司法書士事務所併設によりワンストップの相続サポートを実現〜真の解決を重視した案件への取り組み
北海道札幌市「札幌創成法律事務所」の中島完弁護士(札幌弁護士会所属)に相続分野の取り組みについて話を聞きました。司法書士事務所を併設し、ワンストップで相続問題をサポートしているという中島弁護士。相続問題を弁護士に相談するメリットや、相続案件を扱う上で心がけていることについて聞きました。
インタビュー
真の解決を追求して案件に取り組む
事務所を設立した経緯を教えてください。
大阪で生まれ育ち、進学で大学、東京と渡り歩いた後、司法試験に合格しました。その後の司法修習で初めて訪れた札幌の街に魅力を感じ、修習終了後も札幌で就職することに決めました。
就職した法律事務所では約4年間、企業法務、一般民事、家事事件など、幅広い分野の案件に携わりました。そこでの経験を活かし独立を決意したのですが、ちょうどその頃、同期の星加美佳弁護士も独立を考えていることを知り、2人で事務所を立ち上げることにしました。
事務所名の「創成」は、札幌市の中心部を流れる「創成川」から取っています。札幌開拓の中心となった川のように、新たな道を切り開き、地域の方々に愛される法律事務所を目指すという想いを込めてつけました。
開設1年後には、司法書士を招いて司法書士事務所を併設しました。現在は弁護士2名と司法書士1名の体制で、それぞれの専門性を活かしながら、互いに協力して案件に取り組んでいます。
事務所の理念を教えてください。
もっとも重視しているのは依頼者にとっての「真の解決とは何か」ということです。
当然に聞こえるかもしれませんが、依頼者にとって「お金だけの問題じゃない」という事案も多くあります。そのような事案において、真の解決を目指すためには、「バランス」を意識することも重要になります。
案件を進める中では、スピード感と慎重さ、依頼者の利益とコスト、利益の最大化と解決までの時間など、様々なところでバランス感覚が求められます。
それだけでなく、例えば相続案件などでは、理論と感情との「ずれ」を埋めてあげることが必要な場面があります。
そのため、依頼者の話をしっかり傾聴して寄り添う一方で、法律家として冷静な判断をするというバランスがとても大切で、お話を伺いながら「相手方の立場からは、どう見えていたのだろうか?」「どのような反論があるだろうか?」と、常に俯瞰的な視点で事案を再検討する姿勢が重要だと考えています。
依頼者とって都合の良い話ばかりではないかもしれませんが、そうした取り組みは、真の解決を目指す上では避けて通れないことなのです。
生前の紛争予防にも注力
相続分野に注力する理由はどのような点にありますか。
終活をテーマとするNPO法人に依頼され、月1回の終活にまつわる講師を始めたことがきっかけです。その活動を通じて、遺言に関する悩みや相続紛争に触れる機会が自然と増えました。
相続案件は千差万別で、法律や経済的な側面だけでなく、家族関係や感情面など、様々な要素が絡み合います。
事案それぞれに独自の背景があり、画一的な対応では解決できない。お金だけでなく、その後の人生にも影響がある。そういった複雑さや奥深さがあるからこそ、弁護士として注力する価値のある分野だと考えました。
相続案件を扱う上で心がけていることはありますか。
依頼者が抱える問題や葛藤に寄り添いながら、法的な視点からも冷静に助言することです。相続に関わる紛争では、相手方は他人ではなく血縁者であり、単なる法的紛争だけでなく、心理的な葛藤も同時に存在しています。
そのような状況下では、依頼者の感情に寄り添いながらも、見通しを的確に示すことが非常に重要になります。感情に流されず、なぜ法的にそのような結論となるのかを分かり易くご説明しながら、満足度の最大化を目指すようにしています。
相続案件は感情だけでは解決できません。同時に、法的な問題が解決しても、依頼者が抱える感情の問題は完全には解決できないかもしれません。だからこそ、感情と法律とのバランスを図りながら、真の解決を目指しています。
生前の対策にも力を入れているそうですが、生前対策で意識していることはありますか。
講師をしていると、遺言書を作成するということに抵抗を感じられる方も多いのですが、実際には、遺言書のせいで紛争になるケースは、遺言書がなくて紛争になるケースよりも、圧倒的に少ないということをお話しています。
また、遺言書は何度も書き直せるということや、ご自身が「いよいよ」となってからでは、書けなくなるかもしれないということもお伝えして、「まずは一度、書いてみましょう」とお伝えしています。
実際に遺言書を作成するにあたっても、依頼者の意思を尊重する一方で、ご遺族の感情面にも配慮すること、遺恨や対立を生まないように配慮することも大切です。
そのため、遺言書に記載できる付言事項を工夫するなどして、ご遺族が故人のご遺志を理解しやすいようにしますし、場合によっては、依頼者の最初の考えとは異なる方法をご提案差し上げることもあります。
そうすることで、相続が「なぜこうなったのか」という疑問や不満を少しでも減らし、トラブルの防止を目指しています。
司法書士事務所を併設して円滑な手続きを実現
相続案件を弁護士に相談するメリットにはどのようなことがありますか。
当然、弁護士に依頼する最大のメリットは、調査や分析、法律的な判断、書面化等を、プロフェッショナルに委ねられることにあるべきです。
相続における資産の評価や使い込みの有無などの調査は個人で行うには難しい部分が多く、評価や判断も、専門家でなければ難しいこともあります。弁護士はそのような専門的な調査や解決策の提示を通して、依頼者の最良の結果に向けて進めることができます。
しかし、それだけでなく、現実には、対応窓口を弁護士に移管できることも大きなメリットだと思っています。
相続紛争では、親族同士で直接やり取りを重ねると、感情的にエスカレートしてしまうことも少なくありません。弁護士が窓口になることで、依頼者は相手方と直接やり取りをせずに済みますし、冷静な状態で問題解決に向けて進むことができます。
相続分野における事務所の強みや特徴を教えてください。
まず生前対策に力を入れている点が挙げられます。
弁護士は紛争になってから出てくるものとお考えの方もいらっしゃると思いますが、存命のうちから対策を講じることで、ご遺族のトラブルを未然に防ぐことができます。
生前対策の豊富な経験をもとに、依頼者の希望に沿ったアドバイスを提供しています。
また、司法書士事務所も併設しているため、不動産の名義変更や遺産分割の手続きをワンストップで進められることも特徴です。弁護士と司法書士が連携することで、相続に関する手続きをスムーズに進めることが可能です。
なお、当事務所には複数の弁護士が在籍しており、女性弁護士も在籍しております。「女性弁護士のほうが話しやすい」という方もいらっしゃいますので、そうしたご要望にも柔軟に対応可能です。
最後に、相続問題で悩まれている方へメッセージをお願いします。
生前対策では、遺されるご家族のためにも、何よりも、早めにご相談ください。元気なうちにしかできない対策が多くありますし、トラブルを未然に防いでおくことは、ご遺族のためにできる最大の恩返しにもなります。
また、実際に相続が発生した場合でも、問題が起こってからでなく、問題が起こる前の段階で、ご相談いただければと思います。
とにかく、手遅れになってしまわないように、早めにご相談頂ければ頂く程、様々な策を講じられる余地が残ります。
ご相談の上で、ご依頼されなくても構いません。「こんなことで相談しても良いのか」なども、お気になさる必要はございません。まずは一度、お気軽にご相談なさって下さい。