企業法務や国税審判官の経験を活かし相続問題に注力〜事業承継から国際相続まで幅広く対応

大阪府大阪市「リーズ法律事務所」の永井秀人弁護士(大阪弁護士会所属)に相続分野の取り組みについて話を聞きました。国税審判官の経験があり、税務に関する深い知見を持つ永井弁護士。相続分野において税の知識がどのように活かされているのかや、相続問題を扱う上で心がけていることなどを聞きました。
インタビュー
外資系法律事務所と国税審判官の経験を糧に独立
事務所設立の経緯を教えてください。
弁護士登録後、最初は東京の大手外資系法律事務所に所属しました。そこでは主に企業法務やM&A案件、知的財産権紛争など、国内外の企業に関わる案件を担当していました。
その後、国税不服審判所で国税審判官を務めました。実は、弁護士になる以前に総合商社で働いていた時期があり、その頃から税務について深く学びたいという思いを抱いていたんです。そこで、一時的に弁護士バッジを外し、国税不服審判所で経験を積みました。
2018年に国税審判官の任期を終え、現在の「リーズ法律事務所」を開設しました。事務所名は、案件をリード(LEAD)していくという意味と、税の「Z」をかけ合わせました。税務に関わる案件を中心に、しっかりリードしていきたいという想いを込めています。
事務所の理念を教えてください。
当事務所の理念は2つあります。
1つ目は、「長いお付き合いを大切にしながら、依頼者のために最もふさわしい解決策を提示する」ということです。法律問題というのは、単に目の前の問題を解決するだけではなく、依頼者のその後の人生や事業にも影響を及ぼします。だからこそ、長期的な視点を持って、依頼者に寄り添い、最善の解決策を見つけていくことを大切にしています。
2つ目は、「プロフェッショナルとして、常に時代の流れを捉え、最良の法的サービスを提供する」ということです。法律というのは時代とともに変化していくものです。その変化に対応できるよう、日々の勉強や情報収集を怠らず、最新の知識を身につけることを心がけています。その上で、依頼者にとって本当に価値ある法的サービスを提供できるよう努めています。
相続分野に注力している理由を教えてください。
これまで企業法務に長く携わってきたこともあり、経営者の方々から相続問題や相続対策に関する相談をいただく機会が多くありました。経営者の相続問題は、事業継続や資産管理といった点でも非常に重要なテーマです。こうした背景から、相続案件に携わるようになり、次第に注力するようになりました。
また、相続問題には税務が密接に関わります。国税不服審判所での勤務経験や、税務の知識を活かすことができる分野であることも、注力している理由です。
さらに、私はアメリカの法律事務所で勤務した経験があり、これを活かして国際相続案件も手がけています。例えば、日本在住の外国籍の方が亡くなられたケース、海外在住の日本人の方が亡くなられたケース、あるいは国内で亡くなられた日本人の方の海外資産に関するケースなど、国際的な要素を含む相続案件もサポートしています。
経営者の相続や国際相続に強み
会社経営者の相続問題ではどのような相談が多いんですか。
事業承継に関する相談が多いです。具体的には、「誰が事業を継続して経営していくのか」「事業を継がない相続人には、どのような形で遺産を分配するのか」という点です。
この問題は必然的に会社の株式の取り扱いにも関わってきます。法定相続だと株式が分散してしまうケースが多いのですが、これは会社の円滑な経営の妨げになりかねません。そのため、株式の集中と他の遺産による調整をどのように行うかという点が重要な検討課題となります。
また、経営者の死去を機に事業の終了を検討するケースもあります。その場合は残された借入金の処理をどうするかなど、事業の清算に関する問題の解決も必要になってきます。
経営者の相続問題では、こうした事業の継続や終了に関する複雑な判断が求められることが多く、相続における最適な選択肢を模索するための支援が必要になります。
国際相続というのは国内の相続とは違いがあるのですか。
国際相続案件は、国内の相続案件とは大きく異なる特徴があります。まず、手続きが国によって異なりますし、財産の保有形態によっても対応が変わってきます。
例えば、外国人の方が日本で遺言を作成する場合、日本での遺言と同時に本国でも遺言を作成することをお勧めすることがあります。なぜなら、日本で作成した遺言が海外で有効と認められるかどうかは、国によって異なるからです。そのため、現地の法制度に沿った対応が必要になることも少なくありません。
