喧嘩ではなく調整によって、相続問題を穏やかに解決。依頼者に安心を届ける事務所でありたい

大阪市北区で「大樹綜合法律事務所」を経営する八木翼弁護士(大阪弁護士会所属)に、相続分野への取り組みについて聞きました。「相続問題を抱えることは、当事者にとって本当に精神的な負担になる」と話す八木弁護士。依頼者・相手方双方とのコミュニケーションを大切に、1秒でも早く、そして円満な解決を目指してサポートします。事務所名に込めた想いや、相続についてよくある相談、事務所の強みなどを聞きました。
インタビュー
依頼者の期待を超える解決を
事務所設立の経緯を教えてください。
同期の三島昇悟弁護士が独立するにあたって、「一緒にやらないか」と声をかけてくれて、2024年10月に共同で事務所を開設しました。
「大樹綜合法律事務所」という名前は三島弁護士が考えたものです。事務所自体が1本の大きな木で、根っこには知識や経験といった盤石な基盤が張り巡らされ、幹は気力・体力ともに充実した我々2人が支えている。思いやりと優しさでできた枝葉を広げて、依頼者をトラブルから守りたいーー。そういうイメージが彼の中にあり、私も共感したので、この名前にしようと決めました。
問題解決を通じて、依頼者に安心を提供できる事務所でありたいと考えています。
理念や大切にしていることを教えてください。
私個人としては、迅速な解決をモットーとしています。法律トラブルを抱えながら生活することに慣れている方はいません。特に、相続のような家族間の問題を抱えることは、本当に精神的な負担になります。1秒でも早く解決して再スタートを切ってもらうために、全ての案件について迅速・スマートな対応を心がけています。
また、法律のルールを杓子定規に当てはめるだけではなく、法律以外の観点にも立って、柔軟に解決方法を検討・提案することを心がけています。
理念を実現するために心がけていることはありますか。
迅速な解決のために、手持ちの案件数には上限を定めています。案件が多くなりすぎると手が回らず、対応が遅れてしまうリスクがあるためです。
また、法律知識の収集やアップデートも欠かせません。特に、相続は法改正が頻繁にあり、近年も相続分や遺留分、寄与分などについて大きな変更がありました。大阪弁護士会の講習会や仲間内での勉強会、弁護士会が提供するeラーニングなどを利用して、知識をブラッシュアップしています。
案件を進めるにあたって、1人で考え込むと視野が狭くなる場合があります。判断に迷ったときには、一緒に事務所を運営している三島弁護士や、同期の弁護士や裁判官などに意見を聞くこともあります。自分とは異なる知見や視点を持つ人の意見を聞くことで、より広い視点で案件解決に取り組めると感じます。
依頼者の満足度を高めるために心がけていることはありますか。
どうすれば依頼者の期待を上回る形で解決できるかを、常に考えて対応しています。依頼者の話を聞きながら、「こういうふうにできたら、依頼者にとってより良い結果につながるかもしれない」と頭の中で考えて、提案し、納得いただけたらその方向で対応を進めていきます。
たとえば、「遺言書を作りたい」と相談を受けて、遺言を作るだけなら、他の弁護士にもできます。そこで私は一歩踏み込んで、なぜ遺言を作成したいのかもしっかり聞くようにしています。その理由によっては、「遺言書よりも信託の方がご希望に合いますよ」というふうに、依頼者が想定していなかった方法で、よりよい結果を期待できる提案をできる場合があるからです。
依頼者の意向をよく聞いて理解した上で、専門家ならでは知見を活かして、その方が思ってもいない解決方法を提案する。そして、期待を超える結果を出すことが、依頼者の満足度を高める一番の方法だと思います。
当事者それぞれの意向を汲み、適切な着地点を探ります
相続案件に注力している理由を教えてください。
相続をきっかけに、兄弟や親族間の積年の思いが噴出するケースは多々あります。このような状況では、法的な手続きだけではなく、感情にも寄り添った対応が求められます。当事者それぞれの意向を汲みながら、全員が納得できる着地点を目指すことにやりがいを感じて、注力しています。
一度関係がこじれてしまうと、完全に仲直りすることは難しい場合もあります。それでも諦めず、「最低限の信頼関係を取り戻す」「これ以上の対立を防ぐ」といった観点から、当事者の関係改善をはかることを大切にしています。
依頼者とのコミュニケーションで大切にしていることはありますか。
話を遮らないことです。途中で弁護士が「それはこういうことですよ」「こういう結論になります」などと口を挟むと、依頼者としては言いたいことを言えずに不満が残ってしまいます。
そのため、なるべく口出しせず、まずは依頼者の話を最後まで聞きます。その上で、より詳しく知りたい部分について質問したり、今後の見通しについて説明するようにしています。
