遺言作成から紛争解決まで、ニーズに寄り添う対応を。リラックスできる環境でじっくり話を伺います
愛知県一宮市で「名城法律事務所 一宮事務所」を構える室田真宏弁護士に、注力する相続分野について話を聞きました。遺言書の作成から紛争性の高い事案の解決、NPO法人と連携した身寄りのない方に対する支援など、相続に関するさまざまな取り組みを行う室田弁護士。「少しでも気になることや不安があれば、どうか早めに相談してほしい」と話します。(愛知県弁護士会)
インタビュー
生まれ育った地元に貢献すべく開業
まずは事務所について教えてください。
当事務所は名城法律事務所という弁護士法人に属する事務所です。私は平成21年に弁護士試験に合格し、名城法律事務所には修習でお世話になりました。そして、縁あってそのまま就職して経験を積みました。
弁護士を志した頃から「いずれは地元である一宮に事務所を開設し、地域の方々のお役に立ちたい」という気持ちを持っていました。名城法律事務所としても「支部を作って全国展開していきたい」というビジョンを描いていて、事務所からの厚いサポートもあり、満を持して一宮に拠点を構えた次第です。
相続案件に注力している理由を教えてください。
私が相続案件に注力しているのは、地域のニーズに応えたいという思いからです。
一宮でも、「長男が遺産をすべて自分のものにしようとしている」という相談や「兄弟で分割するにも、何からはじめたらいいのかわからない」という相談、また遺言書の作成や成年後見、家族信託といったいわゆる「終活」に関する内容も含めて、相続に関する相談が増えています。
少子高齢化が進んでいることや、以前に比べて日本人の権利意識が高まってきていることも影響しているのでしょう。
当事務所に相談に来られるのは、一宮市内もしくは近隣に住まわれている方が多いです。一宮は過去に繊維産業で隆盛を誇った街ですが、現在は名古屋市のベッドタウンのような立ち位置になっています。お休みの日や仕事終わりにも来所いただけるよう、事前にご相談いただければ、平日夜間や土日の対応もしています。
公証役場に近く、遺言作成の依頼多数。相続発生後の手続きや紛争性の高い事案もお任せを
先生の事務所に寄せられる相談にはどのようなものがありますか。
遺言作成に関する相談が多いです。当事務所は公証役場から歩いて5分ほどの場所にあり、公正証書遺言の作成の場合は、依頼者と一緒に役場に行って手続きできます。公正証書の作成には証人が2人必要で、公証役場で手配をしてもらうと1人あたり5000円の費用が必要です。私と、手が空いていれば事務所の他の弁護士も同行しますので、証人の費用を支払うことなく遺言を作成できます。
相続では、遠方に住んでいたり、普段交流がなかったりする親戚と連絡を取ることになる場合もあります。疎遠な相手には相続の話を切り出しにくいものですし、個人で手続きをするのは面倒ということで、相続の手続き全般を依頼されることも多いです。借金などマイナスの遺産があることがわかった方から、相続放棄の相談を受けることもあります。
また、被相続人の相続手続きを行わないうちに相続人の一人が亡くなり、次の相続が発生してしまった、というケースの相談もあります。そうなると、誰が相続人かを確定するだけでも大変ですし、一人ひとりと連絡を取ろうにも所在がわからない方もいたりして、自分で手続きを進めるのは至難の業です。遺産分割の話し合いが難航することも少なくなく、手続きも交渉も弁護士に任せたい、ということで依頼を受ける場合があります。
中には既に関係性が悪化している状態でのご相談もあると思います。どのように対応されていますか。
事案によって異なりますが、話し合いが決裂しているなどの紛争性が高いケースであれば、ある程度のところで話し合いを切り上げて調停に持ち込むこともあります。私が間に入っても、どうしても争点とは異なる部分で感情が高ぶってしまい、話し合いがまとまりづらい場合があるからです。
調停であれば期日が決められますので時間的な制限もでき、話を前に進めることができます。調停成立、もしくは審判という形で裁判所が何らかの判断を下してくれるので、はっきりとした結論が出る点もメリットです。
調停で合意した内容については判決と同様に強制執行が可能です。調書があれば不動産の名義移転や口座解約もスムーズにおこなえます。
他の職種とも連携し、依頼者のニーズに応える
先生の事務所の特徴や強みを教えてください。
