依頼者の自己決定を大切に。誠実な対応と柔軟な発想で相続トラブルを解決に導く
兵庫県西宮市で「英幸法律事務所」を経営する宮本英幸弁護士にインタビューを行いました。2010年の事務所開設以来、地域に密着した活動を続ける宮本弁護士。長いキャリアの中で培った経験や柔軟な発想力を活かし、トラブル解決をサポートします。相続案件を手がける上での心構えや、事務所の強みなども詳しく聞きました。(兵庫県弁護士会所属)
インタビュー
依頼者自身に選択・決断してもらうことが重要
事務所の理念や、弁護士として大切にしていることを教えてください。
「常に全力投球であること」です。当たり前のことです。他の人は見ていなくても、自分自身は常に己の行いを見ています。自分に恥じない仕事をする、自分に対して言い訳をしない仕事をすることを忘れてはならないと思っています。
弁護士として特に大切にしているのは、依頼者に納得していただくことです。最終的な判断は依頼者自身に決めてもらっています。決断に至るまでの過程はサポートしますが、最終的な決断の際は弁護士に全てを委ねるのではなく、必ず依頼者自身で選択してもらいます。他人の判断した結果は、不満が残る(納得していただけない)のではないかと考えるためです。
紛争解決に至る打ち合わせを重ねる中で、依頼者との信頼関係を築けていると感じています。
依頼者の自己決定をサポートするために、具体的にどのような取り組みをしていますか?
必ず3つの選択肢をご提案するようにしています。相続に限らず、どのようなご依頼であっても、多方面から検討したうえで3つの選択肢を用意して、それぞれのメリット・デメリットを説明します。3つの選択肢があること、またその選択肢を比較検討する過程を共有することで、依頼者が納得感のある選択ができると思うからです。
また、決定するうえでの判断基準は人それぞれです。だからこそ、複数の選択肢が必要だと思っています。「時間がかかってもより良い条件での遺産分割を望む」「希望条件を少し譲っても早く解決したい」など、優先順位は人それぞれ違います。
全てを希望通りに進めることは難しいかもしれませんが、時間が経つにつれて条件を譲歩することに納得される方もいますし、気持ちの疲れから早期解決を望むようになる方もいます。
そういった気持ちの変化も敏感に察知しながら、解決という結論はもちろん、結論までの過程も含めて依頼者の選択をサポートすることで、納得感のある解決ができると考えています。
依頼者とのコミュニケーションで気をつけていることはありますか?
打ち合わせの時間を十分に取るようにしており、特に対面での打ち合わせを重視しています。なぜなら電話やオンラインでの対話だと、全ての情報をつかみきれないことがあるからです。
目で見て、声を聞いて、表情を読み取る。対面でしか得られない情報によって、より良いアイデアが浮かびやすくなります。
相手の立場に立って考え、行動する
相続分野に注力するようになった理由を教えてください。
弁護士にとって相続分野は、AIに代替されにくい永遠のテーマだと考えています。なぜなら人の感情が深く関わる問題だからです。また、人が介入するからこそ、AIでは思いつかないような画期的な解決方法が見つかることもあり、やりがいを感じています。
例えば、綱引きのように対立している状況でも、あるタイミングで綱を手放して、全く違う土俵での解決ができることがあります。そういった柔軟な発想での解決は、人でなければ難しいでしょう。経験を重ねるごとに脳内の引き出しが増え、新しい解決方法が見えてくる気がしています。
最近の相談にはどのような特徴や傾向がありますか?
不動産を持っている方からの相談が多いです。不動産は一つひとつの価値が高いため、遺産分割時にトラブルになりやすい傾向があります。
合わせて、近年増えているのが、遺言書に関する相談です。特定の子どもに財産を多く残したい、子どもの代を飛ばして孫の代に相続させたい、などさまざまな希望が寄せられています。
特に注意が必要なのは、再婚同士の夫婦の両者に子どもがいるケースです。再婚同士の夫婦の場合、夫婦どちらかが亡くなると、不動産などの財産が全くの他人(子どもから見た血縁のない兄弟姉妹)にも分割される可能性があるため、予期せぬ事態やトラブルが起こる可能性があります。このような場合は、トラブル対策として生前の遺言書作成をお勧めすることが多いです。
相続対応で心がけていることを教えてください。
常に関係者全員の立場を想像して考え、行動することを心がけています。
依頼者に対してはもちろん、相手方の気持ちも常に考えながら行動しています。例えば、文書や通知を送る際も、その内容を関係者が見たときの気持ちを想像して文面を工夫します。呼称一つとっても、「氏」ではなく「様」、「◯◯代理人」ではなく「◯◯様代理人」と表記するなど、細かい配慮を心がけています。
また、余計なことは書かず、あえて簡潔な理由のみ、または結論だけを示すようにしています。なぜなら依頼者の希望を実現するためには、相手方の感情を逆なでしないよう、細心の注意を払う必要があるからです。主張の理由が5つある場合でも、あえて1つだけに絞って伝えることもあります。
多様な選択肢を提案できることが強み
事務所の強みを教えてください。
意外性のあるアイデアを提案できることです。長年の経験で培った知識を活かし、あえて正攻法ではないやり方に目を向けるなどして、多角的な視点から解決の選択肢を検討し、依頼者に提示しています。
このような柔軟な発想ができるようになったのは、私自身の個性的な性格も大いに関係していますが、全ての経験が活かされていると思っています。時にはマンガやアニメなどのエンターテインメントからインスピレーションを得て、問題解決のヒントにすることもあります。法律以外の分野にも広く興味を持ち、気になるトピックがあれば突き詰めて考える。このような思考過程が、依頼者への提案の幅を広げることにつながっているのだと思います。
また、長年の経験から、フローチャートのように次の展開を予測できることも強みです。「右に行きたいと思っている場面で、あえて左に行くとどうなるか」など、常に複数の展開を考えています。そのうえで、右が正しいと思われる場面でも、左が正しい可能性を検討し、それに対する反論・再反論まで考えたうえで、より良い解決策を検討しています。
感情的になりやすい相続問題の解決にあたって、重視していることを教えてください。
揉め事は人の気持ちあっての話であり、トラブルの解決には人間心理の理解が欠かせません。相手の気持ちを思いやり、相手の立場で考えることが重要だと考えています。
以前、相続人が50人近くいた遺産分割で、遺産分割審判に進んだことがあります。私は審判申立ての前に、全員に手紙を送りました。「このような事情があって申立てをします。意見がなければ欠席してもらって構いません」といった内容です。
いきなり裁判所から通知が届くことになる相手方の気持ちを考えたときに、何も知らされずに通知を受け取るよりも、事前に説明があった方が安心して受け取れると思ったのです。結果、比較的スムーズに手続きを進められました。
また、当事務所では遺言書を作成する際に、そのような分け方にした理由を明記してもらうようにしています。そうすることで、遺言者(遺言を残す人)の気持ちや意図が相続人に伝わり、死後のトラブルを防げることがあるからです。
早めの相談が前向きな未来につながります
相続トラブルを抱えて弁護士への相談を検討している方へメッセージをお願いします。
嫌なことを先延ばしにすると、良い結果をもたらさないことが多いものです。恐怖は「知らないこと」、「未知のこと」から生まれます。実際に向き合ってみると、意外と怖くなかった、ということもよくあります。
相続の場合、特に兄弟姉妹間の問題は、解決を先延ばしにすると次の世代まで影響が及びかねません。一日も早く相続の問題から解放され、次に進めるよう、当事務所がサポートします。まずはお気軽にご相談ください。