依頼者のニーズに合ったオーダーメイドのサポートを提供。高額な遺産が絡む複雑な案件も多数経験
東京都千代田区で「九段坂たじま法律事務所」を運営する田隝芳則弁護士(東京弁護士会所属)に、相続トラブル解決のためのアプローチや事務所の強みなどを聞きました。依頼者とのコミュニケーションを大切にしている田隝弁護士。対話を通して、依頼者の意向や他の相続人への思い、トラブルが起きた背景事情などを丁寧に聞き取り、解決の糸口を探ります。高額な不動産や株が絡む、遺産規模が大きい案件の解決実績も豊富です。
インタビュー
型に当てはめず、依頼者にとって最適な解決策を見極める
これまでのキャリアについて教えてください。
大学時代に弁護士を志したのですが、司法試験に苦戦し、卒業後は裁判所に入職しました。書記官などの業務に携わる中で、かつて抱いていた弁護士への思いが再燃し、再び司法試験に挑戦して、2008年に弁護士になりました。都内の事務所での経験を経て独立し、現在の事務所を開設しました。
事務所の理念を教えてください。
依頼者一人ひとりのニーズに合った、オーダーメイドの法的サービスを提供することです。
一つとして同じ案件はなく、どんな解決を希望するかも依頼者によって異なります。定型的に進めるのではなく、依頼者のニーズに応じた最適な対応をすることをモットーにしています。
理念を実現するために行っていることを教えてください。
依頼者の話をじっくりと聞くことです。そうすることで、依頼者が抱えている問題や今後の意向をよく理解できることはもちろん、性格や価値観などもわかります。依頼者の人となりを知ることで、その人に合った伝え方ができるようになり、それもオーダーメイドの法的支援につながると思っています。
また、話を途中で遮らないことも気をつけているポイントです。話を聞いているとつい、「その問題はこうなりますよ」と法的な判断を伝えたくなることもあります。しかし、弁護士が先走って判断すると、依頼者としては「自分の意見や希望を聞いてくれない」と不満を感じると思います。結論を急がず、依頼者の話に最後まで耳を傾けるよう努めています。
遺産分割のトラブルや相続放棄など幅広く対応。些細な不安も気軽に相談を
相続についてよくある相談内容を教えてください。
遺産分割や相続放棄に関する相談が多いです。
遺産分割については、誰がどの財産を取得するかをめぐって争いになり、当事者間では折り合いがつかず相談に来る方が多いです。様々なケースを手がけてきましたが、相続人それぞれの価値観や遺産に対する思い入れなどが複雑に絡み合い、一筋縄ではいかないことが少なくありません。
依頼者と相手方が取得したいと思っている遺産とその理由を理解し、最終的に審判に進んだ場合の裁判所の判断も見据えて、できるだけ依頼者の希望に沿う結果になるように交渉を行います。相手方の意向も踏まえて当事者の利害を調整しながら、最終的に、依頼者のニーズに合う形で解決できると、複雑なパズルが解けたときのような達成感があります。
相続放棄についてはいかがでしょうか。
「被相続人の借金を引き継ぎたくない」「被相続人と疎遠で、よく知らない人の財産を相続するのは気が引ける」などの理由で放棄を希望し、相談に来る方が多いです。
相続放棄の手続きは比較的シンプルで、相談に来た方には「弁護士費用がもったいないので、ご自身でもできますよ」とお勧めしています。中には、「弁護士に任せた方が安心」という方もいるので、その場合は依頼を受けます。
相続放棄については、「こういうことをしたら相続放棄ができなくなるのか?」と、漠然とした不安を抱えている方が多い印象です。
法律のルールでは、被相続人の預貯金を解約するなどの一定の行為をした場合、「相続することを認めた」と見なされて、相続放棄ができなくなることがあります(法定単純承認)。ただ、全ての行動が相続放棄に影響するわけではありません。
