依頼者の安心感とストレス軽減を重視。具体的な見通しと的確な判断で相続トラブルを円満解決
京都府京都市中京区で「K・Gフォート法律事務所」を経営する兒玉貴裕弁護士(京都弁護士会所属)に、相続分野の取り組みについて聞きました。依頼者に、「任せてしまって大丈夫」という安心感を持ってもらいたいと話す兒玉弁護士。そのために、早い段階で結論をはっきり伝えることや、ベストな選択肢を積極的に提案することを心がけているといいます。相続の案件を手掛ける上での心構えや事務所の強みなどを詳しく聞きました。
インタビュー
お客様ファーストを理念に、京都・大阪に事務所を構え弁護士5名が所属
これまでの経歴を教えてください。
大阪府出身で、2013年に弁護士になり、京都市内の法律事務所に入所しました。その後、2017年に独立して「こかげ総合法律事務所」を開設しました。元々3年ほど経験を積んだら独立しようと思っており、ちょうど法科大学院(ロースクール)の同級生である浅野康史弁護士も独立を考えていたタイミングだったので共同で事務所を開設しました。
2023年には、事務所の場所を移転するとともに「K・Gフォート法律事務所」に名称変更し、弁護士法人化もしました。現在京都と大阪に事務所を構え、京都に4名、大阪に1名の弁護士が所属しております。
事務所の理念を教えてください。
事務所開設当初から、お客様ファーストであることは変わらない理念です。
依頼を受けて案件を進めていく上で大切にしていることを教えてください。
どういう結論になりそうかという見通しを、ご依頼を受ける段階、あるいはご依頼を受けて間もない段階で、早めにはっきり伝えるようにしています。もちろん100%正確に見通すことはできませんが、「だいたいこの範囲に収まるだろう」ということは基本的にわかります。
そして実際に進めていく中では、どういう手続きを選ぶか、どういう形で解決するかといった選択が必要になる場面があります。その場合に、依頼者に対して選択肢を示すだけでは、「どれを選べばよいかわからない」と迷わせてしまうことのほうが多いと思っています。ですから、もちろん説明はきちんとした上で、「これがあなたにとってベストです」という判断を積極的にすることを意識しています。
###「こうしておけばよかったのに」と悔やんだ経験から相続に注力
相続案件に注力している理由を教えてください。
トラブルが起きてから事後的にご相談いただくことが多く、「もっとこうしておけばよかったのに」と思うことがとても多いからです。たとえば遺言書を作っておかなかったせいで、結果が大きく変わってしまったようなケースです。そういったケースを少しでも減らしたいと思い、力を入れています。
相続診断士の資格を取ったのも、間口を広げて早めにご相談いただくきっかけになればと考えたからです。相続診断士というのは、問題点を整理して、弁護士や税理士など、どういった専門家につなげばよいか考える窓口的な役割を果たします。
当事務所では相続診断シートというものを用意しています。それを使ってチェックすることで、依頼者自身が見落としていた問題に気づけたり、問題を整理できたりします。そのうえで、私が弁護士として対応できる問題であれば対応しますし、税理士などの力が必要であればおつなぎします。
相続についてよくある相談内容を教えてください。
遺言書作成と遺産分割がほとんどです。遺産分割については、被相続人と疎遠だった相続人が欲を出してくるケースや、被相続人の預金の入出金履歴の中に使途不明金があるケース、ある程度遺産があって、相続をきっかけに兄弟姉妹の仲が悪くなるケースなどが多いです。
たとえば被相続人と疎遠だった相続人が欲を出してくるケースは、どういった解決方法があるのでしょうか。
ケースバイケースですが、疎遠だった相続人は、「法的に権利があるんだからもらえるものはもらいたい」と主張してくるわけです。しかし依頼者としては、「どうして疎遠な人にあげなきゃいけないんだ」という気持ちなので、感情的な対立がかなりあります。
そういう場合は、私が依頼者の代理人として相手と交渉してもなかなか解決せず、遺産分割調停まで進まざるをえないケースが多いですね。調停になれば、調停委員という中立的な立場の人が間に入って進めてくれますから、相手も納得しやすくなります。そして私は、法的な主張とともに依頼者の想いやこれまでの経緯を丁寧に説明し、こちらの主張が正しいことを調停委員に理解してもらうことが勝負どころになります。
依頼者とのコミュニケーションで心がけていることを教えてください。
相続の場合は、お会いして話す機会を意識的に多く持つようにしています。
あまり感情が絡まない裁判などは、依頼を受ける時点でしっかりお話を聴いて、あとは私が判断して進めていくことが多いです。報告は基本的にメールや書面でおこないます。
