山鹿・菊池・県北地域を中心に司法サービス提供。感情のもつれを解きほぐし相続問題を最適解へ導く
熊本県山鹿市で「山鹿法律事務所」を経営する岡部秀幸弁護士にインタビューを行いました。岡部弁護士は過疎地での司法サービスに尽力し、山鹿・菊池・県北地域を中心に活動しています。事務所の理念や弁護士として大切にしていること、相続の対応方針、事務所の強みなどを聞きました。(熊本県弁護士会所属)
インタビュー
地域の皆様に司法サービスを届けたい
山鹿市で法律事務所を開設した経緯を教えてください。
15年ほど前、「ひまわり基金法律事務所」の山鹿支部に赴任したことがきっかけです。ひまわり基金法律事務所とは、弁護士過疎解消のために設立・運営されている事務所のことです。赴任後、数年の時を経て名称をあらため、熊本県山鹿市で独立・開業することになりました。
もともと司法修習地が熊本だったこともあり、知り合いの先生も多かったので、この場所を選びました。山鹿市の中でも交通の便が良く、比較的アクセスしやすい場所だと思います。
事務所の理念や大切にしていることは何ですか?
地域に根ざし、地域の司法サービスの拡充を図ることです。また、社会資源との連携を大切にしています。
特に力を入れているのは、司法サービスへのアクセス改善です。地理的な理由以外で、アクセスできない理由を突き詰めて考えると、経済的事情や情報の障壁がある方々に行き着きます。例えば「お金がなくて相談できない」「相談できる場所があること自体知らない」「そもそも自分が被害者だと気づけていない」といった状況に陥っている方は少なくないのです。
そこで当事務所では、地域の方が相談しやすい窓口として存在する、市役所や社会福祉協議会、福祉関連の方との連携を重視しています。直接弁護士に相談できなくても、福祉関係者が間に入ることで、アクセスを補完できると思います。窓口でパスを受け渡してネットワークをつなぎ、包み込むように地域を守りたいと考えています。
「寄り添う、つながる、解決する」をテーマに、司法サービスにアクセスしにくい方々に対してこちらからアプローチすることで、結果的に福祉型の事務所になっていきました。お腹が痛ければお医者さんに、歯が痛ければ歯医者さんに行くように、何か困ったことがあれば、弁護士に気軽に相談できるような環境作りをこれからも進めていきたいです。
理念を実現するため、具体的に取り組まれていることを教えてください。
「寄り添う、つながる、解決する」の具体的な取り組みとしては、地域の成年後見制度の委員になったり、社会福祉協議会や市役所関連の活動に参加したりしています。また、消費生活センターと連携し、何かあったときにすぐ相談できる体制を整えています。福祉関係の方々とはすっかり顔見知りです。
弁護士会の活動でも、法律相談センターの委員会に参加し、どこに相談すればいいかわからない方たちに対する司法サービスの広報活動を続けています。
これらの活動を通じて実現したいのは、地域を見守るネットワークづくりです。友達の友達は皆友達というように、土地のトラブルでは関連する専門家を紹介したり、さらに詳しい人に聞いてみたりするなどして、地域のつながりを活かした支援を行っています。
地域の特性を踏まえたうえで相続問題を解決する
最近の相談の特徴や傾向はありますか?
