生前対策からトラブル解決、登記、税務までトータルで対応。丁寧なサポートで意向に沿った相続を
東京都三鷹市で「みたか総合法律事務所」を経営する齊藤遼亮弁護士(第一東京弁護士会所属)に相続分野の取り組みについて聞きました。不動産関連の法務に携わった経験や、登記、税務の専門知識を活かし、様々な相続問題にワンストップで対応する齊藤弁護士。依頼者と密にコミュニケーションを取り、意向を確認しながら、納得感のある解決を導きます。相続についてよくある相談や弁護士に相談するメリットなどを聞きました。
インタビュー
ゴールまでの過程も大切に。対話を重ねて、依頼者とともに最善の解決を目指します
事務所を設立されるまでの経緯を教えてください。
もともとは不動産関連の一般社団法人に勤務し、不動産や会社に関わる法務全般に携わっていました。弁護士を目指したのは、仕事をする中で、「もっと法務のスキルを磨きたい」「会社を通してではなく、お客様と直接関わる仕事がしたい」と思うようになったことがきっかけです。2015年に弁護士になり、都内の法律事務所に勤務したのち、2020年に「みたか総合法律事務所」を開設しました。
依頼者のほとんどが多摩地域の方で、地元の三鷹市のほか、西東京市など少し離れたところの方からも依頼を受けています。
事務所の理念や大切にしていることを教えてください。
依頼者の利益をはかることと、依頼者に寄り添うことです。
「利益」というのは、経済的な利益、つまりお金を得ることはもちろんですが、お金以外の利益も含まれます。例えば、相手方と揉めている状態は依頼者にとってかなりストレスフルです。できるだけ早く、納得できる形で問題を解決して、ストレスフルな状態から脱するというのも依頼者にとっての利益だと思います。
納得感のある解決のために、問題解決というゴールだけではなく、そこに至るまでの過程も大切にしています。
例えば、「遺産を独り占めしたい」など、現実的に難しいことを依頼者が希望している場合、ただ否定するのではなく、法律の制度を丁寧に説明して、なぜ難しいかの根拠を示します。その上で、依頼者が置かれている状況や、不利な事情・有利な事情を客観的に説明し、一番利益がある結果につなげるための方法を提案します。
裁判まで粘るか話し合いで終わらせるか、というふうに複数の選択肢がある場合は、それぞれの見通しを説明します。どちらの方が依頼者のメリットになるか、私の考えも伝えつつ、依頼者の意向を丁寧にヒアリングします。ご本人が納得できる形で進めることが大切なので、私が一方的に決めるのではなく、依頼者とコミュニケーションを取って一緒に方針を考えていきます。
強みを活かして相続問題をワンストップで解決。生前対策もサポートします
相続の案件に注力している理由を教えてください。
一つは、相続人同士の関係を再構築したいという思いがあるからです。相続トラブルは家族間で起こることが多く、ひとたび揉めると、感情的に激しく対立するケースが少なくありません。関係が断絶して一切コミュニケーションが取れなくなった…という終わり方ではなく、なるべく早い段階で私が間に入って、関係修復をサポートできればと考えています。
もう一つは、自分の専門分野を活かせるからです。相続は不動産の登記や相続税が絡むケースが多くあります。私は一般社団法人に勤務していたときに不動産関連の法務に携わった経験があり、司法書士と宅地建物取引主任士の資格も保有しています。また、税務についても専門的に学んだので、相続に関する様々な手続きにワンストップで対応可能です。
相続は一番強みを発揮できて、依頼者の力になれる分野だと考え、力を入れて取り組んでいます。
相続について、どのような相談がありますか。
遺産分割や相続放棄、使い込みなど多種多様な相談が寄せられます。依頼者の状況も様々で、すでに相続人同士で揉めている方もいれば、まだやりとりを始める前の方もいます。
それなりにあるのが、被相続人の戸籍を調べたら知らない子どもがいたり、前妻の子どもがいたりするケースです。面識がない相手とお金の話をするのは抵抗があるので、代わりにコミュニケーションを取ってほしいということでご依頼いただきます。
不動産に関する相談も多いです。例えば、誰かが住んでいる不動産が相続の対象になった場合に、そこに住み続けたい相続人と売却してお金に換えたい相続人との間で意見が対立するケースがよくあります。
解決方法は案件によって異なります。一つの方法としては、不動産のほかに預貯金があれば、お金に換えたい相続人に不動産の評価額に相当する預貯金を渡して、住んでいる方が不動産を取得するというやり方があります。また、不動産に住んでいる方がかなりご高齢の場合、いったん共有の持分にした上で、その方が亡くなった後に売却するのも一つの方法です。色々な解決方法があるので、依頼者の状況に応じて柔軟に提案しています。
