依頼者の思いに寄り添い、納得の解決へ。相続人が多い案件の実績多数、財産の管理・清算もお任せを
長野県佐久市で「あさま法律事務所」を経営する川島豊弁護士(長野県弁護士会所属)に、相続分野への取り組みについて聞きました。相続人が数十人にのぼるケースを多数手がけるほか、相続財産清算人として、相続人が一人もいない場合の財産の管理・清算にも対応するなど、様々な依頼に応えている川島弁護士。地元の専門家とのネットワークも活かして、相続の悩みを解決に導きます。
インタビュー
「法律的にどう解決できるのか」をわかりやすく説明
先生のキャリアについて教えてください。
大学は法学部だったのですが、当時は漠然と「警察官になりたい」と考えており、弁護士になることは考えていませんでした。卒業後は長野県警に入り、1年半勤めたのち、公務員試験を受けて地元の佐久市で公務員として勤務を始めました。
公務員として働く中で、あるとき、父から「より専門性を磨くために、司法試験にチャレンジしてみてはどうか」と勧められたんです。弁護士という仕事を意識したのはそのときが初めてでしたが、さまざまな方の困りごとを解決できる魅力的な職業だと思いました。一念発起して上京し、明治大学のロースクールに入り、司法試験の勉強に取り組みました。
在学中から、弁護士になったらすぐに独立しようと決めていたため、司法修習を終えてすぐの2013年12月に「あさま法律事務所」を開業しました。
事務所の理念や、大切にしていることを教えてください。
「適正・創意・工夫」です。相談に来られた方には、抱えている悩みについて法律的な理解をしていただくことを大切にしています。その場で解決はしなくても、今後の見通しや、解決のためにできることについて、ある程度納得して帰っていただきたいのです。
そのために、できるだけわかりやすい説明を心がけています。専門用語をそのまま使わず一般的な言葉に変換したり、ホワイトボードを使用して視覚的にも理解しやすい方法をとるなどの工夫をしています。
理屈では割り切れない思いも大切に
相続案件を手がける上で、心がけていることがあれば教えてください。
依頼者の話を丁寧に聞くことです。そうすることで、トラブルが起きるまでの経緯や当事者の関係性などの情報を把握できるので、正確な見通しを立てやすくなります。
相続では、家族・親族間の過去のしがらみが絡んでくることが少なくありません。法律で解決することが難しい問題もありますが、「その請求は認められません」などと頭から否定せず、まずは話を聞くようにしています。その上で、法律で解決できること・できないことを整理し、解決できないことについては、依頼者に納得してもらえるよう理由を説明します。
依頼者の中には、「法律の理屈で通らないことは分かるが、どうしてもこういう主張をしてほしい」と希望する方もいます。結果には反映されないとしても、依頼者が相手方や裁判所に本気で伝えたいのであれば、その思いを代弁するのも私の仕事です。言いたいことを言えずに終わると悔いが残りますから、理屈ではない部分もフォローするのは大事だと思っています。
相続案件に注力されている理由と、よくある相談内容について教えてください。
相続案件に多く取り組むようになったのは、相続人が50人ほどいる案件を取り扱ったことがきっかけです。
財産を持っている人が亡くなってから誰も手を付けていなかった土地を、死後数十年経ってから整理する場合、その間に新たな相続が発生して相続人が増えていたり、認知症を発症した相続人がいたりと、さまざまな問題が生じます。
相続人が多い案件は、紛争性がなければ司法書士でも扱えるのですが、「書面が返ってこない」「同意が取れない」といった場合は調停を起こさざるを得ず、それができるのは弁護士のみです。地域に、こういった問題に取り組む事務所があまりないため、当事務所の解決事例を知った方から相談が持ち込まれるようになりました。
相続人が多数いる案件の扱いが多いのは当事務所の特徴の一つです。また最近では、相続財産清算人に関する相談も寄せられます。
相続人がいない場合の財産管理にも対応
相続財産清算人とは何ですか。
亡くなった人に相続人がいない場合や、全員が相続放棄した場合に、相続人の代わりに財産の管理や清算をおこなう人のことです。不動産や車などの財産をお金に換えたり、預貯金の解約などをして、必要な支払いをする役割もあります。
