相続問題を的確にスピーディに解決するために~丁寧に事実を積み上げ立証する
名古屋市で相続問題に取り組む「西山・下出法律事務所」の杉浦正規弁護士に、事務所のモットーや仕事をする上で大切にしていることなどを伺いました。相続問題は事件終了後も当事者の関係が継続するため、慎重な対応を心掛けているという杉浦弁護士。相談件数が多い使い込み問題の対策や相続問題を弁護士に依頼するメリットについても、詳しく話していただきました。(愛知県弁護士会所属)
インタビュー
スピーディかつ的確な対応をモットーに
西山・下出事務所について教えてください。
西山・下出法律事務所は名古屋市中区、地下鉄「久屋大通駅」から徒歩3分というアクセスの良い場所にあります。私を含め4名の弁護士が在籍しており、相続問題をはじめ交通事故や離婚問題、企業法務など幅広い分野に取り組んでいます。
事務所の方針として、大切にされていることを教えてください。
「スピード感を持って依頼者にとって適切な対応をする」というのが、当事務所のモットーです。依頼者のニーズを的確に把握して適切なアドバイスをすること、スピード、十分な説明。この3つを大切にしています。
一つの事件に対して裁判が開かれる頻度は1、2か月に1回程度です。弁護士にとっては普通のことですが、悩みや不安を抱えている依頼者にとっては、非常に遅いと感じられるはずです。現状や進捗具合の報告をこまめにし、質問があれば迅速に回答するなど、依頼者に不安を与えないように心掛けています。
また、基本的に連絡はメールではなく電話で行っています。メールでは依頼者の理解度や納得度が図れず、意思疎通がうまくいかないことがあります。電話であれば即座に疑問に答えられますし、「返信」という依頼者の負担をなくすこともできます。
使い込みを疑われた場合、事実を積み上げ積極的な証明を
相続問題では、どのような相談が寄せられますか。
遺産分割協議をはじめ、遺言の有効性や財産の使い込みなどに関する相談が寄せられます。
介護施設の顧問を務めている関係で、被相続人の世話をしていた相続人から相談を受けることが多いです。たとえば、介護に使用したお金など財産の使い道について他の相続人から疑われて困っている、というような相談が寄せられます。
これまで扱った相続案件で印象に残っている案件を教えてください。
財産を使い込んだとして、共同相続人から不当利得返還請求を受けた依頼者の事案が印象に残っています。相手方は被相続人の身の回りの世話をしていた依頼者に対し、使途不明金が2000万円あるとし、返還請求を起こしました。
依頼者によると、被相続人から「身の回りの世話をしてくれる代わりに、自分の財産を生活費に充てていい」と言われていたそうです。
今回のケースでは、本来、訴えを起こした側が被相続人の財産が勝手に使い込まれた事実を証明しなければなりません。しかし、相続問題は家族間の問題であり、契約書や同意書等を作成していることはあまりなく、証拠に乏しいことが多いため、裁判所が折衷案的な判決を下すことがあります。そのため、訴えられた側であっても、証拠を示して、お金を使い込んでいないことを主張・立証しなければ、利益を守れないこともあります。
依頼を受けた私は、明細書を集めるなどして、裁判所に対してお金の使途を一つ一つ説明しました。そして、「2000万円のうち1500万円は被相続人の同意のもとに使用されている」と主張し、最終的には支払額を500万円まで減額することに成功しました。
使い込み問題は、一番の証人である被相続人が亡くなっているため、解決が難しい問題です。こうしたトラブルを招かないためには、領収書や同意書を残しておくことが一番なのですが、家族間で毎回同意書等を作成するのは手間だと思いますので、日記やメモ書き程度のものを残しておき、トラブルとなった際にきちんと説明ができる状態としておくと良いでしょう。
「何に使った」と具体的に説明できれば、他の相続人からあらぬ疑いをかけられることはなくなると思います。
親族間で激化しがちな相続問題。法律のプロにお任せください
相続問題を弁護士に相談するメリットはどのようなことがありますか?
例えば、相続人を確定させる作業において、弁護士が役立つことがあります。相続人調査は、被相続人の出生から亡くなるまでのすべての戸籍を調べるのですが、本籍地を転々とされているような場合、戸籍を取り寄せるのは骨の折れる作業です。弁護士であれば弁護士の権限で取り寄せることができる上に、戸籍を読むプロですので、迅速に相続人を確定することが可能です。
また、遺産分割で紛争になっているケースでは、弁護士が介入することで協議を円滑に進展させることができます。親族同士の直接の話し合いは感情が先に立ち、話がまとまらないことが少なくありません。弁護士が窓口になることで話が整理され、法律に則った助言を受けることができるため、スムーズな解決が図れます。
相続問題でやりがいを感じるのはどのようなときですか?
相続は扱う金額が比較的大きい上に、解決まで時間が掛かることが多いため、結果が依頼者に与える影響はとても大きいです。そうした問題にスピード感を持って的確に対応し、依頼者が心から満足する結果を出せたときは、充実感があります。
相続問題を扱う際に、気を付けていることはありますか?
他人同士の争いなら圧倒的な勝利になっても問題ないかもしれませんが、相続問題の場合は相手が親族であり、事件終了後も関係が続きますので、なるべく遺恨が残らないように努めています。
そのために大切なのは、話を傾聴することです。依頼者はもちろん相手の話もしっかり聞き、一方の主張を押し付けるのではなく、互いの妥協点を見つけることに尽力することで、円満な解決を目指します。
最後に、相続問題で悩んでいる方にメッセージをお願いします。
相続問題は親族間の問題であるがゆえに、他人に相談することを恥ずかしいと考えている方もいるのではないでしょうか。相続問題は時間が経つほど問題が複雑化し、解決に時間がかかります。親族間の問題だからこそ、事態が悪化する前に相談することが大事だと思います。
どうか一人で解決しようとせず、なるべく早く弁護士にご相談ください。早めの相談こそ、的確かつスピーディな解決につながります。トラブルを事前に防ぐための生前対策のサポートもしていますので、どうぞお気軽にご相談ください。