きな理由です。札幌市内で法律事務所が多いのは大通の西11丁目近辺ですが、私はその辺りよりも、琴似の穏やかな空気に惹かれました。大好きな琴似で、地域の皆さんとのつながりを大事にし、いつでも気軽に相談できる事務所でありたいと思っています。
4つ目は他士業とのネットワークです。10年ほど前から主催している勉強会を通じて、税理士や会計士、行政書士、司法書士、不動産業者など、様々な専門家の方とのネットワークができました。
勉強会という堅苦しくない場で仲良くなった方々なので、ざっくばらんに話ができ、お互い気軽に相談しあえる間柄です。登記や税務など、弁護士だけでは対応が難しい問題に直面したときも、信頼する専門家の方と連携して解決を目指せます。この点も当事務所の特徴だと考えています。
事後のトラブルも事前の対策もお任せください。じっくり丁寧にお話を伺います
相続について、よく寄せられる相談は何ですか。
大きく、「相続発生後の相談」と「事前の対策の相談」の2つに分けられます。
相続発生後の相談として多いのは、使途不明金に関することです。たとえば、「被相続人の通帳を調べたら、たびたびお金が抜かれていた。本人は長い間入院していて寝たきりだったので、こんなに頻繁に出金の履歴があるのはおかしい。調査してほしい」というような相談です。
使途不明金に関する相談を受けた場合、まずは被相続人の通帳を管理していた人や、お金を引き出せる立場にあった人を調べます。加えて、銀行から出金履歴を取り寄せて、どのくらい引き出されているのかを集計します。私が過去に手がけた案件では、集計の結果、不自然な出金が数千万円にのぼったケースもありました。
これらの調査をした上で、使い込みが疑われる人に対して、いつ何のためにどのくらいお金を使ったのかを追及していきます。相手方からは「これは被相続人の医療費として使った」などと反論が出てくるので、必ずしも集計した分を全額回収できるとは限りませんが、折り合いがつく着地点を探しながら交渉を進めていきます。交渉がまとまらない場合は、調停で交渉を続けて、それでも解決しなければ、審判という形で裁判所に判断を求めます。
他に相続発生後の相談でよくあるのは、遺産の分け方や、分ける金額・割合についての揉めごとです。たとえば、不動産を取得したい相続人と売却してお金に換えたい相続人が対立するケースや、被相続人から多額の援助を受けていた相続人に対して、「もらった分を差し引くべきだ」という声が上がって揉めるケースなど、様々な相談があります。
事前の対策についての相談はいかがでしょうか。
遺言作成の相談が多いです。遺言を作ることで、財産の分け方を指定できますし、遺産分割協議をする必要がなくなるので、残された家族の手間を減らせます。特に効果的なのが、音信不通の相続人がいるケースです。遺言がなければ、その人の所在を特定して連絡を取るなどの手間がかかります。一方、連絡が取れる相続人だけに財産を残すという遺言があれば、音信不通の相続人を関与させずに相続の手続きを進められます。
また、最近は親族間の事業承継に関する相談もあります。どのように進めていくかを当事者と話し合います。
父は裁判官としてのキャリアに加えて公証人も10年ほど務めていて、遺言書作成の経験が豊富です。財産の内容や相続人の関係性、依頼者自身の意向を踏まえて、最適な内容をご提案します。
相続の案件を手がける上で心がけていることを教えてください。
一つは、依頼者の話をよく聞くことです。打ち合わせをしていると色々な話が出てきて、中には法律とあまり関係のない話題もあります。弁護士によっては「それは関係ないです」とバッサリ切る方もいるようです。ただ、そうすると依頼者は「話を聞いてもらえなかった」と不満に思うでしょう。一見関係のない話の中に解決のヒントが隠れていることもあるので、私はまずは耳を傾けるようにしています。
もう一つは、シビアな見通しであってもきちんと伝えることです。「認められますよ」と言いながら、いざ審判や判決が出たときに全くこちらの主張が通らなかったとなると、依頼者のショックが大きいと思います。現実的な見通しを示して、心の準備をしてもらうことも弁護士の役割です。幾つかのパターン分けをして、ポジティブな結果になる可能性も厳しい結果になる可能性も、丁寧に説明することを大切にしています。
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相続について、弁護士に相談や依頼をするメリットを教えてください。
相続の問題が話し合いで解決しない場合、遺産分割調停や審判などの手続きによって解決をはかります。これらの裁判上の手続きにおいて依頼者の代理人になれるのは弁護士だけで、司法書士や税理士を代理人にすることはできません。そうすると、相続の紛争解決のノウハウを一番蓄積している専門家は弁護士ということになります。
司法統計のデータを見ると、裁判上の手続きに移行した場合に代理人を立てる人は8割ほどです。自分で調停に臨む場合、相手方の弁護士と直接やり合うことになる可能性があります。
相続の知識と経験が豊富で交渉力も高い弁護士に、一般の方が自力で立ち向かうのはかなりハードルが高いと思います。相続に精通した弁護士を代理人に立てることで、適切な主張・立証活動によって有利に交渉を進めてもらえます。その結果、ご自身の意向に沿う結果を得られることも期待できます。ご自身が矢面に立つ必要がないので、ストレスも軽くなるでしょう。
これまで手がけた相続案件の中で、印象に残っているものはありますか。
相続として受任した案件ではないのですが、印象に残っているケースがあります。
親が亡くなり、3人の子どもたちが相続人になりました。財産の総額がそれなりに大きく遺言がないという、一見したところ紛争リスクが高いケースでしたが、兄弟仲がとてもよく、1人が全て相続すると言っても誰も文句を言わなかったんです。「お前が親の面倒を見ていたんだから、全部もらっていいよ」という感じで、円満相続を絵に描いたようでしたね。
全く争いがなかったので手続きも当事者間で進めて、何の問題もなく完了しました。「一番の相続対策は家族関係をよくしておくことなんだな」と実感したケースとして、印象に残っています。
相続のトラブルを抱えて弁護士への相談・依頼を検討している方に、メッセージをお願いします。
相続のトラブルは親族間で生じます。近しい関係だからこそ遠慮がなくなり、言葉もきつくなったりして、当事者の方は大変なストレスを抱えていると思います。
弁護士のサポートを受けることで、ストレスはかなり軽くなります。相談するだけでも先の見通しが立ちますし、依頼して代理人になってもらうことで、他の相続人とのやりとりや手続きを全面的に任せられます。ぜひ一度、気軽に相談していただければと思います。
当事務所では相続のセミナーも開催しています。終活や事業承継、相続発生後の手続きのやり方などテーマは様々です。「相続人になるのは誰?」「法定相続分とは?」など、相続に関する知識を基本のキから説明しますので、どなたでもご参加いただけます。
毎回アンケートを取っていて、「声がいい」ですとか(笑)、「スライドわかりやすかった」など、嬉しいご感想をいただいています。1時間くらいお話するのですが、「足りなかった。もっと聞きたい」という声も多く、ありがたいなと思っています。
詳細は事務所のホームページで告知しているので、興味がある方はぜひお越しください。