依頼者はもちろんのこと、相手方の話を聞くことも大切にしています。特に交渉での解決を目指す場合は、相手方の信頼を得ることが不可欠です。「この弁護士は話を聞いてくれない」と思われたら、それ以上話してもらうことはできませんし、私の話も聞いてもらえません。
逆に、コミュニケーションが取れれば、相手方の事情や希望を把握することができます。「そういうご希望があるなら、こういう形で進めるのはどうでしょう」と提案でき、解決への道が開けることもあります。
弁護士バッジをつけているからといって、何か特別な効果があるわけではありません。一人の人間として信頼していただき、「先生が言うならそうしましょう」と言っていただけるように、誰に対しても常に誠実に接することを心がけています。
遺言作成から、相続発生後の手続き・トラブル解決まで幅広く対応
相続についてよくある相談内容を教えてください。
相続が起きる前と後で内容が異なります。相続が起きる前については、遺言作成の相談が多いです。
最近は、遺言書を作る方が若くなっている印象があります。以前は70代くらいの方が大半でしたが、最近では、40代、50代の方からの依頼が増えています。健康面の不安が出てきたり、同級生が病気で亡くなったり、自身の健康面に問題が生じてもおかしくない年齢ですから、「万が一に備えて」という気持ちになるのかもしれません。シングルマザーの方からも、「残された子どものために」ということで作成を依頼されることがあります。
相続発生後についてはどうでしょうか。
大きく2つのパターンがあります。1つは「家族が亡くなって、今後すべきことを知りたいのでとりあえず相談に来ました」というパターン。もう1つは「遺産の分け方を親族間で話し合ったけれど、どうにもならないから来ました」というパターンです。
前者のパターンでは、相続に関する一般的なお話をすることが多いです。必要な手続きや、相続に関する基本的な法律のルールなどですね。最初から弁護士に依頼することを勧めるのではなく、まずはご自身でできることを伝えます。
たとえば、遺言があるかどうか調べる方法や、相続人を確定する手続きなどを具体的に説明します。遺産分割協議が必要な場合は、「他の相続人とこういうふうに話し合ったらどうですか」というふうに、スムーズに話し合いを進めるためのポイントもアドバイスします。
相続の手続きについて一通り説明して、わからないことやうまくいかないことがあれば、また相談に来ていただくか、弁護士のサポートが必要であれば依頼していただくという形です。遺産分割の交渉までは当事者間で進めて、遺産分割協議書の作成だけお願いしたい、ということで依頼を受けることも多いです。
相続人同士で揉めるのはどういうケースですか。
大きく分けて2つあります。1つ目は不動産等の財産の評価額を巡るトラブル、2つ目は不公平感です。たとえば、「私は親の介護をしたけれど、あなたは何もしなかった。同じ取り分なのはおかしい」という理由で当事者の意見が対立するケースです。
不公平感で揉めている場合、依頼者の話を聞いた上で、見通しを伝えます。調停や審判で主張が認められる可能性があるのか、取り分がどの程度増える見込みがあるのか、といったポイントを説明します。
法律上、依頼者の意向を叶えられない場合は、その旨を率直に伝えます。ただ、今抱えている不公平感について相手に言わないままだと、依頼者のモヤモヤがいつまでも解消しません。交渉の余地があれば、裁判所の手続きよりも柔軟な解決ができる可能性があります。そのため、ケースバイケースではありますが、「相手方に気持ちを伝えた上で、こういうふうにしてほしいと言ってみましょう」と提案する場合もあります。
穏やかに迅速に相続の悩みを解決します
先生の事務所ならではの強みや、他の事務所との違いを教えてください。
徹底的に話を聞くことと、迅速な対応は強みだと思います。
もう一つの特徴としては、できるだけ平和的な解決を目指していることです。相続の問題を解決するには、喧嘩ではなく調整が最も重要だと考えています。私自身、相続案件を手がける上で、「相手方をやり込めよう」「駆け引きしよう」という気持ちは全くと言っていいほどありません。
「相手を言い負かしてほしい」「ガツンと言ってほしい」と思う方には、もしかしたらご要望に応えられないかもしれません。逆に、相続人同士の関係にヒビが入らないよう、できるだけ穏やかに解決したい方であれば、きっとお力になれると思います。
相続のトラブルを抱えて弁護士への相談を検討している方に向けて、メッセージをお願いします。
とりあえず気軽にご相談いただければと思っています。「なぜもっと早く来なかったのか」と責めたりすることは一切ないので、いつでも、相談してみようと思ったタイミングでお越しください。今抱えている不安や疑問について率直に話していただければ、ご事情を踏まえて、適切な対応をアドバイスします。
相談したら必ず依頼しなければならないわけではありません。「とりあえず話を聞いてほしい」「アドバイスだけ聞きたい」という方も大歓迎です。今あるお悩みの解決方法を一緒に考え、不安を和らげるお手伝いができればと思います。気軽にお問い合わせください。