被相続人と利害関係がある人が裁判所に申し立てをおこない、裁判所に選任された弁護士や司法書士などの士業が就任することが一般的です。利害関係がある人とは、簡単にいうと、相続財産清算人が換金した相続財産の一部を受け取りたい人のことです。
「被相続人にお金を貸していて返済してほしいが、相続人がいなくて請求できない」「内縁の配偶者などの特別縁故者(誰も相続人がいない場合に、特別に財産を引き継ぐ権利が発生した人)として財産を受け取りたい」。このような人は、相続財産清算人の申し立てをすることで、借金の返済や財産分与を受けられます。
また、管理してほしい財産がある方から相談を受けることもあります。
具体的にどのような相談でしょうか。
たとえば「自分は相続人ではないが、亡くなった親戚の家をずっと管理していて、そろそろ手放したい。誰かに代わりに管理してほしい」というケースです。
長年空き家になっている建物があり、その隣に住んでいる方から「このまま朽ちていくと自分の家が被害を受けそうなので、管理する人を立ててほしい」と相談を受けて、相続財産清算人の申し立てをおこなったこともあります。
申し立ては個人でもできますが、必要書類を集める手間がかかります。依頼していただければ手続きを代行しますし、私自身が清算人となって財産の管理や清算をすることもできます。
相続財産清算人は、一般の方にはあまり知られていない制度です。「相談に来て初めて、清算人の申し立てが必要だとわかった」というケースもあります。悩みを解決する糸口になるかもしれないので、どう対処すべきかわからない問題を抱えている方は、相談だけでも一度お越しいただければと思います。
生前対策の相談もありますか。
はい。遺言作成の依頼を多数承っています。作成だけではなく遺言執行者として指定していただくことも多いです。
すでに遺言を作成した方から、「この内容で問題ないか」と相談されることもあります。以前、ある有料老人ホームに入所している方が書いた遺言を見せていただいたことがあるのですが、「自分が亡くなったら入所しているホームに財産を寄付する」というような内容で、「本当にご本人の意思に基づいて書かれたものなのだろうか」と疑わしく思ったケースがありました。
もちろん、本人が納得しているならどのような内容でもよいのです。ただ、せっかく遺言を書くなら、大切な財産を誰にどんな形で引き継いでほしいか、残された家族が揉めないためにはどんな内容にすべきか、といったことをじっくりと考えて作成することで、悔いなく人生を締めくくれると思います。
最近は終活という言葉が浸透し、一昔前に比べて生前対策の相談が明らかに増えました。これから遺言作成を考えている方や、遺言の内容に不安がある方は、ぜひ気軽に相談してもらえればと思います。ご本人の希望を尊重しながら、最適な内容に仕上がるように専門家目線のアドバイスをお伝えします。
法律的なアプローチによって、こう着状態に変化が生じることも
事務所ならではの強みや、他の事務所との違いを教えてください。
地元の専門家とのネットワークがあることです。財産の中に不動産がある場合、相続にあたっては、評価額を調べたり土地の境界線を明確にしたりするなどの手続きが必要です。不動産業者や土地家屋調査士などの協力が必要になりますが、当事務所ではそのような専門家とのつながりがあるので、スムーズに対応可能です。
司法書士や行政書士、税理士とも連携しているので、登記や税務に関する手続きも当事務所が窓口となって進めます。
相続に関して相談・依頼を検討している方へのメッセージをお願いします。
相続は家族の問題がダイレクトに出てきます。それぞれの価値観で「こうあるべきだ」と決めつけてしまい、お互いの主張が対立して争いになるケースが少なくありません。
当事者同士で話し合ってこう着状態になってしまっても、法律的なアプローチで状況を変えられる可能性があります。ご自身で無理に対処しようとせず、ぜひ一度弁護士にご相談ください。
法律事務所に足を運ぶことはハードルが高いと感じるかもしれませんが、当事務所では、なるべく敷居を低くし、相談しやすい環境を整えています。身構える必要は全くありません。「気になることを全部話してみよう」ぐらいの気持ちで、一度お越しいただければと思います。