15年超の経験で磨いた知見を活かし相続問題に取り組む。当事者それぞれの声を聴き、妥当な解決へ
静岡県浜松市で「名城法律事務所浜松事務所」を運営する河野正弁護士(静岡県弁護士会所属)に、相続案件を手掛ける上での心構えや事務所の強みを聞きました。複雑化した事案を整理することが得意だという河野弁護士。「何でも話してほしい。話すことで解決の糸口が見えてくるし、紛争解決に向けてすべきことがクリアになる。迷ったらとにかく一度相談に来てほしい」と話します。
インタビュー
弁護士が少ない地域での勤務を経て、2013年に事務所開設
これまでの経歴を教えてください。
私は愛知県出身で、2004年に金沢大学を卒業し、2005年に司法試験に合格しました。2007年に弁護士登録し、名城法律事務所へ入所しました。2010年に弁護士過疎地域の市民の力になりたいとの思いから事務所を一旦離れ、下田ひまわり基金法律事務所へ赴任しました。任期が満了した2013年に事務所に復帰し、同時に浜松事務所を開設して現在に至ります。
「ひまわり基金法律事務所」というのはどういった事務所なのでしょうか。
ひまわり基金法律事務所は、公設事務所とも呼ばれ、弁護士が一人もいない、もしくは、一人しかいない「弁護士過疎地域」と呼ばれる地域でも、いつでも、誰でも法的サービスを受けられるように、日本弁護士連合会などの支援を受けて開設・運営される法律事務所です。
ひまわり基金法律事務所は全国各地に設置されていて、私は静岡県の下田ひまわり基金法律事務所の所長を約3年間務めました。
名城法律事務所はどんな事務所ですか。
1987年に小関敏光弁護士が開設し、2003年に弁護士法人化した事務所です。ここ浜松以外にも、名古屋、東京、豊田、春日井、一宮、大阪、豊橋に事務所があります。
事務所全体として高齢者・障がい者の支援に取り組んでいます。
事務所として大切にしていることを教えてください。
依頼者からじっくり話を聴き、丁寧に案件を進めることです。依頼者の話に真摯に耳を傾け、その上で案件解決のために重要なポイントを掘り下げていきます。何でも話してもらえる関係性が重要ですので、依頼者とは対等な関係を築くことを大切にしています。
法人全体で高齢者支援に注力。相続の悩み全般に対応
相続案件に注力している理由を教えてください。
私は複数化した事案を整理するのが得意です。どのような事実関係が事件を複雑化しているのか、どのポイントから整理すると事実関係が分かりやすくなるのかを自然に考えられます。とくに相続案件は事案が複雑化し易いため、このような自分の強みを活かせる案件だと思っています。
相続についてよくある相談内容を教えてください。
「自分の言い分ばかり主張する相続人がいる」「被相続人の財産管理をしていた相続人が遺産に関する資料を見せてくれない」「連絡が取れない相続人がいる」など、一部の相続人から協力が得られず困っている方からの相談がよく寄せられます。
それ以外にも、相続放棄、遺留分侵害額請求など、相続全般についてご相談いただいています。
また、当事務所は法人全体として、高齢者や障がい者の支援に力を入れているので、紛争解決後の、財産管理契約、任意後見契約、遺言書作成といった事件にも対応していますし、遺言書を作った方が亡くなった後、遺言書の内容を実現する遺言執行者を務めることも多いです。
最近の相談の特徴や傾向があれば教えてください。
以前は、被相続人と同居していた配偶者や子が不動産を取得するにあたり、その処理について悩むケースが多い印象でした。ところが、最近は、親と同居する人が少なくなった影響か、売却して現金を分けるケースが増えたように思います。
長年の経験に基づき見通しを立て、解決に向けてサポート
相続案件を手掛ける上で心がけていることを教えてください。
相続案件は長年の経緯があって揉めるケースが多いです。複雑化した事実関係の中から依頼者の言い分も相手方の言い分も分析し、それぞれが譲歩できない点は何か、逆に、譲歩できる点は何かを検討し、うまく相手方の譲歩を引き出し、満足度の高い解決を目指すことを心がけています。