一方、相続の場合は、やはり感情的な面も大きいですから、直接お会いして説明したりお話を聴いたりすることを大切にしています。そうすることで、依頼者のストレスを軽減し、納得してもらった上で対応を進めていけると考えています。
依頼者の安心感とストレス軽減を重視
相続案件を手掛ける上で心がけていることを教えてください。
相続は親族間で起こるものですから、なるべくソフトランディングを目指しています。つまり、解決するなら早い方がよいですし、できるだけ遺恨が残らないようにすべきだと思っています。相続問題が解決したあとも一定の接点を持たざるをえない関係の場合は、特にそうです。
先生の事務所ならではの強みや、他の事務所との違いはどんなところでしょうか。
話をよく聴くというカウンセリング的なアプローチではなく、「任せてしまって大丈夫」という安心感を持っていただけるように心がけています。先ほどお話ししたとおり、早い段階で結論をはっきりお伝えしますし、選択肢を並べて選んでいただくのではなくこちらで判断するようにしています。こういったスタンスで取り組んでいることは、他の事務所とは少し違う特徴だと思っています。
その結果、依頼者は、先が見えないストレスや自分で判断するストレスから解放されますし、比較的早期の解決にもつながっていると思います。
法人として5名の弁護士が所属されているということでしたが、複数の弁護士がいる強みはどういったところでしょうか。
複数の弁護士が所属している事務所にも色々な形態があり、同じ事務所だけどそれぞれが別に仕事をしている事務所も多いです。その点当事務所は、複数の弁護士で共同受任することも多いですし、意見を出し合うこともよくあります。一つの案件を複数の視点で見ることができ、事務所内で自然とセカンドオピニオンを出し合える環境になっているのは強みですね。
家族が仲良く居続けるため、どんなことでもご相談ください
相続について弁護士に相談するメリットを教えてください。
ゾーンを外れないことです。相続では、金額が大きかったり、遺産の種類が多かったり、相続人が多かったりして、複雑化することが多いです。ですから、法律に詳しくない方がネットで調べても、「どこが折り合いをつけるべきゾーンなんだろうか」「自分は損してないだろうか」ということはなかなか見極められないと思います。
その点弁護士に相談すれば、「妥当な解決のゾーンはここからここまで」と旗を立てるように設定できます。そのゾーンには幅があって、「損はしていない」といえる下限から、「ここまでいけたらよい話」といえる上限まであります。そのゾーンさえわかれば、あとはどうやってそのゾーンに話を持っていくかという問題ですから、ゾーンが明確になることは大きなメリットです。
早めに相談するメリットを教えてください。
早めに相談することで、遺言書作成や信託など事前の対策が可能になり、トラブルを防ぐことができます。ただ、遺言書作成や信託にしても、認知症が進行しているような状態だと不可能な場合もあるので、まだ健康なうちにという意味でも早めの相談をおすすめします。
これまで取り組んできた相続案件の中で、印象に残っているものを教えてください。
親を亡くされた兄弟からご依頼いただいたケースがあります。兄弟仲はよかったので、もめごとは全くありませんでした。
ただ、遺産の中に建物があって、その建物の底地が借地だったんですね。借地の所有者から建物の撤去を求められれば、莫大な費用がかかります。そこで私が所有者と交渉して、無償で建物を譲る代わりに撤去を免除してもらうことができました。その他、戸籍の収集、銀行の解約などの手続きもまとめてご依頼いただき、数ヶ月ですべて終えることができました。
法的知識がないと所有者との交渉も難しいですし、様々な事務作業も負担になります。そのあたりを全て私が代行したので、依頼者には大変喜んでいただけました。
このケースのように、もめているわけではないけれど、クリアすべき法的問題がある方や、事務手続きが大変という方の相続手続きを丸ごとお引き受けすることにも力を入れていきたいと思っています。当事務所は、弁護士は全体で5名ですが、事務スタッフは10名います。スタッフ数は一般的な事務所と比べてかなり多いですから、その分、事務作業などもスピーディーかつ的確にできます。
相続のトラブルを抱えて弁護士への相談を検討している方に向けて、メッセージをお願いします。
これまで、トラブルが起こった後のご相談をたくさん受けてきました。そして「これをしておけばよかったのに」と思ったことが本当に多くありました。ですから、ちょっとしたことで構いませんので、少しでも不安に感じることがあればとにかく一度ご相談ください。
当事務所では、相続診断というものをおこなっています。人間ドックのようなイメージで気軽に受けていただいて、自分の家族はどんな問題をはらんでいるんだろうということをチェックしてみてください。結果的になにも問題なければそれでよいので、家族が仲良く居続けるための対策として、ぜひ受けていただければと思います。お気軽にご連絡ください。