地域密着型の法律事務所として、依頼者の話をじっくり聞き、心情に寄り添った丁寧な対応を行う
兵庫県明石市本町にある「明石本町法律事務所」で相続分野に注力する前田歩弁護士(兵庫県弁護士会所属)に、相続分野に注力する理由や、相続案件に携わる上で心がけていることなどを聞きました。地元のニーズに応えて、公正証書遺言の作成や遺産分割、遺留分侵害額請求、相続放棄など様々な案件を扱う前田弁護士。相続について弁護士に相談・依頼するメリットについても詳しく聞きました。
インタビュー
明石市の人々のニーズに応えて相続分野に注力
「明石本町法律事務所」の特色を教えてください。
地域に密着し、地元の皆様の悩みに対応できる総合的な法律事務所を目指しています。
特に、相続問題については高齢化が進む中でニーズが高まっているため、幅広く対応していきたいと考えています。
相続分野に注力している理由を教えてください。
地元の方々から相続に関する相談が多いことが理由です。事務所として様々な案件を扱う中で、相続に関する問い合わせが増えたため、専門性を高めて幅広く対応できるように努めてきました。その結果、この分野に特化したホームページも作ることになりました。
どのような相談が多いですか。
公正証書遺言の作成依頼や遺産分割に関する相談が多いです。その他、遺留分侵害額の請求や相続放棄などの相談もあります。
最近では、遺言書を作成したことで遺産分割の紛争に発展するケースが増えています。
ある案件では、公正証書遺言に一部の遺産についてしか記載しなかったことが原因で、相続開始後に揉めてしまいました。
当初は遺言の内容を細かく考えていましたが、高齢の依頼者が公証人の前でうまく説明できないことを考慮し、簡単な遺言書にしたそうです。しかし、その結果、分割方法が定まっていない遺産が残っている状況となり、遺産分割協議で揉めて調停に至りました。このように遺言書の不備で争いに発展するケースが増えていると感じます。
また地域柄、不動産に関する争いも多くあります。
明石市には土地所有者が多く、地価は上昇傾向にあります。土地の値段が以前よりも上がった結果、遺産分割で土地を取得する相続人と預金など他の遺産を相続する相続人との間で、取得額が均等にならずトラブルになるケースがあります。
依頼者の話をじっくり聞き、心情に寄り添った丁寧な対応を行う
相続案件を手掛ける上で心がけていることを教えてください。
法律に基づいて機械的に対応するのではなく、依頼者の話をじっくり聞き、依頼者の心情に寄り添った対応を心がけています。相続案件では関係者が多く、解決までに時間がかかる傾向があるため、解決に向けて着実に進められるように、まずは依頼者と信頼関係を築くことを大切にしています。
たとえば、遺言書の内容が不公平に感じられるケースでは、法的には「遺留分」といって、相続人に認められている最低限の取り分を請求するしか方法がない場合があります。ですが、「法的にはこうするしかありません」と結論を伝えたところで、依頼者がすぐに納得できるとは限りません。
依頼者としては、「なぜあの兄弟は優遇されるのか」「同じ家族なのに、なぜ扱いが違うのか」といった、法的な結論とは離れた部分で、様々な思いを抱えています。そのような思いをじっくりと聞かせていただき、依頼者の感情的な思いも大切にしながら、法的な結論と折り合いをつけていくようにしています。
また、依頼者と信頼関係を築く上では、「報(報告)」「連(連絡)」「相(相談)」の重要性を実感しています。進展がない時でも、メールなどで現況をきちんと伝えるよう努めています。
依頼者の心情に対する向き合い方を教えてください。
依頼者の意見が法的に難しいと思われる場合でも、その気持ちや考えを尊重し、「そのような見方もありますよね」と共感を示すようにしています。
その上で、依頼者に法的な見解を伝える際には、裁判所がどのように判断するかを説明し、「裁判所ではこのように解釈されることが多いです」と具体的な事例や裁判例を交えてお伝えします。依頼者が納得しやすいように、なるべく第三者的な視点から冷静に丁寧に説明するようにしています。
