約20年のキャリアに基づく知見と丁寧な対話が強み。事案に即した対応で複雑な相続問題も解決へ
福岡県福岡市中央区で「金﨑・鬼塚法律事務所」を共同経営する金﨑智久弁護士(福岡県弁護士会所属)に、遺産相続案件を手掛ける上での心構えや強みなどを聞きました。約20年のキャリアの中で、多数の相続問題を解決してきた金﨑弁護士。特殊な手続きが必要なケースや、相続人の関係性が複雑なケースなど、難しい案件にも取り組んできました。依頼者の話を丁寧に聞き、豊富な知見を駆使して解決の糸口を見出します。
インタビュー
お話を丁寧に聴き、希望に沿って対応します
これまでの経歴を教えてください。
高校まで大分県内で過ごし、大学は一橋大学法学部を卒業しました。大学卒業後は松下電器産業株式会社(現・パナソニック株式会社)に入社し、法務部で約8年働きました。2006年に弁護士になってからは福岡市内の法律事務所に所属し、2018年に当事務所を開設して現在に至ります。
事務所開設の経緯を教えてください。
元々、いずれは独立するつもりだったんです。というのも、私は、一つ一つの案件に、自分なりによく検討を加えて丁寧に対応したいと考えていて、それを行うには自分で事務所を開設した方がよいと思っていたからです。それで、鬼塚恒弁護士と事務所を立ち上げました。
鬼塚弁護士は、司法試験合格後の司法修習の同期であり、以前所属していた事務所でも一緒でしたので、とても信頼のできる弁護士です。
仕事に取り組む上で、どういったことを大切にされていますか。
依頼者のお話を丁寧に聴いて、希望に沿って対応することです。
弁護士はどうしても、法的に意味のありそうなことや自分が知りたいことを中心に話を進めがちです。しかし、依頼者から色々なお話をしていただくことで、解決の糸口になる話や有利な事情を掴めることは珍しくありません。できるだけお話をさえぎったりせず、一見法的に関係ないことも含めてよく聴くように心がけています。
依頼者の希望に沿って対応するというのは、依頼者の優先順位を尊重するとも言いかえられます。
相続でいえば、相続する遺産を少しでも増やしたいのか、そうではなく、早く終わらせることを重視するのか、あるいは、親族関係を悪化させないことを重視するのかなど、何を優先するかによって進め方は大きく変わります。依頼者と相談して優先順位をつけて、それに沿って進めるようにしています。
遺産分割から遺言作成まで、幅広い相談をお受けしています
相続についてよくある相談内容を教えてください。
遺産分割に関するご相談が多いです。たとえば、相続人の1人が遺産の内容を教えてくれない、相続人の中に身勝手な主張をする人がいる、不動産の評価について意見が合わないといったご相談です。
遺言に関するご相談も多く、遺言を作りたいという方もいらっしゃいますし、被相続人が遺した遺言に納得いかない、遺留分侵害額請求をしたいというご相談も寄せられます。遺留分とは、「特定の相続人に全て相続させる」という遺言があったとしても、法定相続分よりは少ないですが最低限の遺産を取得できる権利です。
ほかにも相続放棄など、相続全般についてご相談いただいています。
遺産分割について依頼を受けた場合、どのように進めていかれるのでしょうか。
大きく分けて、私が代理人として他の相続人と直接交渉する方法と、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てる方法があります。調停になると、中立的な立場の調停委員が交通整理をして話し合いを進めてくれます。私が直接交渉するより結果的に早く終わることも珍しくありません。そういう理由で、積極的に調停も活用しています。
ただ、調停を申し立てること自体に他の相続人が強い抵抗感を示すような場合は、まず直接の話し合いを試みることもあります。当事者の意向を踏まえて、ケースバイケースで対応しています。
経験豊富な弁護士が、多角的な視点でよりよい解決を探求します
相続案件を手掛ける上で心がけていることを教えてください。
相続は単なる金銭問題ではなく、長年に渡る家族関係の不満などから生じる感情的な対立も激しいことが特徴です。ですから、依頼者が何を重要だと思っているか、何にこだわっているかをしっかり理解することを心がけています。そのために、他の分野に取り組むとき以上に丁寧にお話を聴きます。
