相続のお悩みは「早めの相談」が解決の近道。豊富な経験を活かし、依頼者を親身にサポート

熊本県熊本市で「新屋敷法律事務所」を経営する木上望弁護士にインタビューを行いました。依頼者の話をじっくり聞いて意向を尊重し、認識を擦り合わせながら二人三脚でゴールに向かうことを大切にしている木上弁護士。徹底的な調査と長年の経験に基づく的確な見通しで、相続問題をスムーズに解決します。弁護士として大切にしていることや相続の対応方針、事務所の強みなどを聞きました。(熊本県弁護士会所属)
インタビュー
一つひとつのご依頼に全力を尽くす
事務所設立の経緯を教えてください。
「一つひとつの事件にじっくり向き合いたい」という思いで、独立しました。2017年に熊本へ移住したあと、勤務弁護士を経て、2022年に現在の事務所を開業しています。独立後は理想とする時間の使い方ができるようになり、一件一件をより丁寧に進められるようになりました。
医師が「手を尽くしました」と説明すれば患者は医療の専門知識がないため、それ以上は判断できないように、弁護士の仕事も依頼者からすると検証が難しい性質があります。だからこそ、常に全力を尽くし、依頼者と自分自身が納得できる仕事をしなければならないと考えています。
開業地として選んだ熊本は、家族との話し合いで決めました。周囲が山に囲まれていて、街の中心には大きな川が流れているという、私の地元・京都に似た雰囲気にも魅力を感じました。すっかり愛着のある土地になりましたね。
地方都市ならではの相続の特徴はありますか?
昔ながらの人間関係が残っている地域であればあるほど、長男・長女に期待が集中する傾向があります。特に家業を継いでいるケースでは、その傾向が顕著です。他の兄弟姉妹は大都市に出ていることも多く、両親と同居している家族と、年に数回しか会えない家族との間で情報格差が生じやすいという特徴があります。
遠方にいる相続人は、被相続人の晩年の状況を把握できていないことも多く、それが不信感につながるケースもあります。このような場合、弁護士が間に入ることで、正確な情報が伝わり、誤解が解けることも少なくありません。
依頼者と二人三脚での解決を目指して
弁護士として大切にしていることを教えてください。
一番大切にしているのは、依頼者と二人三脚で問題解決を目指すことです。我々弁護士にとってはよくある問題でも、依頼者にとっては一生に一度の経験かもしれません。一方的に進めるのではなく、よく話を聞いて意向を尊重し、認識を擦り合わせながら進めていくことを心がけています。
特に相続は親族間で生じる問題だけに感情的になりやすく、当事者だけでは冷静な判断が難しくなることも多いです。本当の希望がどこにあるのか、何を求めているのか、じっくりと確認することが大切です。
相続の対応で特に気を付けていることを教えてください。
相続問題では、何十年にもわたって積み重なった感情が一気に噴出することもあります。例えば、「小学校の頃からの差別的な扱い」「大学進学時の援助の違い」など、長年の不満が相続を機に表面化するケースも少なくありません。
そのため、まず依頼者の話をじっくりと伺い、何が争点なのかを早めに整理することを心がけています。具体的には、相続人の範囲、相続財産の内容、分割方法などを確認しながら、法的な主張と感情的な部分を丁寧に切り分けていきます。そのうえで、依頼者の気持ちに寄り添いながら、法的な解決の道筋を示すようにしています。
依頼者の気持ちに寄り添いながら、家族関係やこれまでの人生を振り返り、気持ちの区切りをつけられるよう支援することも大切にしています。この経験を乗り越えて未来への一歩を踏み出せるよう、解決までサポートしていきたいです。
相続でよくあるご相談と、解決までの流れを教えてください。
典型的なケースとして、遺言書作成と遺産分割の相談が多いです。遺言書作成では、「実家は配偶者に、その他は子どもたちで分けてほしい」といったご希望を詳しく確認し、抜け漏れが生じないよう丁寧に文案を考えていきます。