税理士や不動産業者などの専門家と密に連携していることです。税務や不動産評価に関することでも、当事務所に資料などをお持ちいただければ、適切な専門家につないで対応します。依頼者には、「自分で専門家を探して依頼する手間が省けた」と喜んでいただけます。
また、当事務所の大きな特徴として、身寄りのない方の支援を行うNPO法人と連携していることが挙げられます。
核家族化が進んだことにより、親族がいても遠方であったり、ほぼ交流がなかったりする方も増えています。そういった方は、「入院や施設への入所の際に保証人がいない」「自分でお金の管理ができない」などの困りごとに直面する場合があります。そこで当事務所ではご本人とそのNPO法人の間に入り、三者間契約のような形で金銭管理などをおこなっています。
具体的にどのような取り組みをされているのですか。
たとえば、当事務所がご本人や親族から一定額の現金や通帳を預かり、NPO法人から「支援にこれだけの金額を使いました」と報告を受けたら、預かっているお金からその分を支払うという取り組みです。
特定の組織とご本人の二者だけではトラブルに発展するケースもあるので、当事務所が間に入ってお金の流れを随時確認しています。
NPOとの連携は、もともと名城法律事務所が法人として行ってきた活動で、私自身もその理念に共感して取り組むようになりました。現在の成年後見制度は申し立てから選任まで手間も時間もかかりますし、後見人が行えることは実は限られているという現実もあります。このような取り組みを行うことで、現制度でカバーしきれない部分を補い、困っている方のお役に立てればと考えています。
話しやすい雰囲気を大切に。お困りの際は気軽にご相談ください
相続について弁護士のサポートを受けることには、どのようなメリットがありますか。
一つは、煩雑な手続きを任せられることです。口座の解約や不動産の名義移転など、相続の手続きは複雑なものが少なくありません。仕事や家事で日々忙しくしている中、そういったことに時間が取れない方も多いでしょう。当事務所にご依頼いただければ、相続の手続きを全面的に代行し、正確かつ迅速に進めます。
もう一つは、法律の専門知識に基づいたアドバイスを受けられることです。相続について正しい知識がないまま、当事者間で相続の話し合いを進めると、「声の大きい人に従った結果、損をしてしまった」というような事態が起きることがあります。
弁護士に相談すれば、「法律上、自身に認められている相続分」「相手の主張の正当性や反論の仕方」などについてアドバイスを受けることができます。正しい知識があれば、自分にとって損になる条件を、相手に言われるがままに受け入れてしまう事態を防げます。
相談は早いほうがいいのでしょうか。
そうですね。相続の手続きの中には期限が決まっているものがいくつかあり、例えば、遺留分(一定の相続人に保証されている最低限の相続分)の請求は相続開始と遺留分侵害を知ったときから1年と定められています。
「まだ時間があるから大丈夫」と思っていても、1年は意外と早く過ぎてしまうものです。「自分が引き継ぐ財産が少なすぎる」など、相続分について不公平に感じることがあればすぐにご連絡ください。
また相続税の申告についても、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内という期限があります。基礎控除額や簡単な特例などに関しては私からもアドバイスできますし、より専門的な説明が必要な場合は税理士の先生を紹介することも可能です。期間内に必要な手続きを完了させるためにも、相続発生後、早いタイミングで一度相談に来ていただければと思います。
最後に、相続の問題に悩む方に向けてメッセージをお願いいたします。
弁護士事務所に対して、敷居が高いというイメージをお持ちの方も多いと思います。当事務所は、できるだけリラックスして話せる雰囲気づくりを大切にしているので、あまり構えず、気軽にお越しください。
相続に関しては初回相談料は無料で対応しています。まずは丁寧に話を聞いて現在の悩みやご希望を把握し、その上で、悩みを解決するための最善の方法を提案します。親族関係図などあればご用意いただけるとありがたいですが、お手元に資料がなければ手ぶらでもかまいません。依頼していただく場合の費用についても、最初にきちんと説明し、納得いただいてから契約を行います。
相談に行ったからといって必ずその場で契約しなければいけないということもありませんので、まずは相談だけでも来ていただければと思います。いつでもお待ちしています。