相続弁護士 ドットコム

あけぼの法律事務所

所在地
愛知県 名古屋市中区錦2-2-24 いちご丸の内サウスビル8階B号室

依頼者の話に丁寧に耳を傾け、重要な情報を引き出す。親族関係にも配慮し、相続の悩みを円満解決

西田 寛あけぼの法律事務所

愛知県名古屋市で「あけぼの法律事務所」を経営する西田寛弁護士(愛知県弁護士会所属)に、相続案件に携わる上で心がけていることなどを聞きました。一見すると雑談や愚痴のように思える話の中にも、重要な情報が隠されていることがあると語る西田弁護士。丁寧なコミュニケーションを通じて、依頼者にとって最大限利益のある解決をはかります。相続について弁護士に相談・依頼するメリットについても詳しく聞きました。

インタビュー

会社員として働きながら法律の勉強を続け、弁護士の道を歩む

弁護士になるまでの経緯を教えてください。

私は大学で経済学を専攻しており、当時は弁護士になろうとは全く考えていませんでした。大学卒業後は一般企業に入社しましたが、阪神・淡路大震災の影響で経営が悪化し、私自身もリストラを経験しました。

その後、別の会社で働きながら公務員を目指したのですが、バブル崩壊後で公務員試験の競争率も非常に高く、残念ながら合格には至りませんでした。その際、経済学の知識だけでは不十分だと感じ、法律の勉強を始めました。学ぶうちに法律そのものに興味を持ち始め、「せっかく勉強するなら資格を取ろう」と考えるようになりました。本格的に弁護士を目指し始めたのは、30歳を過ぎてからです。

私自身もそうでしたが、30歳前後というのは、会社内のトラブルや離婚問題など様々な悩みが出てくる時期です。当時、友人から相談を受ける機会も多く、そういった「身近な人たちの困りごとを助けたい」という思いが、弁護士を志すきっかけの一つとなりました。今でも、相続をはじめとする家事事件や男女間のトラブルは、業務の大切な柱の一つとなっています。

弁護士になったのは44歳のときです。年齢的なこともあり、「いずれは独立し、一人でやっていかなければならない」と、早い段階で覚悟を決めていました。

事務所設立の経緯を教えてください。

最初に所属したのは、愛知県弁護士会の有志の方々が設立した事務所でした。この事務所は、就職難の若手弁護士を支援することを目的に立ち上げられたもので、そこで2年間経験を積みました。

その後、2017年に現在の事務所を開設しました。「あけぼの法律事務所」という名前には、トラブルを抱えて来られる相談者や依頼者の方々に、「明けない夜はない」という思いを伝え、暗闇から少しでも明るい未来へと踏み出していただきたい、という願いを込めています。

雑談の中に問題解決のカギが隠れていることも

相続案件に注力している理由を教えてください。

一般の方々が法律上のトラブルに巻き込まれるケースで最も多いのは、交通事故と相続だと感じています。そのため、自然と相続案件に注力するようになりました。

相続について、よくある相談内容を教えてください。

遺言書を作りたいという相談や、遺産分割協議の話し合いがまとまらないといった相談があります。

遺産分割では、例えば、相続人の一人が法定相続分を無視した無理な要求をしているケースが多いです。

相続案件を手掛ける上で心がけていることを教えてください。

依頼者の話を丁寧に聞くことを大切にしています。一見、雑談や愚痴のように思える内容にも、重要な情報が含まれていることがあるからです。

例えば、「自分が長年お父さんの介護をしてきた」という話や、「兄弟は親に海外留学を支援してもらったのに、自分は高校までしか学費を出してもらえなかった」といった話が出ることがあります。このような場合、それが寄与分や特別受益に該当し、依頼者が遺産を多めに取得できる可能性があります。依頼者自身が気づいていない場合でも、雑談や愚痴の中からこうした情報を引き出せることは多いのです。

また、親族間の関係をできるだけ悪化させないよう配慮することも心がけています。例えば、相手方とのコミュニケーションにおいても、攻撃的な言葉は極力避け、穏やかに伝えるよう工夫しています。

依頼者が、どうしてもそのままの言葉で伝えたいと希望する場合は意向を尊重しますが、事前に「その言葉のままでは相手を刺激し、トラブルが大きくなる可能性がある」と説明し、理解を得たうえで進めています。

