親子二代にわたり60年以上続く事務所。弱者救済を理念に、豊富な経験を活かして相続問題を解決
長崎県長崎市魚の町で「横山法律事務所」を経営する横山巖弁護士(長崎県弁護士会所属)に、遺産相続案件を手掛ける上での心構えや事務所の強みなどを伺いました。1963年から、親子二代にわたり長崎市内で事務所を営んでいる横山弁護士。長年の弁護士経験や様々な専門家とのつながりも活かし、相続案件を解決しています。
インタビュー
親子2代で60年以上にわたり法的サービスを提供
これまでの経歴を教えてください。
出身は長崎で、中央大学法学部を卒業しました。大学時代は弁護士ではなく漫画家を目指しており、卒業後は漫画家として活動していました。しかし、色々な事情が重なって弁護士である父の後を継がなければならなくなり、一念発起して司法試験の勉強を始めて、2003年に弁護士になりました。
弁護士になったのを機に長崎へ戻って父の事務所に入り、2008年に事務所を引き継ぎました。父が事務所を開設したのは昭和38年(1963年)です。父はすでに他界しましたが、親子2代にわたり60年以上地域の皆さんのために仕事をしています。
「以前お父さんにお世話になりました」という方から相談を受けることも多く、2代に渡って皆さんのお役に立てていることは嬉しいですね。
事務所の理念を教えてください。
「弱きを助け強きをくじく」ということです。
私は父から、「弁護士とは、困っている弱い立場の人を救う仕事だ。正義の味方なんだ」と教わって育ちました。実際に父は、弱い立場の労働者の方々の味方になり、皆さんを救うことを生きがいにしていました。
今では大きな労働紛争は少なくなりましたが、相続でも離婚でも、強者と弱者がいます。私自身も弱い者いじめが大嫌いなので、父の意思を継いで弱者のために日々闘っています。
また父からは、「仕事を一生懸命やればお金はついてくる」と教えられました。その言葉を胸に、自分のことは二の次に、まずは目の前の依頼者のために一生懸命仕事に取り組んでいます。
遺産分割をはじめ様々なご相談に対応
相続についてよくある相談内容を教えてください。
遺産分割や遺言に関するご相談が多いです。
遺産分割に関しては、法律上、兄弟姉妹の法定相続分は同じなのですが、長男が「全て相続する」と主張して譲らないなど、相続人の中に一方的な主張をする人がいて話がまとまらないなどのご相談が多いです。
先ほど弱者のために闘うという話をしましたが、相続においても、他の相続人から孤立している方や不公平な分割を迫られているといった方からのご相談が多いです。
相続に不動産が絡む場合は、誰が相続するかでもめたり、評価額を巡ってもめることが多いです。また、山林、畑、市場価値の低い土地・建物などの処分に困って相談に来る方も多いです。
相続案件を手掛ける上で心がけていることを教えてください。
亡くなられた方の想いを汲むことを大切にしています。亡くなられている以上、直接話は聴けませんが、周囲の人の話や残されたものを見ていると、「きっとこうしたかったんだろうな」とわかることも多いです。
その方が大切に築いてきた財産を分ける以上、できる限りその方の想いを汲んで、その想いを実現できればと思っています。
長年の弁護士経験と専門家とのつながりを活かして解決
相続案件における事務所の強みや、他の事務所との違いはどんなところでしょうか。
父の代から60年以上続く事務所として、多くのノウハウが蓄積されています。私自身も20年以上の弁護士経験がありますから、相談・依頼を受けた案件の見通しの正確さや解決方法の多様さには自信があります。
また当事務所には武藤智浩弁護士も所属しています。私よりずいぶん若いですが、すでに10年の弁護士経験があります。人間性も能力も高く、よいバランスで事務所を運営できています。
お父様の代も含め、長く同じ地域で弁護士をしているからこその強みはありますか。
そうですね。税理士、司法書士、不動産業者といった様々な業種とのつながりがあることです。特に相続では様々な専門家の力が必要ですから、そういったつながりがあることは強みです。
依頼者とのコミュニケーションで心がけていることを教えてください。
「依頼者の身になること」を心がけています。これは依頼者の気持ちに共感するという意味もありますが、依頼者の視点から見て考えるという意味でもあります。
依頼者の視点に立つことで多面的に見ることができて、「こういうこともできるんじゃないか」と色んな解決策が見つかることも多いんです。
これは私が漫画家だったことも生きているかもしれません。私は4コマ漫画も描いていましたが、4コマ漫画では、日常のワンシーンを違った角度で見ることによって、喜怒哀楽を表現します。漫画を描いていた経験によって、自然と色んな視点で物事を見るクセが付いているのかもしれません。
相談が早いほど救済方法が多くなります
相続について弁護士に相談するメリットを教えてください。
弁護士は法律の専門家ですから、専門的なアドバイスを受けられるというのは大きなメリットです。また、早く相談すればするほど、救済方法が多くなります。
たとえば、相続の手続きの中には、相続放棄(3ヶ月)や遺留分侵害額請求(1年)のように法律上期限が定められているものがあり、それを過ぎてしまうと法律上認められた権利がなくなってしまいます。実際に、「先週相談に来てくれていれば期限が過ぎる前に手続きができたのに」というご相談もありました。
遺産分割協議書にサインした後に相談に来られることもありますが、よほど特殊な事情がない限り、サインした以上は有効です。とにかく早めに、大事な書類などにサインする前にご相談ください。
遺言を作るのも、早いほうがよいでしょうか。
もちろんです。まだまだ元気だと思っていても、いつなにが起こるかわかりません。以前、遺言書作成をご依頼いただいたケースで、依頼者が遺言書を作ってから数か月後に他界されたことがありました。
あと一歩相談が遅れれば、遺言書を作れないまま他界されていたかもしれません。その方は認知機能に問題はありませんでしたが、認知機能に問題があると遺言書を作れない場合もあります。内容が決まっていなくても、作らなきゃと思ったらすぐにでも相談するほうがよいですね。
これまで取り組んできた相続案件の中で、印象に残っている案件を教えてください。
父親が亡くなって、兄と弟が相続人という案件がありました。弟は父親と同居して長年面倒を看ていて、会社も経営している堅実な人物でした。一方、兄は早々に実家を出て定職につかないような人物でした。
2〜3年ほど本人同士で遺産分割調停をやっていたそうですが、兄は「自分の言い分をちゃんと聴いてもらえない」と感じたようです。そこで、私の元に相談に来たのです。
兄から依頼を受けて調停に臨んだところ、法律に従ってきちんと相続することができました。私は法律上認められた権利を実現したまでなのですが、依頼者は、「自分ではどうしようもなかった状況を解決してくれた」と、大変喜んでくださいました。
また他のケースでは、被相続人の妻が、遺言もないのに全部自分が相続するといって譲りませんでした。
私は被相続人の子どもから依頼を受けて調停に臨みましたが、その件でも私が入ることでスムーズに解決できました。
そもそも「全部自分が相続する」という主張自体が法律上おかしいわけですが、それでも譲ろうとしない人はいます。そういったケースでは、自力で対抗することは難しくても、弁護士が毅然とした態度で臨めば解決できると改めて感じました。
弁護士への相談を検討している方に向けて、メッセージをお願いします。
相続は、できれば全員が納得できる形で話し合いで解決した方がよいと思います。ただそれが難しいケースもありますので、その場合は徹底的に闘うという意気込みでいますので、ぜひお気軽にご相談ください。