潜在ニーズを見極めてベストな解決へ。不要な不動産や寄与料の問題にも対応、税金の相談もお任せ

茨城県日立市「弁護士法人片岡総合法律事務所日立事務所」の高梨亮輔弁護士(茨城県弁護士会所属)に、相続分野への取り組みについて聞きました。依頼者が気づいていない潜在的ニーズや課題を発見し、一歩踏み込んだサポートを提供したいと話す高梨弁護士。言葉の奥にある想いも踏まえてベストな解決を導きます。相続についてよくある相談や事務所の強みも聞きました。
インタビュー
丁寧なコミュニケーションを通じて、依頼者が本当に求めていることを察知する
どのような経緯で現在の事務所に入られたのでしょうか。
就職活動中に、地方の中小規模の法律事務所が集まる説明会に参加し、所長の片岡優弁護士と話をしたのがきっかけです。
片岡弁護士の人柄、法律業務にとどまらない広い視野、事務所として扱っている事案の多様さに惹かれました。その後、事務所見学をしたり、修習前にアルバイトとして1ヶ月ほど働かせていただいたりする中で、アットホームな雰囲気が自分に合っていると感じて、入所しようと決めました。
仕事をする上で大切にしていることを教えてください。
相田みつをさんの「幸せはいつも自分の心が決める」という言葉がすごく好きで、仕事をする上でも大事にしています。
最終的に「相談してよかった」「依頼してよかった」と思ってもらえるかどうかは、依頼者の気持ち次第です。私としては「良い解決ができた」と思っても、依頼者が同じように感じるとは限りません。あくまでも依頼者に満足してもらうことを念頭に置いて、解決に向けたアドバイスやサポートを提供することを心がけています。
そのために、依頼者の言葉をそのまま受け止めるのではなく、言葉の奥にある想いや本当の困りごとを察知できるように努めています。依頼者が本当に求めていることは何かを丁寧に考えながら、一歩踏み込んだサポートを提供することを目指しています。
大切にしていることを実現するために、取り組んでいることはありますか。
とにかく質問するようにしています。「どうしてそう言っているんだろう」「背景にはどんな事情があるんだろう」といったことを探りながら、依頼者にとって本当の意味で解決となる方法を探しています。
例えば相続でいうと、依頼者が「揉めたくないから早く終わりたいんです」と希望しているとします。言葉通り受け取れば、妥協してでも早期に解決するのが希望のようにも思えます。
しかしよく話を聞くと、「揉めたくない」という言葉には、「今揉めたくない」に加えて、「将来的なトラブルも避けたい」という思いも当然含まれていることがほとんどです。今ある問題が終わった後も人生はまだまだ続くので、早く終わることを優先して今回のことだけを考えた解決をすると、こんなはずではなかったのに、とあとで後悔することとなります。
そのため、依頼者が早く終わりたいと希望していても、「今後こういった展開になるおそれもあるので、もう少しじっくり交渉してみませんか」と提案する場合もあります。依頼者の話を深掘りする中で、本人が気づいていない課題を発見し、解決に導くことが重要だと考えています。
法律と税金の問題をワンストップで解決
相続に注力している理由を教えてください。
当事務所は税理士事務所も併設しているので、法律と税務にワンストップで対応できることが大きな理由です。
相続では法律に加えて、税金の問題も出てくることが多いです。当事務所では、節税対策や相続税申告が必要な場合もワンストップで対応できるので、依頼者自身が税理士を探して依頼する必要はありません。
特に高齢の依頼者にとっては、複数の事務所を行き来するのは体力的にも気持ちの面でも負担が大きいです。その点、当事務所では一つの窓口で、法律と税務をトータルでサポートすることができ、依頼者のお役に立てると考えて注力しています。
相続についてよくある相談を教えてください。
最近よく寄せられるのは、何代も前の人の名義のまま放置されている土地に関する相談です。2024年4月1日から相続登記の義務化が始まった影響もあり、「どう対応すべきかわからない」「全く面識のない相手に自分で連絡を取ることに不安がある」ということで相談に来る方が増えたと感じます。
このような場合、戸籍の調査から始める必要があり、個人で対応しようとすると膨大な時間と手間がかかりますし、自分でできるのかといった不安をお持ちの方も多いです。当事務所でご依頼をいただいて調査及び交渉を進めることで、依頼者の負担、不安を解消して解決を目指すことが可能です。
他にも、被相続人と同居して同人の介護をしていた相続人と遠方に住む相続人との間での相続トラブルの相談も多いです。例えば、親の介護と財産管理をしていた長男が、遠方に住む次男から「お金を勝手に使い込んだのではないか」と疑われるケースです。「親のために使った」と相手に説明しても納得を得られず、当事者同士で折り合いをつけられなくなって相談に来られます。使い込みを疑われた側と疑う側、どちらからの相談もあります。