さらに、依頼者の希望を可能な限り先方に伝える一方で、法的に実現が難しい要求については、「このままでは相手方に納得してもらえない可能性が高い」といった現実的な見通しを率直に伝えています。

相続について弁護士に依頼するメリットを教えてください。

弁護士という法律の専門家と一緒に進めることで、自分で調べる手間を大幅に減らすことができます。書類の作成なども弁護士に任せれば負担が軽減します。

トラブルに巻き込まれると、気持ちがその問題ばかりに集中しがちです。しかし、弁護士に一部の負担を任せることで、精神的な負担が軽くなり、心に余裕が生まれるでしょう。

また、自分で調停を行う方もいますが、調停委員とのやり取りで話がかみ合わなかったり、誤解が生じたりすることがあります。説明が足りず、意図がうまく伝わらないこともあります。

こうした場合、弁護士が「通訳」としての役割を果たし、依頼者の意図を正確に調停委員に伝えるとともに、調停委員の言葉を依頼者に分かりやすく伝えて、会話を整理します。弁護士のサポートを受けることによって、相続問題で損をするリスクを回避できます。

長年の社会人経験があるからこそ、依頼者の気持ちに共感できる

先生の事務所ならではの強みを教えてください。

長年の社会人経験によって、一般の方々の感覚を肌で理解し、依頼者の気持ちに共感できることです。

これまでに大企業や中小企業で働き、中間管理職を務めた経験もあります。パワハラのある職場やワンマンな社長の下で働いた経験もあり、複雑な人間関係の中での精神的負担も考慮して対応することができます。

これまで取り組んできた相続案件の中で、印象に残っているものはありますか。

遺留分侵害額請求に関する案件が印象に残っています。依頼者は、夫を亡くした妻で、相続人は依頼者と2人の子どもでした。夫は生前、商売をしており、息子がその手伝いをしていた時期がありました。

夫が亡くなって数年後、息子が突然、「父親から給料を十分にもらっていなかった」「父親が家を建てる際にお金を貸した」といった主張を依頼者に対して行い、支払いを求めてきました。その際、家に「金返せ」「泥棒」といった張り紙をするなど、嫌がらせ行為も行われました。依頼者は精神的に追い詰められ、「どうしたらいいのか」と相談に来ました。

受任後、依頼者の娘と話し合いをした結果、依頼者は息子のいる家を出て、娘の元で暮らすこととなりました。依頼者の身の安全を確保し、息子との問題は収束しました。

その後、依頼者であった母親が亡くなり、生前に作成されていた遺言書が見つかりました。その内容は、全財産を娘に譲るというものでした。私は遺言執行人である娘の代理人として、手続きを進めることとなりました。

しかし、息子から遺留分の請求があり、再び争いが発生しました。娘は生前、母親を引き取り財産管理も行っていましたが、母親の食費や入院費、雑費などを母親の口座から支払っていました。その際、支出の記録を残していなかったため、息子から「使途不明金」と指摘され、相続財産の総額や遺留分の計算をめぐり大きな争いとなりました。

最終的には、ストレスから早く解放されたいという娘の意向により、使途不明金について一定の譲歩をし、遺留分として認められる金額を支払うことで解決しました。

この案件では、家族間であっても財産管理や支出について記録を残すことの重要性を痛感しました。母親から依頼を受けた当初は、娘に記録をつけるよう助言することは業務の範囲外だと考えていましたが、簡単なメモでもつけておけば後の紛争を防ぐ大きな助けになったと思います。この点については、自分自身でも反省し、今後に生かすべきだと感じています。

その後、同様のケースにおいては、紛争予防の観点から出金の記録をつけるといった具体的なアドバイスも行い、依頼者やその家族をサポートすることを心がけています。

相続のトラブルを抱えて弁護士への相談を検討している方に向けて、メッセージをお願いします。

法律には専門的で分かりにくい部分が多いものです。実際に依頼するかどうかは別として、どんな小さな疑問でもお気軽にご相談ください。弁護士への相談に抵抗を感じる方もいるかもしれませんが、些細なことでも気にせず、安心してお話しいただければと思います。

相談の結果、ご自身で対応できそうであればそのまま進めていただいて構いませんし、難しいと感じた場合は、その時点でご依頼を検討いただければと思います。依頼するかどうかは後から決められますので、まずは気軽にご相談ください。