西播磨エリアに根差した身近な法律事務所。フェアな対応で無用な対立を避け、相続問題を早期解決へ
兵庫県たつの市龍野町で「後藤敦夫法律事務所」を経営する後藤敦夫弁護士(兵庫県弁護士会所属)に、相続案件を手がける上での心構えや、弁護士に依頼するメリットなどを聞きました。弁護士が少ない地域でも法的サービスを受けられるようにしたいという思いで事務所を開設したという後藤弁護士。「相続問題は放置していても解決しない」と警鐘を鳴らし、困ったときはすぐに相談してほしいと呼びかけます。
インタビュー
弁護士が少ない地域にも法的サービスを届けたい
これまでの経歴を教えてください。
出身は大阪市此花区です。大学卒業後は8年ほど民間企業等で働いていましたが、弁護士を目指して甲南大学法科大学院(ロースクール)に進学しました。
弁護士登録と同時に独立し、2015年1月、共同代表者の一人としてたつの市に法律事務所を開設しました。そして2020年1月、同事務所を退所し、同じくたつの市に当事務所を開設しました。現在当事務所には、私を含め2名の弁護士が所属しています。
事務所の理念を教えてください。
地域密着を理念としています。元々、たつの市に事務所を構えたのも、弁護士が少ない地域の皆様のお役に立ちたいという思いからでした。
兵庫県内の弁護士はやはり神戸地裁などがある神戸市に集中しています。姫路市にも相当数の法律事務所があります。しかし、たつの市には現在当事務所を含め法律事務所は3つあるものの、赤穂市や相生市など西播磨のその他の地域にはまだ法律事務所が0という状況です。
たつの市には神戸地裁の龍野支部があります。管轄区域は、たつの市はもちろん、宍粟市、揖保郡太子町、佐用郡佐用町を含み、人口もそれなりに多いです。弁護士のサポートを必要とする方は少なくないと思いますので、そのニーズにしっかりお応えしたいと思っています。
実際に当事務所では、姫路やその他の地域からのご依頼も多くありますが、やはりたつの市を含む西播磨地区の方からの依頼が大部分を占めています。
たつの市から姫路市内の事務所に相談に行こうと思えば、車であれば片道1時間もあれば着きますので、その気になれば決して遠い距離ではありません。ただ、時間を取りづらい方や、小さなお子さんがいる方、年齢や病気といった事情で足を運びづらい方もいるでしょう。
なにか困りごとがあったとき、すぐ相談できる場所に法律事務所があるかどうかが、弁護士を頼るかどうかの決め手になる場合も多いと思います。そして相談しなかった結果、トラブルが大きくなったり、手遅れになることもありますから、近くに弁護士がいる意義はとても大きいです。
依頼者とのコミュニケーションで心がけていることを教えてください。
事務所にお越しいただくことが難しい場合は、私が出向いて相談を受けたり打ち合わせをすることもあります。フットワーク軽く動けるのも、私がたつの市にいるからこそできることですね。
またトラブルの相手方に送ったり裁判所に提出したりする書面は、事前に依頼者に見てもらうようにしています。そうすることで、今どういう状況なのかを伝えられますし、書面に盛り込んでほしいことを伺って反映させることもできます。
相続は、相手から無用な不信感を持たれないことが大事です
相続についてよくある相談内容を教えてください。
遺産分割、遺留分侵害額請求、遺言書作成、相続放棄など、相続全般についてご相談いただいています。
遺産分割については、「何代も前の遺産分割が終わっておらず、相続人がたくさんいて話し合いが難しい」という相談が多いです。また、「前妻の子や交流がない親族など、連絡を取りづらい相続人がいる」という相談もよくあります。
また、ある相続人が被相続人の財産を使い込んでいる疑いがあったり、山林、田畑、価格がつきづらい土地・建物などの処分に困って相談に来られる方も少なくありません。
遺産分割について依頼を受けた場合、どのように進めていかれるのでしょうか。
いきなり遺産分割調停を申し立てることは基本的にありません。まずは依頼者の代理人として、他の相続人に対して「こういう内容で遺産分割したい」という提案書面を送ります。
その際、なるべく相手方に不信感を持たれないようにすることを意識しています。たとえば財産を隠しているんじゃないか、都合のよい提案をしているんじゃないかと不信感を持たれてしまうと、無用なトラブルを生んでしまいます。
