相続弁護士 ドットコム

松村法律事務所

所在地
愛知県 岡崎市明大寺町字道城ヶ入32-1 岡崎法曹ビル

相続人間の歴史や人間関係を丁寧に聞き取り、背景事情の理解を深めることで、納得のいく解決を提案

松村 修平松村法律事務所

愛知県岡崎市で「松村法律事務所」を経営する松村修平弁護士(愛知県弁護士会所属)に、相続案件に携わる上で心がけていることなどを聞きました。相続問題は親族間の感情が大きく関わるため、親族間の歴史を考慮し、人間関係や感情面をしっかり把握することを大切にしていると語る松村弁護士。相続について弁護士に相談・依頼するメリットについても詳しく聞きました。

インタビュー

会社員から弁護士へ転身

事務所設立の経緯を教えてください。

もともと会社員をしていましたが、「何か違うことに挑戦したい」という漠然とした思いがありました。また、組織に属するのではなく、自分の名前や判断で主体的に仕事をしたいという気持ちもありました。

ちょうどその頃、ロースクールが設立され、法的なバックグラウンドがない人でも法曹を目指せる道が開かれたことを知り、会社を辞めて法曹の道を目指す決意をしました。

法律の知識ゼロからのスタートで、勉強は大変でしたし、既に結婚して子供もいたので不安もありました。しかし、当時は社会人を辞めてロースクールに通う人も多く、似たような境遇の仲間と切磋琢磨できたのは、刺激的で面白い経験でした。

その後、司法試験に合格し、司法修習を機に愛知県に来ました。長く住んでいた東京に戻って就職することも考えましたが、早期に独立を考えており、子育ての環境なども考慮して、そのまま愛知県内の法律事務所で働きました。

当時、この西三河支部・岡崎支部のエリアには、大手企業の本社が多く産業も盛んな一方で、弁護士が非常に少ない状況でした。弁護士に対する潜在的な需要が高く、独立するには最適な場所だと感じたため、この地で事務所を設立することに決めました。

事務所の理念や大切にしていることを教えてください。

弁護士として、他のサービス業と同じように顧客満足を追求することを大切にしています。

弁護士だからといって威圧的な態度を取ったり、時間にルーズだったりすることはあってはならないと考えています。社会人として、またサービス業に携わる者として、基本的なビジネスマナーや丁寧な顧客対応を徹底しながら、質の高いサービスを提供することが重要だと考えています。

「どうしても譲れない」理由を丁寧に聞き取り、解決の糸口を探る

相続案件に注力している理由と、よくある相談内容を教えてください。

相続案件は、常に一定の相談が寄せられるため、自然と注力するようになりました。

相談内容としては、遺産分割など、被相続人が亡くなった後の手続きに関するものが中心です。地域性なのかもしれませんが「相続では長男が優先されるべきだ」という考えを持つ方は今でも少なくなく、そのような価値観が相続人間の対立を引き起こすケースが多いと感じています。

一度対立が生じてしまうと、話し合いだけで解決するのは難しく、調停へ進むことが多いです。さらに、調停でも解決に至らず、審判に移行するケースもあります。

相続案件を手掛ける上で心がけていることを教えてください。

相続案件は法律問題であると同時に、親族間の問題であり、感情的な側面も大きく関わっています。相続に至るまでの親子関係や兄弟関係、親族間の歴史が絡んでくるため、法律的な部分だけでなく、人間関係や感情面をしっかり把握することを心がけています。

例えば、依頼者や相手方が「どうしても譲れない」と考えるポイントがある場合、その背景を掘り下げて理解することが大切です。なぜそう思うのかを丁寧に聞き取ることで、解決の糸口が見えてくることがあります。

また、遺言書が残されている場合、その内容が特定の相続人に有利で、他の相続人にとって不利になることがあります。一見すると不公平に思える内容であっても、被相続人がそのような内容にした背景を深掘りしていくと、その理由が見えてくることがあります。被相続人の思いを理解することで、不公平に感じる内容でも、相続人が納得できる方向に話を進めることができる場合もあります。