一方で、遺言書ではスピード感も重要視しています。公正証書遺言は要件の不備で無効になるリスクが少ないなどのメリットがありますが、手続きに時間がかかるのが難点です。過去の経験では準備中に依頼者が亡くなったり、認知症が進行したりするケースもありました。そのような事態に備えて、ひとまず自筆で思いを書き留めておくことをお勧めすることもあります。
また、「兄弟で遺産分割の話し合いがまとまらない」というご相談もよくあります。このような場合、まず相続財産の全容を把握し、各相続人の状況や希望を丁寧に確認します。そのうえで、法定相続分を基準に具体的な分割案を検討していきます。
このように相続に関するご相談はさまざまです。特にトラブルは起きていない状況の方から、「この進め方で法的に問題ないか確認したい」というご相談を受けることもあります。すでに起きているトラブルの解決だけではなく、早めの段階でトラブルの芽を摘むお手伝いもしていますので、気軽にご相談いただければと思います。
徹底した調査と的確な見通しが強み
事務所の強みを教えてください。
徹底した調査と、約20年の豊富な知見を活かした見通しの正確さです。情報に漏れがなければ検討の精度が高くなり、より正確な見通しが立てられます。だからこそ依頼者の話をよく聞くことを大切にしています。もちろん、相続法改正や信託の勉強など、日々の研鑽も欠かしません。
また、司法書士や税理士との連携による総合的な解決力も強みです。税務申告など専門家が必要な問題でも、弁護士が窓口として対応できる体制を整えています。
依頼者からはどのような先生だと言われることが多いですか?
ありがたいことに、「話しやすい」「親しみやすい」「第一印象が良い」という評価をいただくことが多いです。自分としてはむしろシャイな方だと思っていますが、なぜか活発な印象を持たれることが多いようです。
特別なことをしているわけではないのですが、もしかしたら、弁護士は「依頼者の問題解決をお手伝いする専門家」という職業意識を持ち続けているからかもしれません。
また、経験を重ねるほど謙虚になるべきだと考えています。常に初心を忘れず、弁護士1年目の頃のような緊張感と真摯な姿勢で、一つひとつのご依頼に向き合うことを心がけています。
相続で印象に残っているご依頼を教えてください。
法定相続人に該当しないご親族からのご依頼が印象に残っています。依頼者は被相続人とは遠縁で、直接の血縁関係はなかったものの、近くに住んで親しく支え合っていました。
そのような関係性だったことから、被相続人は生前、「依頼者に全財産を譲るので、墓も含めて管理してほしい」と話していましたが、遺言を作成していませんでした。理論上は、相続人である被相続人の兄弟や、その子どもたちに財産が相続されることになります。故人の意思に基づいて財産を受け取れないか、ということでご相談いただきました。
すでに数軒の事務所に断られているほど難しいご相談だったので、諦めるのは簡単でしたが、お受けすることにしました。依頼者と協議のうえ、「ダメかもしれないけれどやってみよう」と。「言うのはタダ」という関西人特有の商売根性もあったかもしれません(笑)。
相続人に丁寧に手紙を書いて経緯を説明し、被相続人の意向を伝えて、相続分の譲渡をお願いしてみました。
すると結果として、多くの相続人から「遺産を譲ります」と同意してもらい、想定以上に多くの財産を取得できました。依頼者からとても感謝されて嬉しかったですね。何事もやってみなければわからないものだと実感しました。
早めの相談が円満解決への近道
相続でお悩みの方へメッセージをお願いします。
家族や親族間のトラブルは、互いが感情的になりやすく、当事者だけでは解決が難しいものです。また、迷った末の行動で、後から取り返しがつかなくなってしまうこともあります。だからこそ、悩んだら早めにご相談ください。一人で悩まず、適切なアドバイスを受けることで、スムーズな解決につながります。