提案をする段階で可能な限り遺産の内容を開示し、こちらの提案が公正妥当なものであることを客観的資料も示しながら丁寧に説明します。
それでも相手から返事がない場合や、互いの主張に開きが大きい場合には、遺産分割調停を申し立てることになります。
地域の様々な専門家とも連携して問題を解決します
相続案件を手掛ける上で心がけていることを教えてください。
弁護士に依頼する時点で相続人同士の関係が悪いケースも多いですが、相続さえ解決すればよい関係を続けられそうなケースも少なくありません。そういった場合は、できるだけ円満に解決できるような提案をしたり、他の相続人とのやりとりにも一層気を配って進めています。
先生の事務所ならではの強みや、他の事務所との違いはどういったところでしょうか。
相続では税理士、司法書士、不動産業者など他の専門家との連携が不可欠です。当事務所には信頼できるネットワークもありますし、たつの市内の他の専門家を紹介することもできます。当事務所にご相談いただければ、様々な専門家と協力し、相続に関する手続きにワンストップで対応します。
また、当事務所にはもう一名弁護士がいるので、知識や経験を共有したり、迷ったときに意見を聞いたりできる体制があることも強みです。
相続問題は放置しても解決しません。早めにご相談ください
相続について弁護士に相談するメリットを教えてください。
親や配偶者が亡くなって、なにから手を付けてよいかわからないという方からご相談いただくことも多いです。そういったケースでは、必要な手続きや今後の見通しを知れるというのは大きなメリットです。
すでにトラブルになっている場合でも、相談することで、法律の観点から状況が整理でき、解決のためにどうすればよいかを知ることができます。
初回の相談ではどのような対応をしているのでしょうか。
まずは電話またはWebフォームから予約をしてください。急ぎの場合は、スケジュール次第ですが、当日に予約をお取りできる場合もあります。
予約の段階で事務局が大まかな相談内容をお尋ねして、相談当日にお持ちいただきたい資料も伝えます。
相談当日は事務所へお越しいただき、より詳しい事情をうかがった上で、今後の見通しや必要な対応をアドバイスします。依頼するかどうかをその場で決める必要はありませんので、一旦持ち帰ってじっくり検討していただければと思います。
これまで取り組んできた相続案件の中で、印象に残っているものはありますか。
ご主人が他界したという依頼者から遺産分割の依頼を受けた件があります。依頼者はご主人と住んでいた自宅を相続したいと思ったのですが、登記簿を見るとご主人の何代も前の方の名義になっていました。つまり何代も相続が放置されていたので、法定相続人は30名くらいになっていました。その中には面識がない方や居場所がわからない方も多く、依頼者自身で話をまとめるのは現実的に不可能な状態でした。
そこで私が相続人全員の住所を調査して遺産分割協議の提案書面を送ったわけですが、さすがに30名もいれば、郵便が届かない方や、すんなり協議に応じてくれない方がいても不思議ではありません。ですから私も依頼者も、調停を申し立てて解決することを覚悟していました。
ところがいざ書面を送ってみると、なんと全員がこちらの提案に応じてくれたんです。その結果、調停をするまでもなく自宅を依頼者の名義にできて、依頼者も大変喜んでくださいました。
皆さんが協力的だったというのが一番ですが、その前提として、不信感を持たれないようにきちんと説明を尽くし、登記簿、価格の評価に関する資料、自宅の写真など客観的な資料を添付して提案したことがよかったのだと思います。
相続トラブルを抱えて弁護士への相談を検討している方に向けて、メッセージをお願いします。
相続は、放置しておけば自然に解決するというものではありません。放置してしまうことで相続人の数が増えたり、遺産に関する資料がなくなってしまったりと遺産分割協議をいっそう困難にしてしまうおそれがあります。
遺言書の作成や相続放棄なども、早めにご相談いただくことで採れる選択肢が増えることもあります。
「自分の代できちんと終わらせる」という気持ちで、放置せずにご相談ください。