地元郡山で信頼できる存在に。依頼者の事情に柔軟に対応し、最善の解決策を提案
福島県郡山市にある平石法律事務所の平石典生弁護士(福島県弁護士会所属)に、事務所設立までの経緯や弁護士に早めに相談するメリットを聞きました。依頼者の話を広く聞く中で、見落としがないように心掛けているという平石弁護士。弁護士への相談は早ければ早いほど良いと話しています。
インタビュー
依頼者には自由に話してもらい、見落としを防ぐ
事務所設立の経緯を教えてください。
私は郡山市の出身で、1995年に郡山市内の法律事務所で弁護士としてのキャリアをスタートしました。その後、勤務弁護士として経験を積み、2000年に現在の事務所を開設しました。地元の皆さまに信頼される存在になりたいという思いから、現在も郡山市や周辺市町村を中心に弁護士として活動しています。
地域のニーズに応えながら、依頼者に真摯に寄り添って弁護士活動を続けていくことにやりがいを感じています。
事務所の理念と、それを実現するために、具体的に取り組んでいることを教えてください。
依頼者のお話をよく聞くこと、秘密を厳守することを大切にしています。
ご相談の時間は限られていますので、当事務所では事前の準備を大切にしています。相続や離婚、交通事故などのご相談では、事前に事務局の方で事案の概要をお聞きしたり、相談者ご自身でご記入いただくためのフォーマットをお送りしてご相談日までにご返送いただいたりして、当日のご相談をスムーズに進められるように努めています。
また、弁護士が聞きたいことを中心にご相談を進めてしまうと、重要な情報を聞きもらしてしまう恐れもあります。相談者には、事案についてできるだけ自由にお話しいただいて、重要な事実の見落としを防ぐよう努めています。
例えば、遺産分割事案の相談者の中には「特別受益」という制度を知らない方もいらっしゃいます。しかし、色々とお話を伺う中で、かなり昔に被相続人からまとまった財産を贈与されていたと推測される相続人が出てくることもあります。また、寄与分や隠れた遺産の発見につながる事実が出てくることもあります。
土地や建物は目立つ財産ですので、相談者がそれを見落とされることはほとんどないのですが、例えば、被相続人が昔誰かにお金を貸したまま返してもらっていないといった事実があれば、貸金も一つの財産ですので、借主の資力によっては遺産分割の対象となる可能性もあります。
寄与分の認定ハードルは高い
相続案件に注力している理由を教えてください。
昨今、相続登記の義務化や遺言の保管制度の創設などにより、相続案件への関心が高まっているためか、相続についてのご依頼が増加傾向にあり、紛争の内容も多様化しています。そのため、より多くの相続案件への対応と、より多様な相続案件への対応が必要になってきていると感じているからです。
相続についてよくある相談内容はなんですか。
相続人同士の対立です。一部の相続人が遺産を独占しようとするケースや、他の相続人に遺産の詳細を伝えず、一方的に書類へのサインを求めるケースも見受けられます。
対立する相手方への基本的な対応としては、相手方へ受任通知を送付して、遺産分割協議を申し入れ、財産目録を提供してもらい、交渉を進めていきます。当事者同士ですと感情的な対立が激しくなりがちですが、依頼者が弁護士に依頼したことで、相手方も弁護士を依頼するパターンが比較的多く、それによって感情的対立が抑えられ交渉がスムーズに進む場合もあります。
相続案件を手がける上で心掛けていることはありますか。
法律どおりに分けることを意識しています。もちろん依頼者の希望する財産をできるだけ取得できるようにしてあげたいと考えておりますが、現物分割が困難な事案や、代償金の原資が不足する事案も多く、特別受益や寄与分などの問題も出てきますので、それらにどのように対応するかが分割方法を協議する上で重要です。
特に、依頼者は寄与分の割合をかなり大きく考えておられることが多く、法律実務における評価との間にギャップがあります。病院での付き添いが寄与分に当たると思っておられる方もいらっしゃるのですが、法律実務上は寄与分と認めてもらえないことが多いです。
一方で、特別受益は、証拠があれば比較的認められやすいです。例えば、相続人の一部の方が家を建てるときに被相続人から建築費の一部を出してもらったり、事業を始めるときに開業資金を出してもらったりした場合は、特別受益と認められやすいです。他方で、学費などの教育費について特別受益と主張される方もおられますが、法律実務上は、原則として特別受益には当たらないという考え方になっています。
依頼者のご希望が法律実務の運用に照らして実現が難しい場合は、その旨を率直にご説明しております。
揉めている相続事案は弁護士への依頼を
相続について弁護士に相談するメリットを教えてください。
裁判所の調停や審判、訴訟においては、立証の問題が出てきます。依頼者から伺った事実を立証するためにどういう主張と証拠が必要なのかを検討するためには、事実認定に関するスキルが必要になります。弁護士や裁判官は、そのスキルを司法試験や司法修習を通して修得しています。この点が、他の専門職とは異なる特長です。
司法書士や税理士も、紛争性の低い事案の相続手続には精通しておられると思いますが、相続人の間で揉めている紛争性の高い事案については紛争処理に慣れた弁護士に頼んだ方が、期待する解決につながる可能性が高まると思います。また、司法書士は、民事に関する紛争であって紛争の目的の価額が140万円を超える事件を扱うことはできません。
早めに相談するメリットと、相談が遅れることによるデメリットを教えてください。
早めに相談するメリットは、遺産の散逸を防ぎ、保全できる可能性が高まることです。例えば、遺産分割前に他の相続人によって被相続人の預金が引き出されたりすることは珍しくありません。
しかしながら、遺産分割で分けられるのは、相続が始まった時に存在し、かつ、分割する時にも存在する財産です。遺産分割の前に被相続人の預金が引き出されてしまうと、裁判所に遺産分割調停を申し立てても、存在しないものは分けられないとして、原則として遺産分割の対象財産と認めてもらえません。
また、証拠の散逸を防ぐことも、早めに相談する大きなメリットです。時間が経つと、証拠となる書類やデータが紛失したり壊れたりするリスクが高まります。例えば、預金履歴は10年以上経過すると金融機関からの取得が難しくなりますし、重要な書類が紛失する可能性もあります。
また、相続人や関係者の記憶も薄れていき、他の出来事と混同したり、無意識のうちに自分がこうあってほしいと願う内容に変わってしまう恐れもあります。
相続を巡る紛争を回避するには、相続が始まる前にご相談いただき、遺言を作成していただくことが一番良いと思います。また、相続が始まった段階でも、相談は早ければ早い方が良いです。
相続のトラブルを抱えて弁護士への相談を検討している方に向けて、メッセージをお願いします。
紛争性の高い相続事案の解決はとても難しいので、是非お早めにご相談ください。お話を丁寧にお聞きして、できる限りご事情に即した解決策をお示ししたいと思っておりますので、まずはお気軽にご連絡ください。