中小企業の事業承継の相談多数 企業経営者や家族の思いを深く理解し、丁寧にサポート
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東京都千代田区で「湊総合法律事務所」を経営する湊信明弁護士(東京弁護士会所属)に、相続案件に携わる上で心がけていることなどを聞きました。普段は企業法務に関わることが多く、事業承継の過程で相続問題にも取り組むことが多いと語る湊弁護士。相続について弁護士に相談・依頼するメリットについても詳しく聞きました。
インタビュー
質とスピードの両立を最優先に
事務所設立の経緯を教えてください。
私が弁護士を志したのは、中学2年生のときに父が大きな医療事故で亡くなった経験がきっかけです。病院の対応に納得できず、強い憤りを感じたことを覚えています。
その後、田宮二郎主演のテレビドラマ「白い巨塔」を見て、弁護士はペン1本で理不尽に立ち向かい、被害者に寄り添い正義を実現できる職業だと知り、弁護士を目指すことを決意しました。
この思いを胸に1995年に司法試験に合格し、2年後には別の事務所でパートナーを務め、2003年に湊総合法律事務所を設立しました。
普段はどのような分野の相談が多いですか。
現在は企業法務を多く扱っています。中小企業の社長は、孤独な立場で大きなプレッシャーを抱え、従業員や取引先、大企業、銀行からの厳しい要求にさらされていることを知りました。弁護士として法的サポートを提供し、会社や従業員を守ることに尽力しています。
現在、約200社の企業と関わっており、幅広い分野の企業と取引があります。顧問先の大半は中小企業で、そのうち上場企業は10〜15%ほどです。
相続に関しては、企業の事業承継の相談を受けることが多く、企業関係者からの紹介で個人の相続案件も受任しています。
事務所の理念や大切にしていることを教えてください。
当事務所の理念は、「クライアントの利益の最大化を追求する ~人生に喜びを・企業に価値を~」というものです。
しかし、クライアントファーストを掲げるとはいえ、自己中心的なやり方はしません。ただ相手を打ち負かすだけでは本当の意味での解決にはならないからです。
法的に勝ったとしても、評判を損なったり、長期的に不利な状況に陥ることのないよう、お互いに納得し、後悔や恨みを残さない解決を実現することを目指しています。
依頼者の満足度を高めるために取り組んでいることを教えてください。
質とスピードを両立させることを最優先にしています。高品質な仕事を迅速に提供することが、クライアントの満足に繋がると考えています。
そのためには、豊富な経験を積むことが重要です。当事務所では200社以上の企業と顧問契約を結び、様々な事例を通じて効率的に知識と経験を集積し、それを10名の弁護士間で共有しています。この経験の共有が、質の高いサービスを提供する基盤となっています。
また、迅速な対応を可能にするために、原則として弁護士でチームを組んで対応しています。チームでスムーズに案件を進めることで依頼者の不安を軽減し、円滑な解決を図っています。
さらに、当事務所には女性弁護士が5名在籍しています。女性ならではの視点を活かしたサポートを提供することで、クライアントの多様なニーズに応えることができます。
また、税理士や不動産鑑定士、公認会計士、司法書士、行政書士などの専門家とも連携し、複雑な案件にもワンストップで総合的なサポートを提供します。
事業承継の準備は、50代から始めるのが理想的
中小企業の事業承継では具体的にどのようなことをするのでしょうか。
まず社長の考えをしっかりとヒアリングし、株式や財産の分配、事業を承継する家族と他の兄弟との関係性を整理します。また、承継計画が実行された際に予想される問題や反発についても分析します。
事業承継では、経営権を集中させるために、承継者に株式をまとめて生前贈与する必要があります。承継者が一定の株式を保有することで、経営権を確実に移行し、従業員への説得力が増すためです。業績が低迷している時期に生前贈与することで、税負担を軽減できる場合もあります。
過去の贈与の有無や他の財産とのバランスによっては、特別受益や遺留分の問題が発生することがあります。その対策として、生命保険を活用し、受取人を適切に設定することで、相続人間の不公平を是正したり、遺留分侵害額を請求された場合に備えて資金を準備したりすることもあります。