先生の事務所ならではの強みや、他の事務所との違いはどんなところでしょうか。
私には長年の弁護士経験だけではなく、弁護士過疎地域で所長を務め、現在も一人で浜松事務所を運営しているという経験があります。日々寄せられる様々な案件に自分の責任と判断で対応してきたことで、弁護士としての腕が相当磨かれたと思っています。
また、事務所全体として高齢者の支援に力を入れているので、財産管理、後見、遺言書作成といった紛争後を見据えた対応も提案することができます。
これまで積み重ねてきた知見を元に見通しを立て、状況に応じて最適な選択をし、依頼者が納得できる解決をはかります。相続に関するどのような悩みも、ぜひ一度ご相談ください。
相談しようか迷ったときこそ、相談すべきタイミングです
相続について弁護士に相談するメリットを教えてください。
相続に至るまでの長年の経緯から複雑になっているケースが多いです。弁護士に相談していただければ、まずは、絡まった状況を一つひとつ丁寧に紐解いて事実関係を整理します。
整理することで、問題のポイントや、法律で実現できること・できないことがはっきりします。また、見通しがクリアになり、解決に向けてすべきことが具体的に見えてくるのは大きなメリットだと思います。
早めに相談するメリットと、相談が遅れることによるデメリットを教えてください。
相談が遅れることで、相談者の記憶力が低下したり、証拠資料が散逸したりするなどして主張が認められなくなるリスクがあります。さらに、遺産の管理、例えば、遺産分割が成立するまでに支出した不動産の維持管理費用について新たに紛争が生じるといったリスクもあります。
一方、早めに弁護士が入れば状況が複雑になる前に適切な対処ができ、早期解決につながることが多いです。
初回相談までの流れを教えてください。
まず電話で予約をお願いします。その際に簡単な相談内容をうかがい、相談当日にお持ちいただきたいものをお伝えします。その上で当日事務所までお越しいただき、改めてご相談をうかがいアドバイスをします。
初回相談では、依頼者がどこでつまずいているのか、今後どこでつまずきそうかというポイントを見極め、適切なアドバイスをすることを心がけています。
これまで取り組んできた相続案件の中で、印象に残っているものはありますか。
何十年も遺産分割されないまま放置されていた不動産に関する案件です。近所から苦情が来ないよう、ある相続人がずっと一人で管理をしていたのですが、色々な事情が重なってこれ以上管理できない状況になり、遺産分割協議に向けて動き出しました。
この案件では相続人の中に障がいをお持ちの方がいらっしゃり、私はその成年後見人として遺産分割協議に関わることになりました。
それまで誰も動こうとしなかったケースですから、協議を始めてもなかなか進みません。しかもずっと管理をしてきた方は、その分多くの財産を相続したいと主張し、その気持ちも当然理解できますが、管理費用が不明瞭だとの他の相続人の主張も理解できるものでした。
そこで、私は皆さんの意向を聞くなどして、解決に向けた優先順位を決めて対応を進めました。私は成年後見人だったので依頼者から依頼を受けるという形ではありませんが、長年遺産分割を放置した場合の大変さを痛感しました。
相続のトラブルを抱えて弁護士への相談を検討している方に向けて、メッセージをお願いします。
「相談した方がいいのかな」と迷ったら、その時点で相談していただければと思います。ご自身では些細な悩みと思うことや、法律問題かわからないことでも構いません。
相談した結果「心配することではなかった」とわかることも法律相談の大きな意味です。逆に、思った以上に深刻な状況で早々に対処が必要と判明する可能性もあります。相談すべきかどうかを自分で判断せず、とにかく一度弁護士と話をしてみていただければと思います。