生前に遺言を作りたいという相談もありますか。
はい。全体で見ると相続発生後に相談に来る方の方が多いですが、生前対策の相談も承っています。遺言を書くことで防げるトラブルはたくさんあるので、財産をお持ちの方にはぜひ作成していただきたいです。実際に案件を手がけていて、「遺言があればこんなに揉めなかったのに」と思うことは少なくありません。
遺言を書くメリットはいくつもあり、その一つが残されたご家族の負担を減らせることです。
例えば、お子さんがいないご夫婦において、一方の配偶者が亡くなった場合、残された配偶者が全ての遺産を相続できるわけではありません。遺言がなければ、亡くなった配偶者の親や兄弟姉妹などにも相続権が発生する可能性があります。大切なパートナーを亡くしたばかりのタイミングで、関係が疎遠な親戚とお金の話をするのは精神的な負担が大きいですし、コミュニケーションがうまくいかず揉めるリスクもあります。
遺言があれば、その内容に沿って遺産を分ければよいので、相続人同士で遺産分割の話し合いをする必要がなくなります。
生前対策をするのにお勧めのタイミングはありますか。
健康上の不安が生じた場合は、年齢を問わず早めに作成した方がいいと思います。特に健康上の問題がなければ、年金をもらい始めるタイミングが一つの目安です。
遺言は、ご家族に書く最後の手紙のようなものだと思います。誰に何を継いでほしいか、ご自身の思いを伝えることで、残されたご家族が相続の手続きをよりスムーズに進められるようになります。無用なトラブルを回避してご家族の関係性を守るために、ぜひ作成を勧めたいです。
見通しを共有しながら、辛い局面も一緒に乗り越えます
相続について、弁護士に相談するメリットを教えてください。
相続の基本的なルールや、今ご自身が置かれている状況でどういう解決方法がありうるのかが分かることです。財産の内容や相続人の関係性などを踏まえて、どのように対応するべきかアドバイスします。
相続人同士でやりとりを始める前に相談していただければ、交渉の進め方もアドバイスできます。「この財産を引き継ぎたい」などの希望がある場合、強引に主張を通そうとすると相手の反感を買う可能性があります。交渉材料をうまく使って説得する方法を提案します。
必ずしも依頼する必要はなく、アドバイスだけ受けてあとは自分で進めたいという方も、ぜひご連絡ください。正しい知識を持って対応することで、最終的にうまくまとまる可能性が格段に上がります。
これまで手がけた相続案件の中で、印象に残っているケースはありますか。
揉めに揉めたとしても最終的にきっちり解決できて依頼者から感謝された案件は、一つひとつが自分の中で特別な存在です。
案件によっては、相手方から事実無根の内容を主張されて、それに対して反論する作業が必要になることがあります。依頼者にとっては非常に辛いプロセスで、「こんなことを言われる筋合いはないのに」と精神的に追い詰められる方も少なくありません。
その中で解決の筋を見出して、「こういうふうに進めるので、最終的には必ず目的地に辿り着きます」と見通しを共有しながら、一緒に乗り越えていきます。また、相手の主張に対して1から10まで全て反論しようとするととてもエネルギーを使います。しっかり反論すべき部分と、聞き流しても問題ない部分とを専門的な観点から区別して、少しでも依頼者のストレスが和らぐように進めていきます。
「先生がずっとそばで支えてくれたので、辛い状況も乗り越えられました。ありがとうございました」というふうに言っていただけると本当に嬉しく、依頼者の力になれてよかったと実感します。
相続のトラブルを抱えて、弁護士への相談や依頼を検討している方に向けてメッセージをお願いします。
相続はそれまでの家族関係が複雑に絡み合う問題です。だからこそ、相続の基本的なルールの理解や法的観点からの状況整理が不十分だと、さらにややこしくなって問題解決が難航することが多いです。そうなる前に、ぜひ早めに弁護士にご相談ください。
相続発生後の相談はもちろん、生前対策の相談も承っています。「財産をこういうふうに分けたい」という思いがあるなら、それを形に残すことで、ご家族がトラブルに巻き込まれる事態を防ぐことができます。相続を経てもご家族が良好な関係を維持できるように、遺言作成などの対策を検討していただければと思います。
なお、当事務所では相続の専門サイトを開設しています。遺産分割の流れや相続放棄をすべきケース、遺言のメリットなど、相続に関する情報を多数掲載しているので、よろしければぜひご覧ください。