また、遺留分侵害額請求(1年)や相続放棄(3ヶ月)など法律上期限が決まっているものは、当然ですがそれを過ぎないように気を付けています。相続に関する法律はそれなりの頻度で改正されますので、常にアンテナを張って情報をアップデートすることも心がけています。
先生の強みはどんなところでしょうか。
私は20年近い弁護士経験があり、弁護士になった当初から相続案件を取り扱ってきました。豊富な経験に基づいて見通しを立て、様々な対応方法を考えられるところは強みです。
長年弁護士をしていると様々なケースに出会いますので、相続人の所在や生死がわからない場合に使う不在者財産管理人申立てや失踪宣告申立てなど、やや特殊な手続きについても経験があります。そういった経験も踏まえ、私にご相談いただければ何かしら解決の糸口を見つけられると思っています。
弁護士に相談することで、インターネットでは得られない情報を掴めます
相続について弁護士に相談するメリットを教えてください。
今はインターネットで調べれば、基本的なことはわかります。ただインターネットでわかるのは、あくまでも一般論や抽象論です。自分のケースに当てはめた場合にどういう結論になるか、実務的な運用はどうかというのは、なかなかインターネットではわかりません。また相手のある話ですから、インターネットの知識だけで先を見通すのは難しいでしょう。
その点、相続に精通した弁護士に相談すれば、今自分が抱えている問題について正確な知識を得ることができ、今後予想される展開についても的確に示してもらうことができます。
早めに相談するメリットと、相談が遅れることによるデメリットを教えてください。
相談が遅れるほど、選択肢が減ります。たとえば遺留分侵害額請求や相続放棄には、先程お話したように比較的短い期限があります。また、相続の手続きを先延ばしにしている間に、相続人の誰かが遺産を勝手に引き出して使ってしまったら、それを取り戻すことは簡単ではありません。
早めに相談することで、問題が大きくなる前に適切な手を打てますし、そもそもトラブルが発生しないように対策することもできます。様々な選択肢から選ぶこともできますし、有利に進められることも多いので、相談のタイミングは早いに越したことはありません。これから相続人同士で話し合いを始めるという段階で、今後の見通しや基本的な知識を知るために一度ご相談いただくのもお勧めです。
これまで取り組んできた相続案件の中で、印象に残っているものはありますか。
依頼者の母親が亡くなったのですが、母親の戸籍を取ってみると、結婚前に子どもを一人生んでいたことがわかったんです。そのことを依頼者は全く知らなかったので、大変驚いていらっしゃいました。
そうしたところ、相手の方が弁護士を通じて、法定相続分を請求してこられました。依頼者としては、母親に別の子どもがいることを受け入れられず、遺産を渡すことにも抵抗を感じていました。
このような現実を突然突きつけられたら、ショックを受けるのは無理もないことです。依頼者の気持ちはよく理解できたのですが、法律のルール上は、相手方の請求を受け入れる必要がありました。そこで、依頼者と何度も対話を重ねて気持ちを受け止めつつ、請求を受け入れるべき根拠を丁寧に説明しました。最終的に依頼者は私の説明に納得してくださり、調停で相手方と合意により解決することができました。
相談にいらした段階では依頼者はかなり混乱されていましたが、全て終わったときにはすっきりされている様子でした。特殊なケースでしたが、無事に解決できて依頼者のお役に立てたということで印象に残っています。
相続のトラブルを抱えて弁護士への相談を検討している方に向けて、メッセージをお願いします。
相続は身近な人と対立関係になりやすいので、ストレスを抱えている方も多いと思います。一人で抱え込んでいても状況はよくならず、精神的な負担が大きくなるばかりです。ですから、悩んだら相談だけでもしてみませんかとお伝えしたいです。
じっくりお話を聴いて解決方法を一緒に考えますので、気軽にお問い合わせください。