「まずは思いを率直に話してほしい」丁寧な対話と豊富な知見を活かし、依頼者の意向に沿う解決を
大阪府大阪市中央区「平野町綜合法律事務所」の白川謙三弁護士に、相続案件を手がける上での心構えや事務所の強みを聞きました。問題解決のヒントは依頼者の話の中にある、という信念のもと、丁寧な対話を重視している白川弁護士。依頼者の意向や事案の特徴を踏まえて、柔軟な発想で、解決までの道筋を描きます。初めて相談に行った場合の流れについても詳しく聞きました。(大阪弁護士会)
インタビュー
依頼者と同じ目線に立ち、問題解決のヒントを探る
これまでのキャリアと、事務所設立の経緯について教えてください。
私は大阪に生まれ、学生時代も含めてずっと大阪で過ごしてきました。弁護士を志した当初から、将来的には自分の事務所を構え、生まれ育った大阪で地域の方々のお役に立ちたいと考えていました。2001年に司法試験に合格し、約5年間、勤務弁護士として経験を積んだのちに事務所を開設しました。
当事務所は京阪・地下鉄北浜駅から歩いてすぐのところにあります。仕事終わりでも来所していただきやすいよう、交通アクセスのよい場所を選びました。
事務所の理念や、大切にしていることを教えてください。
依頼者と同じ目線に立って話を聞くことです。問題解決のヒントは、依頼者の話や具体的な事実の中にこそあると思っています。
特に相続の問題は、法律のルールを当てはめるだけではなかなか根本解決につながりません。長年積み重なってきた家族の歴史が確執の根となっていることも多々あります。そのため、感情的な訴えなど、法律的な論点から外れる話も含めて、遮らずに注意深く耳を傾けるようにしています。
依頼者の状況を踏まえて、柔軟にサポート
事務所に寄せられる相続の相談には、どのようなものがありますか。
最も多いのは、遺産分割に関しての相談です。「相続人同士で話し合ったがまとまらない」ということで相談に来る方が多いです。被相続人を介護していた方から寄与分(生前の被相続人に特別な貢献をした相続人の相続分を増やす仕組み)の相談を受けることもありますし、遺言の有効性を争いたいという相談もあります。
また、高齢の方からは「将来に備えて遺言を作っておきたい」といった、いわゆる終活に関する相談もあります。
現在の事務所を開設する前に勤務していた事務所でも、相続案件は多数扱ってきました。その中で得られた知見を活かし、依頼者の問題解決のお役に立ちたいと考えています。
初回相談ではどのような対応をしていますか。
まずはお話をじっくり聞き、内容を踏まえて、今後予想される展開を説明します。例えば、依頼者が被相続人を介護していて、他の相続人に寄与分を主張したいと希望している場合、財産の内容や介護の状況などを踏まえて、寄与分の主張が認められるかどうか、ある程度の見通しを伝えます。
審判や裁判で寄与分が認められるハードルは高い傾向にありますが、調停の段階であれば、交渉の進め方次第で依頼者の貢献度を反映した解決につなげられる可能性も十分にあります。実際に私が手がけたケースでは、調停で相手方と交渉した結果、寄与分は認められなかったものの、生前に依頼者が贈与されていた不動産の持ち戻し免除への合意を得られました。
被相続人から生前にお金などの財産をもらっている相続人がいる場合、その相続人の取り分を減らして相続人間の公平をはかります(特別受益)。ただし、持ち戻しの免除が適用されると、特別受益のルールを当てはめずに相続分を計算することになるため、遺産分割の際、生前に援助された分が減額されないのです。
案件ごとに解決方法は様々で、正解は一つではありません。個別の事情を踏まえて、解決に向けた最適な道筋を構築することが私の役割です。相談時は、ご自身がどうしたいと思っているかを率直にお話いただければと思います。100%希望通りの結果になるとは限りませんが、これまで蓄積してきた知識とノウハウに基づき、できるだけ意向に沿う結果につながるようサポートさせていただきます。
また、「相談したら必ず依頼しなければならない」と思っている方もいますが、そんなことはありません。お話を聞いた上で、依頼者自身で対応できると思われる場合は、どのような手順で進めればよいかをアドバイスして終わることもあります。
依頼するかどうか迷っていても、相談に行ってよいのですね。
もちろんです。相続は親族間で生じるため、弁護士が関与するとかえって対立が決定的になってしまうこともあります。紛争は、避けられるならそれに越したことはありません。弁護士が入るべきタイミングではないと判断した場合、まずは親族間で話し合ってみてくださいと提案することもあります。その場合は、「どういう順序で話し合いをすればよいか」「相手方に希望を伝える際のポイント」などについて細かくアドバイスします。
とはいえ、中には相談の時点ですでに争いになっている場合もあり、弁護士を間に入れることでスムーズな解決が望めるケースもあります。依頼していただく場合の費用の見積もりや、私が提供できるサポートの内容は初回相談時に提示しますので、それらを踏まえて、一度持ち帰ってじっくりご検討いただければと思います。
初回相談の際に持って行った方がよいものはありますか。
初回相談の予約をされる際にお悩みの概要を伺い、その際に、お持ちいただきたいものについて説明します。「何を用意すればよいかわからないから、相談できない」と思わずに、まずはお気軽にご連絡ください。
お手元に資料がなければ、無理に準備しなくても大丈夫です。もしあれば、相続人の名前や関係性、遺産の内容が分かる資料をお持ちいただけるとありがたいです。簡単なメモでもかまいませんので、用意していただけると打ち合わせがスムーズに進みます。
また、依頼者が被相続人の介護をしていて寄与分を求めたいということであれば、介護の状況がわかるものがあるとよいでしょう。具体的には、要介護認定が記された書類や、どのような介護サービスを利用していたか、依頼者自身がおこなっていた介護の内容などが分かるものです。こちらも公的な書類があればそれに越したことはありませんが、メモ書きでも大丈夫です。
様々な専門家と連携し、相続の悩み全般に対応
先生の事務所ならではの強みや、他の事務所との違いはどのようなことですか。
これまでの経験によるノウハウの蓄積に加え、専門家とのネットワークを築いていることも強みです。税理士や司法書士、不動産鑑定士など様々な専門家とのつながりがあり、場合によっては打ち合わせに同席してもらうことも可能です。当事務所が窓口となり、相続税申告や登記、不動産評価など相続の手続き全般をカバーできることは強みだと思います。
最後に、先生の事務所に相談を検討している方にメッセージをお願いします。
弁護士への相談は敷居が高いと感じている方も多いですが、実際にはそんなことはありません。相続の手続きでわからないことがある、相続人間の話し合いがうまくいかないなど、少しでも疑問や不安に思うことがあれば、そのままにせず、一度弁護士に相談してみてください。
手続きの進め方や、相続人間でどういうふうに話し合いをすればいいか、といったポイントについて、丁寧にアドバイスします。何でもお気軽にご相談ください。