相続について弁護士に相談するメリットを教えてください。
メリットは2つあります。
1つ目は相続財産の適正な分配を受けられることです。例えば、生前に被相続人が特定の相続人のみに財産を譲っていた場合には、その相続人に「特別受益」があったとして、遺産の分け方を調整することができます。弁護士に相談しなければ、特別受益という仕組みを知らないまま終わることもあるでしょう。また、特別受益を相手方に主張する上でも、どのような事情が特別受益に当たるのかなど、法的知識が必要になります。
弁護士に相談することで、このような相続財産の適正な分配についての正しいアドバイスを得られます。最終的には依頼者の遺産の取り分を増やせる可能性があります。
2つ目は手続き面でのメリットです。相続手続きは煩雑で、相続財産が多いほど税理士や司法書士との提携が必要になります。当事務所では税理士や司法書士と連携して対応しているので、手続きがスムーズに進みます。
事務所では税理士や司法書士と月に1回程度、意見交換会を開き、共同でのセミナーの開催も企画しています。密に連携を取っているため、登記や相続税の申告が必要な場合でもスムーズに対応できます。例えば、司法書士事務所に私が同行したり、逆に司法書士に来てもらったりすることも可能です。互いの事務所が徒歩圏内にあるため、連携が取りやすい環境にあります。
さらに、不動産の専門家との連携もあります。顧問先に不動産業者がいるため、土地や建物の査定を依頼することができます。また、明石市で土地家屋調査士として活動している方とも連携し、未登記の建物の登記や保存登記など、必要な対応を行っています。
税理士や司法書士など他分野の専門家とも連携し、チームとして取り組む
これまで取り組んできた相続案件の中で、印象に残っているものはありますか。
遺産分割協議の無効確認訴訟を行った案件が印象に残っています。
詳細はお話できませんが、遺産分割協議は相続人の「錯誤」、つまり誤解のもとで合意されたから無効だと主張して、無効確認訴訟を提起しました。一般的に、「錯誤取消し」は裁判で認められることが難しい争点の一つですが、最終的に遺産分割協議を一部無効とする和解に持ち込むことに成功しました。
この案件は事務所の他の弁護士と共同で受任しましたが、私が主担当として全ての起案を行い、半年ほどかかりました。成功するかどうか不安もあったため、とても印象に残っています。
相続案件に携わる中で、やりがいを感じるのはどのようなときですか。
依頼者に法的知識が不足していることで不当な扱いを受けている事案もあります。その知識を弁護士として補い、遺留分や遺産分割協議の調停など、様々な方法で問題を解決し、無事に終わった際に「ありがとう」と言ってもらえるときに、やりがいを感じます。
また、司法書士や税理士、事務所の事務員とも連携し、チームとして横の繋がりを持ちながら問題を解決していく過程にもやりがいを感じます。
今後の展望をお聞かせください。
チームとして連携しながら取り組んでいきたいと考えています。先ほど挙げた司法書士や税理士、事務所の事務員などともそうですし、代表弁護士の後藤ともタッグを組んで仕事を進めていきたいと思っています。
相続に関しては、揉める前、具体的に言うと公正証書遺言を作成する段階から弁護士として関わり、紛争予防のためにトータルでケアできるような関係を依頼者と築いていきたいです。
相続のトラブルを抱えて弁護士への相談を検討している方に向けて、メッセージをお願いします。
相談していただければ、的確なアドバイスをお届けできると考えていますので、ぜひお気軽にご相談ください。
当事務所では初回の相談を60分まで無料で行っています。初めてのご相談ですので、ゆっくりとお話を伺いたいと思います。依頼者がお困りの状況や、相続人の状況などを丁寧に把握し、解決策を提示します。ぜひお気軽にご相談ください。