不動産に関する相談もありますか。
ありますね。被相続人の自宅や、自宅が建っている土地のほか、貸し出している物件や駐車場など、様々な不動産が絡むケースに対応しています。
地方ならではでいうと、「いらない不動産」の押し付け合いです。こちらがいらない不動産を貰わざるを得ない場合には、固定資産評価額は一定の金額がついていたとしても、双方いらないと言っている不動産である以上、評価額は0円だと主張し、場合によっては建物の取壊し費用分の考慮も含めて交渉するなどして公平な解決をはかります。
いらない不動産については、国庫帰属制度を利用して処分できる場合もあります。簡単に言うと、一定の条件を満たせば、国が不動産をもらってくれる制度です。費用がかかるのですが、お金を払ってでもいらない土地を処分したいというニーズは結構多く、当事務所で手続きをお手伝いすることもあります。
特別寄与料の請求が認められたケースも
相続について弁護士に相談や依頼をするメリットを教えてください。
弁護士に依頼すれば、揉めている相手方とのやり取りや煩雑な手続きを任せられるので、精神的な負担も減ります。
また、相手の主張が法律上妥当なのかどうかは、ご自身だとなかなか判断が難しいと思います。弁護士は知識と経験に基づき、主張の妥当性を判断した上で交渉します。主張が不当であれば反論し、依頼者の権利を守れるように進めますので、ご自身で対応するよりも適正な遺産分割ができる可能性が高まります。
事務所ならではの強みや他の事務所との違いを教えてください。
一つは、税理士事務所を兼ねているので、法律と税務の両面から、ワンストップで相続問題を解決できることです。
例えば、遺産分割を成立させる前に、この分け方だと相続税の特例が使えない可能性があるから避けた方がいいなど、税務面での不利益を見逃さずに解決を図れることは当事務所の強みだと考えています。
もう一つは、シンプルにこれまでの相続案件の受任解決数の多さだと思います。これまで様々なケースを手がけてきたので、経験に基づいた適切な対応ができると考えています。
これまで取り組んできた相続案件の中で、印象に残っているケースはありますか。
特別寄与料に関する事案が印象に残っています。特別寄与料とは、被相続人を無償で介護するなどの貢献をした人が、その貢献度に応じて請求できるお金のことです。以前は相続人しかそのような貢献を考慮してもらえませんでしたが、2019年7月1日以降の相続から、相続人以外の貢献も特別寄与料として考慮されることとなりました。
依頼者は被相続人の長男の妻で、被相続人を長年介護してきた方でした。法律上、依頼者には被相続人の財産を相続する権利がありません。しかし、ご長男様の想いとして、妻が親御さんの介護を懸命に行なってくれていたのに何ももらえず、逆に何もしていなかった弟に遺産が無条件で半分いってしまうのには納得がいかないとのことで、当事務所に相談に来られました。
特別寄与料は、単に同居して高齢の被相続人の面倒を見ていたというだけだと、親族として当然の行為とみなされて、請求が認められないことがほとんどです。ただし、このケースでは、奥様が介護のために仕事を辞めていたことや、被相続人が要介護2以上であったことなどから、請求が認められる可能性があると考え、特別寄与料の請求を相手にしていきました。
依頼者と打ち合わせを重ねて、具体的にどのような介護をしていたかを詳細にヒアリングしました。「デイサービスが週何回、何時間来ていたか」「毎日、排泄や入浴の介助をしていた」「夜中でも呼び鈴が鳴ったらすぐに駆けつけて対応していた」など、介護の内容を一つひとつ細かく聞き取りました。
相手と交渉ではまとまらなかったため、調停に移行しました。調停では、依頼者の行為が特別寄与料の要件を満たすことを、客観的な証拠を提示して主張しました。その結果、特別寄与料として一定の金額を勝ち取ることができました。具体的な主張を積み重ねたことで請求が認められ、依頼者にも大変感謝していただけたことから、印象に残っています。
知人に相談するような感覚で気軽に来てしてほしい
相続のトラブルを抱えて、弁護士への相談を検討している方へメッセージをお願いします。
一度も弁護士と話したことがない方は、「相談するのはハードルが高い」と思われるかもしれません。しかし、そんなふうに考える必要はなく、知人に相談するような感覚で気軽に事務所にお越しいただきたいと思っています。
相続は人生で何度も経験するものではないので、わからないことがあって当然です。「初めてのことでわからないから、詳しい人に聞いてみよう」というくらいの気軽さで、いつでも、どんなことでも相談してください。お待ちしています。