また、社長がすぐに引退せず、経営を続けることが多い中小企業では、社長が将来認知症になる可能性も考慮します。そのため、社長と承継者の間で任意後見契約や財産管理契約を結び、承継者が社長の株式を行使できるようにしておきます。また、死後委任契約を締結し、社長が亡くなった後も、承継者が未払いの費用や事業資金を適切に処理できるように準備します。
こうした手続きにより、事業がスムーズに引き継がれ、家族間のトラブルを未然に防ぎ、全員が納得できる形で対応することを目指しています。
事業承継や相続について弁護士に相談するメリットを教えてください。
法的手続きを正確かつ迅速に進められる点です。
相続手続きには複雑な手続きが伴います。弁護士が代理人としてサポートすることで、安心して手続きを進められ、精神的な負担も軽減できます。
早めに弁護士に相談した方がよい理由を教えてください。
早期に相談することで、将来的な争いを未然に防げます。
事業承継の準備は、50代から始めるのが理想的です。すぐにすべてを整える必要はありませんが、将来に向けた段階的な計画を持ち、それを意識しながら経営することで、周囲に意図が自然と伝わり、勢力争いを防ぐことができます。
感情的な対立の激しいケースでも、粘り強く対話し円満な解決に導く
これまで取り組んできた相続案件の中で、印象に残っているものはありますか。
事業承継で、相続人同士の激しい対立を交渉でまとめた案件が印象に残っています。依頼者は会社を継ぐ長男で、相続人は母親と弟、妹でした。社長だった父親が亡くなった後、依頼者は弟や妹と激しく対立しており、代理人として遺産分割協議の交渉を行いました。
遺言があったものの不完全だったため、遺言に基づかず遺産分割協議を進めることになりました。事業承継に伴う株式や不動産の評価に大きな違いがあり、過去の家族間の問題も引き合いに出され、感情的な争いが激化しました。
私は何度も親族会議に参加し、弟や妹とも直接話をして彼らの意見を聞きました。弟と妹の主張は、長男が昔から特別扱いを受け、株式を含む多くの財産が長男に渡っており、本来相続財産となるべきものが弟や妹への説明もなく長男名義になっていたことへの不満でした。父親もそれを黙認していたことが不信感につながっていたのです。
私は弟と妹に、「あなた方の人生も真剣に考えており、限界はあるもののできる限りのことをしたい」と伝えました。一方で、円滑な事業承継ができなければ父親が一代で築いた会社が危うくなること、長男が事業を引き継ぐには精神的にも大きな負担があり、株を取得したとしても現金化が難しいことを説明し、理解を求めました。
長男には、弟と妹の不満を伝え、折り合いをつけなければ会社全体がうまくいかなくなることを伝えました。
最終的に、長男が事業を継ぎやすい形で遺産分割をまとめ、弟と妹も納得して合意しました。裁判に至らずに解決できたので、成功と感じています。また、依頼者だけでなく、弟と妹からも「話をしっかり聞いてくれた」と感謝され、印象に残っています。
事業承継の相談を新規でされるケースもあるそうですね。初回相談の流れを教えてください。
初回相談では、まず会社の規模や、従業員数、資本金、取引先などの基本情報を伺います。その後、ご家族の構成や家族関係を確認し、どのタイミングでどのように事業承継を行いたいかを伺います。
また、なぜ今事業承継を検討しているのか、具体的な背景も伺います。初回相談では全ての答えを出すことはできませんが、伺った内容をもとに見通しをお伝えします。
必要に応じて次回の相談日程を調整し、初回相談から2度目の相談までの間に社長やご家族が考えたことを共有していただきながら、さらに具体的なプランを練っていきます。
相続のトラブルを抱えて弁護士への相談を検討している方に向けて、メッセージをお願いします。
湊総合法律事務所では、クライアントの皆様の利益を最大限に守ることを目指して、日々業務に取り組んでいます。
相続や事業承継は、事業の安定やご家族の未来に大きな影響を与えるものです。そのため、企業経営者やご家族の皆様の思いを深く理解し、丁寧で心のこもった支援を提供することを心がけています。
料金体系についても明確にご説明し、十分にご理解・ご納得いただいた上で手続きを進めています。相続や事業承継における法的サポートを通じて、皆様の事業やご家族の安定と発展を支えるパートナーとして寄り添いますので、どうぞ安心してご相談ください。