相続弁護士 ドットコム
ひとよし法律事務所(熊本県人吉市)

ひとよし法律事務所

所在地
熊本県 人吉市上青井町140-29-202 アンビアンス青井
受付時間
  • 平日可
  • 週末可
  • 祝祭日可
初回相談料
2,200
/
30分まで
(税込)
電話受付中
9:30-17:00
050-5284-6397

人吉・球磨地域に根差し、長年放置された相続問題を粘り強く解決。農地や空き家が絡む問題にも強み

中嶽 修平ひとよし法律事務所
人吉・球磨地域に根差し、長年放置された相続問題を粘り強く解決。農地や空き家が絡む問題にも強み

熊本県人吉市で「ひとよし法律事務所」を経営する中嶽修平弁護士(熊本県弁護士会所属)に、事務所の理念や、相続案件に携わる上で心がけていることなどを伺いました。地域の方々が気軽に相談でき、安心して話せる事務所を目指していると語る中嶽弁護士。相続について弁護士に相談・依頼するメリットについても詳しく聞きました。

インタビュー

市役所職員から弁護士へ転身

事務所設立の経緯を教えてください。

私は熊本県球磨郡水上村の出身です。大学卒業後は、現在事務所を構えている人吉市の市役所に勤務していました。この人吉市や水上村を含む、人吉・球磨地域には、私が若い頃には弁護士が1人もいませんでした。

市役所に勤めている間に、弁護士が1人、2人と増えましたが、いずれの法律事務所も「ひまわり基金」の援助を受けて設立されました。「ひまわり基金」は、弁護士が少ない地域、いわゆる弁護士過疎地域の問題に対応するための基金です。それほどこの地域には弁護士が不足していたのです。そんな現状を目の当たりにし、地域の役に立ちたいという思いが強まり、一念発起して弁護士を目指しました。

弁護士になり、まずは福岡県の法律事務所で2年間経験を積みました。そして、人吉市で3つ目となる弁護士事務所を開設するに至りました。

事務所の理念や大切にしていることを教えてください。

地域の皆さんが気軽に相談でき、安心して話せる事務所を目指しています。

私が人吉市役所で働いていた頃、地域の方々にとって弁護士は敷居が高く、「雲の上の存在」のように思われていました。私は、弁護士をもっと身近な存在として感じてもらいたいと考えています。

そのために、地元の消防団や青年会議所、中小企業同友会などの活動に参加し、地域とのつながりを深めてきました。これらの経験を活かし、地域密着型の事務所運営を大切にしています。

地域の少子高齢化が急速に進み、相続問題のニーズが高まっている

相続案件に注力している理由を教えてください。

地域全体が抱える重要な課題の一つに、相続問題があるからです。ニーズに応えたいという思いから力を入れるようになりました。

人吉・球磨地域は大学がなく、若者が都心部へ流出し、少子高齢化が急速に進んでいます。その結果、高齢化率が非常に高くなり、相続問題が増加しています。

もう一つの理由は、2020年7月の豪雨災害です。この災害では市街地の大部分が浸水し、甚大な被害を受けました。その際、長年、相続の手続きや遺産分割が進まず放置されていた土地や建物が問題視され、公費解体が進む中で「これを機に解決しよう」という動きが生まれました。さらに、現在は街の区画整理が進み始めており、これに伴い相続案件が増えていると感じています。

相続について、よくある相談内容を教えてください。

遺産分割や相続登記に関する相談が増えています。

その背景には、2024年4月から相続登記が義務化されたことが挙げられます。この地域では、相続登記が何十年も放置されているケースが多く、義務化を機に、登記をしっかりと済ませようとする方が増えています。

しかし、いざ手続きを進めようとすると、相続が何十年も前の話で、すでに一部の相続人が亡くなっており、相続権が子や孫に引き継がれて相続人が非常に多くなっているケースが多く見られます。そのため、個人では対応しきれず、弁護士への相談が必要になることが増えています。

相続案件を手掛ける上で心がけていることを教えてください。

依頼者のお話を最後まで丁寧に聞くことを心がけています。

相続は、単なる金銭問題にとどまらず、家族の感情が深く絡むことが多いです。それまで何十年にもわたって積み重ねられた感情が相続の場面で一気に噴き出し、困っている方が多いと感じます。