相続について弁護士に依頼するメリットを教えてください。

弁護士を代理人として間に入れることで、冷静に話し合いを進めることができ、感情的な対立を避けやすくなります。

親族や兄弟間では、普段お金の話をする機会が少ないため、相続について話し合おうとしても遠慮してうまく意見を言えないことがあります。

例えば、長男が強い立場にいて下の兄弟や姉妹が意見を言いづらい状況では、弁護士を通じて冷静かつ適切に自身の権利を主張できる点は大きなメリットです。

早めに弁護士に相談した方がよい理由を教えてください。

相続人間で長期間揉める状況が続くと、お金の問題だけでなく、人間関係にも悪影響が及びます。そのため、早めに弁護士に相談し、可能な限り早期解決を目指すことが大切です。

手続き面では、例えば遺留分侵害額請求には1年という期限が定められているため、早めに弁護士に相談して適切な法的対応を取る必要があります。

また、過去の大きな金銭の動きを証明するためには、早期の調査が欠かせません。銀行の取引履歴は一般的に過去10年分しか開示されず、それ以前の取引については追跡が困難になる可能性があります。

こうした理由から、できるだけ早い段階で弁護士に相談することが大切です。

相続に関連する不動産や会社の問題にも柔軟に対応

先生の事務所ならではの強みを教えてください。

相続案件に関連して派生する不動産問題や会社関連の問題についても、総合的な解決を目指せる点が強みです。

普段から相続案件だけでなく、不動産や建築関連、会社関係、債権回収、倒産、交通事故など、幅広い分野の案件を取り扱っています。そのため、相続に付随して生じる様々な問題にも柔軟に対応し、全体を見据えた解決を提案することが可能です。

これまで取り組んできた相続案件の中で、印象に残っているものはありますか。

特定の案件に限りませんが、遺産分割協議で最初は激しく対立していたものの、お互いに被相続人への貢献を認め合い、譲歩し合うことで最終的に円満に解決できた案件が印象に残っています。

多くのケースでは、「自分が多く遺産を取得すべきだ」と、法的権利をお互いに強く主張します。その過程では意見の食い違いや、相手への理解不足が生じることも少なくありません。

しかし、中には「介護を頑張ってくれた」「同居して被相続人を支えてくれた」といった理由から、相手方が譲歩してくれることもあります。また、依頼者自身が譲歩したいと申し出ることもあります。

こうした状況で調整を重ねた結果、お互いが納得し、円満解決に至る。このようなケースは記憶に残ります。

人は必ずしも自分の権利だけを主張するわけではなく、どこかで人間関係を大切にする一面もあります。そうした人間味のある場面に触れると、こちらもほっとし、相続の醍醐味を感じることができます。

初回相談の流れを教えてください。

初回相談では、まず基本的な事項を確認します。具体的には、相続人が誰であるか、主な遺産は何かといった点を確認します。遺産が不動産の場合は、権利関係を確認することもあります。また、遺言書があるかどうかも伺います。

基本的な情報を確認した上で、相談者の悩みや希望をお聞きし、それに基づいて法的な見通しをお伝えします。

相続のトラブルを抱えて弁護士への相談を検討している方に向けて、メッセージをお願いします。

まずは気軽に弁護士に相談してみることをおすすめします。親族間でお金について話し合うのは、難しい場面が多いかもしれません。依頼するかどうかはさておき、一度相談するだけでも気持ちが軽くなることがあります。

相談を通じて納得できれば、親族間で話し合いを進めることも可能ですし、「これは自分だけでは難しい」と感じた場合には、弁護士に任せるという選択肢もあります。モヤモヤした気持ちを少しでも解消するきっかけになるかもしれませんので、どうぞお気軽にご相談ください。