国際相続案件は本当にケースバイケースで、どの国のどのような財産をどう処理するかによって手続きが変わってきます。そのため、国内の相続以上に複雑になることが多いのが実情です。また、日本の弁護士として対応できる範囲が限られるケースもあります。
そのため、依頼者としっかり話し合いをした上で、私がどこまで関与するか、どの部分は現地の専門家に依頼する必要があるかなど、案件の進め方を慎重に見極めるようにしています。加えて、日本の税務申告における国外財産の扱いについても、国内財産以上に税理士と連携しつつ対応する必要があります。
相続案件を手がける上で心がけていることを教えてください。
できる限り穏便な解決を目指すということです。相続の当事者は多くの場合、血を分けた親族であり、争いがこじれることで人間関係に大きな亀裂が生じることもあります。ですから、できる限り当事者間で納得のいく形で解決できるよう努めています。
そのために、依頼者の話だけでなく、相手側の意見にも耳を傾けることを意識しています。もちろん依頼者の利益を最優先に考えるのが私の役割ではありますが、相手がどのような主張をしているのかをしっかり把握した上で、解決策を模索することが大切だと考えています。
また、必ずしも裁判所での解決を第一に考えるのではなく、可能であれば交渉による解決を目指します。その際には、相手方に対しても誠実に対応することを心がけています。
ただし、具体的な進め方は案件によって異なります。依頼者が「相手方との縁を断ち切りたい」と考える場合もあれば、「今後も関係を続けていきたい」と希望する場合もあります。そのため、依頼者の意向を丁寧に伺いながら進めることが重要です。
依頼者の要望をしっかりと把握した上で、争いを最小限に抑えつつ、最善の結果が得られるよう、柔軟かつ慎重に対応していくことを心がけています。
合理的な解決を得られることが最大のメリット
相続問題を弁護士に相談するメリットにはどのようなことがありますか。
大きく分けて2つの重要なメリットがあると考えています。
1つ目は、経済的な合理性を確保できる点です。素人判断で進めてしまうと、後になって多額の税金が発生してしまったり、経済的に非効率な解決になってしまうことがあります。しかし、弁護士が関与することで、関係者全員にとって税務上のメリットがある解決方法を見出せることも少なくありません。専門的な知識を持って進めるか否かで、最終的な結果が大きく変わってくるのです。
2つ目は、感情的な対立の解消です。相続問題は当事者間で感情的な衝突が起きやすく、互いに妥協点を見つけるのが難しい場合があります。弁護士が介入することで、双方の主張を整理し、感情を整理する役割を果たします。お互いに無理のある主張を削ぎ落とし、問題の焦点を絞り込むことで、話し合いが進みやすくなります。
その結果、当事者が納得感を得やすくなり、解決までの時間を短縮することができます。この「早く、合理的に、納得感を持って問題を解決できる」ことが、弁護士に相談する最大のメリットだと考えています。
相続分野における事務所の強みや特徴を教えてください。
「税金のケア」に力を入れている点です。相続では、どれだけ経済的に合理的な解決ができるかが重要になります。そのため、税理士の方と連携しつつ、私自身の税務知識も活かして、依頼者にとって最も効果的な解決策をご提案しています。最終的に、依頼者が相続によって受け取る資産をどれだけ多く残せるかという視点を大切にしており、ここが当事務所の大きな特徴だと考えています。
もう1つは「国際相続に関する見識」です。国際相続では、各国の法律や税制が絡み合い、手続きが非常に複雑になる場合があります。こうした案件において、海外の法律事務所での勤務経験や国際相続の実績を活かし、依頼者が安心して問題解決に向かえるようサポートしています。
最後に、相続問題を抱えている方へメッセージをお願いします。
弁護士への相談では、人には言えないような感情や思いを吐露していただくことができます。私たち弁護士は、そういった思いをしっかりと受け止めた上で、具体的な解決方法を提示させていただきます。
また、釈然としない気持ちに対して、法的な観点から納得のいく説明を提供することもできます。相談を通じてモヤモヤした気持ちが整理され、気持ちが落ち着く方も少なくありません。
ただし、弁護士によって考え方や解決方法は様々です。同じ案件でも、弁護士によって異なるアドバイスをすることもあるでしょう。ですから、ご自身に合う弁護士を探すことが大切だと思います。
そのためにも、あまり悩みを抱え込まず、まずは気軽に弁護士に相談していただければと思います。きっと、より良い解決への道が見えてくるはずです。