感情的な対立がある場合、依頼者も精神的に追い詰められていることが少なくありません。そのため、依頼者に寄り添い、話を丁寧に聞きながら、心理的な負担を少しでも軽くすることが大切だと感じています。

農地や空き家をめぐる相続問題にも実情に合った解決策を提案

相続について弁護士に相談するメリットを教えてください。

専門知識がないまま相続の手続きを進めると、重要な点を見落としたり、不利な結果を招く恐れがあります。

例えば、相続人の一人が生前贈与を受けていた場合、その贈与分を考慮して遺産分割を調整する「特別受益」の問題があります。このような取り扱いは一般にはなじみが薄く、生前贈与の有無を把握せずに手続きを進めてしまい、結果として損をするケースも少なくありません。

また、遺言書は自分で作成することも可能ですが、書き間違いや法的な不備があると、せっかく作成した遺言書が無効になったり、意図が正しく解釈されなかったりして、遺産を残す側の意思が実現されない可能性もあります。

弁護士が関与することで、こうしたリスクを回避し、公平な解決が期待できます。

早めに弁護士に相談した方がよい理由を教えてください。

早めに弁護士に相談することで、問題を未然に防ぐための対策を講じることができます。

例えば、相続人が生前に被相続人の預金を引き出していた場合、その使途や金額を記録していないと、後になって他の相続人から「遺産の使い込み」と指摘され、訴訟に発展する可能性があります。早めに弁護士に相談すれば、使い込みの疑いをかけられないための対策についてアドバイスを受けられます。

また、相続開始後、なるべくすぐに財産状況を弁護士とともに確認することで、財産の全容を正確に把握でき、散逸してしまうことを防げます。

先生の事務所ならではの強みを教えてください。

私は現在、人吉市役所でいくつかの委員を務めており、その経験が事務所の強みになっています。

例えば、農業委員として農地の売買手続きに関わり、農地法に基づく許可が必要なケースについて深い知識があります。この実務経験を活かし、農業の現場事情を理解した上で、農家の方々に寄り添った解決が可能です。

また、空き家対策委員として、この地域特有の空き家問題にも取り組んでいます。子ども世代が都会へ移住し、親世代が亡くなった後に空き家となるケースが増加している現状を踏まえ、空き家バンクを活用したマッチング支援にも関わっています。この経験をもとに、空き家の相続問題にも具体的な解決策をご提案できます。

長年放置された遺産を整理することで、地域経済にも貢献

これまで取り組んできた相続案件の中で、印象に残っているものはありますか。

相続人が約100人にのぼる複雑な案件が印象に残っています。依頼者はその相続人の1人で、長年放置され荒れ果てた遺産の土地を何とか活用したいという思いから、相続手続きを進めたいと私に依頼しました。

この相続は数十年前に発生し、一部の相続人はすでに亡くなっていました。相続権が子や孫に引き継がれたことで、相続人の数が大幅に増えていたのです。

まずは、相続人調査を徹底的に行い、約100人の相続人を一人ひとり確定しました。しかし、行方不明で連絡が取れない方も多くいました。

行方不明者の最後の住所地を訪問するなど現地調査も実施しましたが、大半は見つかりませんでした。そこで、財産管理人の選任や公示送達といった法的手段を駆使して手続きを進めました。

また、連絡が取れる相続人について、一人ひとりから印鑑を集めるのは現実的に困難だったため、土地の時効取得を主張する裁判をまとめて提起することで、手続きを簡略化しました。土地は田舎の荒地で市場価値が低く、多くの相続人が土地を手放す意向を示したため、裁判は比較的スムーズに進みました。

最終的に、土地は依頼者の所有となり、荒れ果てていた竹やぶが整備され、太陽光発電所として活用されました。これにより、地域に法人税収入が生まれ、経済的な貢献も実現しました。

この案件は、私にとって初めての大規模な相続案件でした。大変な手続きでしたが、荒地を地域に役立つ形で再生できたことに大きな達成感を覚えました。

相続のトラブルを抱えて弁護士への相談を検討している方に向けて、メッセージをお願いします。

相続トラブルは、時間が経つほど解決が難しくなり、精神的な負担も大きくなりがちです。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。早めに一歩踏み出すことが、スムーズな解決への近道となります。