たとえば、被相続人が勤務していた会社から死亡退職金や死亡保険金を受け取ったり、被相続人の口座から家賃が引き落とされたりした場合に、「相続放棄ができなくなるのか」と相談されることがあります。
個別の事情にもよるので絶対に大丈夫とは言い切れませんが、会社からの支払いを受け取っても問題ないケースがほとんどです。また、家賃が引き落とされていた場合も、基本的には相続放棄への影響はありません。ただし、そのまま引き落としが続くとリスクがあるので、早めに銀行に連絡して口座を凍結してもらい、その後は相続人と大家との間で賃貸契約を結び直して、相続人の口座から引き落とされる形にするのがよいでしょう。
依頼者が不安に思っていることに対しては、本当に問題があるのかどうか丁寧に説明し、万が一リスクがある場合は回避するための方法をアドバイスして、不安を解消するように努めています。
複雑なケースも、事案の特徴を見極めて解決に導きます
先生の事務所の強みや他の事務所との違いを教えてください。
遺産の規模が大きい案件を多く取り扱ってきたことです。「自宅だけではなく、賃貸用マンションなどの収益物件がいくつもある」「会社の経営者が亡くなり、後継者と他の相続人で株式の分け方について揉めている」など、複雑なケースを手がけてきました。遺産の総額が約40億円にのぼる案件を手がけたこともあります。都内の一等地にある価値の高い不動産をめぐって相続人同士が譲らず難航しましたが、最終的には調停で和解しました。
解決に至るまでのプロセスは、本当にケースバイケースです。交渉でまとめようとするよりも、裁判所を間に入れる方がスムーズに進むこともあるので、その場合は早い段階で調停を申し立てます。調停委員や裁判官からアドバイスを受けて当事者の気持ちが変わり、徐々に歩み寄って和解することも多いです。
調停が不成立になった後、しばらく時間をおいて改めて任意の話し合いをすることで、解決に向かうケースもあります。たとえば、当初は「不動産がほしい」と譲らなかった相手方が、1年、2年と時間が経つ中で、「他の財産でもかまわない」と意向が変わり、合意に至ることもあります。
全く合わないパズルのピースが、どうすればうまく噛み合うのかーー。案件ごとに最適な対応を検討しながら慎重に進めるようにしています。
進むべき方向性が分かると、気持ちが楽になります
初回相談ではどのような対応をされていますか。
まずは基本的な内容を確認します。相続人の範囲や相続財産の内容、依頼者がどのような解決を望んでいるのか、といったことを中心に話を進めます。また、依頼者や他の相続人に、「被相続人から生前にお金を援助してもらった」などの事情がある場合、相続分に影響が出る可能性があるので、そのあたりも確認します。
話を聞いていく中で、依頼者から「あの相続人には財産を渡したくない」というような話が出ることがあります。その場合は、なぜそう思うのか背景事情を探ります。
たとえば、「兄弟の仲が悪くて財産を渡したくない」という場合、仲が悪くなった理由の中に、問題解決の糸口が潜んでいることも少なくありません。実際に、些細な言い合いやすれ違いが原因で関係が悪くなったケースでは、お互いの誤解を解消することでわだかまりが解けて、事態が収束に向かうこともあります。
できるだけ早く、穏便に問題を解決するにはどうすべきか。依頼者の話をよく聞いて状況を把握した上で、最適な対応を探っていきます。
相続トラブルを抱えて、弁護士への相談を検討している方にメッセージをお願いします。
自分一人で考えていると、どう進めればよいのかわからないことも多いと思いますが、弁護士に相談することで、法律に基づく解決の方向性が見えてきます。「ここから始めればいいんだ」と分かることで、ストレスが随分軽くなるでしょう。
初回相談では、しっかりとお話を聞き、次に何をすべきかをお伝えします。案件の内容によっては1回目の相談だけで完全に見通しを立てることが難しい場合もありますが、進むべき方向性は提示できると思います。初回60分は無料で相談を受け付けていますので、ぜひお気軽に声をかけてください。