遺産分割に関するご相談が多いです。例えば、「相続が発生しているにもかかわらず、土地の名義が変更されずにそのままになっていて問題が発生した」「忘れた頃に、亡くなった人が所有していた土地の件で突然手紙が来た」などのご相談が挙げられます。
価値が低い土地を含む遺産分割の場合は、土地のもらい手がつかずに難航し、「どのように対処すればいいかアドバイスが欲しい」ということで相談に来る方も少なくありません。
生前、農業を営んでいた方の土地に関する相談も多いです。よくあるのは、農業を継続するために土地を取得したい相続人と、遠くの都市部に住んでいる他の相続人との間で対立が生じるケースです。都市部の方は単純に相続財産の総額を割り算して分けようとするので、農業を継続する人が土地を引き取ると、代わりにお金をもらおうとします。
しかし農業を継続するといっても、土地の管理は大変であり、お金もかかることに違いはありません。土地を引き取る代わりにお金を取られてしまうと、長年農業に携わってきた方にとっては納得がいかないことも多くあるのです。
上記のようなケースにおいては、土地の価値に対する認識の違いも問題になることがあります。地方の土地は固定資産税評価額の方が実売価格より高い事情もあり、都会から嫁いだ方が地方の土地の価値を高く見積もりすぎてしまい、対立が生じることがあるのです。
また、年配の方は兄弟が多いため、相続人が多岐にわたるケースが多いです。その上、子どもたちの世代が遠方に住んでいるなどの事情も相まって、遺産分割協議が円滑に進まないケースがよくあります。
地域ならではの特性を踏まえたうえで、日々、問題解決に尽力しています。
相続の対応で心がけていることや、対応方針を教えてください。
相続トラブルは、感情のもつれが多いことが特徴です。遺産分割をとことんシンプルに言えば、「相続財産を足し算して相続人で割り算するだけ」なのですが、実際は、コミュニケーション不足が原因で問題が複雑化していることが多いです。中には、相続財産の全体像を確認する前から揉めてしまい、どのような財産がどれだけあるのかがわからないまま争いになっているケースもあります。
そのため、相続の案件に対応するときは、当事者同士の関係をなるべく悪化させないことを心がけています。元々は仲が悪くなかったのに、相続をきっかけに対立してしまうケースは本当に多いです。親が残してくれたものが原因で喧嘩することを極力避けるため、当事務所では、双方が無茶な主張をしないように、落とし所を見つけられるように努力しています。
また対応方針としては、基本的にはなるべく円滑に進めるため、話し合いでの遺産分割を目指しています。一方で、相続人が多くなればなるほど、難しい要求をしてくる人もいます。そういう方たちに対しては、調停や審判などの法的手続きを利用して、解決を目指すこともあります。
丁寧な説明と対応でスムーズな解決を目指す
相続における事務所の強みを教えてください。
当事務所の強みは、スムーズな問題解決を目指せることです。そのために、相手方に対して丁寧かつ粘り強い交渉をしたり、依頼者に対して現実的な提案をしたり、依頼者・相手方の双方にとってバランスの取れた主張をしたりすることがポイントだと考えています。
例えば、依頼者の希望を最大限尊重することを前提として、「土地が欲しい」という依頼者の希望があった際に、「土地はマイナス財産になる可能性がある」といった現実的な情報を提供します。必要に応じて依頼者や相手方の主張・認識を修正しつつ、最善の解決を目指すことを心がけています。
地域に根ざした事務所ならではの強みはありますか?
地域の特性を理解していることが強みです。例えば、農地や山林の相続については、都市部とは異なる問題があることを理解しています。流通性の低い土地の扱いや、農業を継続してきた人の貢献を考慮するなど、地域の実情に合わせた解決策を提案できます。
さらに、精神疾患がある方など、ご自身だけでは法律トラブルへの対処が難しい方の相談にも対応できることも特徴的です。
当事務所は、そういった方々の思いを理解し、適切に対応できるノウハウを持っています。根気強く丁寧な説明と対応を行い、問題を解決へ導きますので、ご安心ください。争いのポイントを絞って明確化したうえで、どのような解決が最適なのかを考え、ご提案いたします。
相続で悩んだらお近くの法律事務所へ
相続のトラブルを抱えて弁護士への相談を検討している方に向けて、メッセージをお願いします。
相続のトラブルで悩んでいるなら、まずはお近くの法律事務所にご相談ください。相続の初回相談は、当事務所を含め、多くの事務所で無料としているケースが多いです。気兼ねなくご相談いただければと思います。
相談のタイミングは、転ばぬ先の杖としてトラブルが発生する前の段階でも、大切な方が亡くなったときでも、四十九日が落ち着いたときでも、いつでも構いません。早いに越したことはありませんが、それぞれの事情があると思いますので、ご自身の状況に合わせて決めてください。どのようなタイミングであっても、弁護士にご相談いただければ、今後の方策を一緒に考えられます。
山鹿・菊池・県北地域で相続のトラブルを抱えていらっしゃるなら、山鹿法律事務所へご相談ください。