不動産の相続から活用まで、地主視点のアドバイスを提供〜共有不動産の解消手続きに注力
京都府京都市「都総合法律事務所」の高谷滋樹弁護士(京都弁護士会所属)に相続分野の取り組みについて話を聞きました。地主の家に生まれ育ち、自らも不動産業を営んでいることから、不動産の相続を得意とする高谷弁護士。不動産問題の中でも特に注力しているという共有不動産の解消方法や共有状態のリスクなどについて聞きました。
インタビュー
地主による地主のための相続サービス
事務所の理念を教えてください。
「弁護士はサービス業である」という考えを大切にしています。従来の法律事務所は平日の受付時間が短く、土日は休業というところが多いため、会社勤めをしている方は相談するために仕事を休まなければならないという状況にありました。私は、サービス業であるからには、お客様である依頼者の生活スタイルに合わせた対応をすべきだと考えています。
そのため、当事務所では平日の夜間や土日でも相談を受け付けています。また、LINEやZoom、Skype、WeChatなどを活用したオンライン相談も積極的に行い、依頼者の都合に合わせた柔軟な対応を心がけています。
SNSを積極的に活用していますが、どのような理由からですか。
元々インターネットが好きで、InstagramやFacebook、X(旧Twitter)といったSNSでの情報発信に興味がありました。
事務所のホームページでは、法律に関するブログやコラムを発信していますが、SNSでは農作業をしている日常の様子なども公開し、弁護士業務とは異なる一面も公開しています。
日常の一面を公開することで、「弁護士は近寄りがたい存在」という従来のイメージを払拭し、より身近な存在として感じていただきたいと考えています。
相続分野に注力しているのはどのような理由からですか。
地主の家に生まれ育ち、日常生活を通じて地主の考え方や価値観に自然と触れてきました。相続においては不動産が大きなテーマとなることが多く、地主の視点から具体的なアドバイスをできることは強みだと考えました。そこで、「地主の、地主による、地主のための相続サービス」を相続分野における当事務所の特徴として打ち出しました。
また、私は不動産業も営んでいます。実務的な不動産の知識や経験も、相続案件を扱う上で大きな強みとなっています。
具体的にはどのような相談が寄せられますか。
例えば、「高齢の親が所有する古い借家の相続について、今の段階から準備をしておきたい」という相談があります。この場合、建て替えや再開発など様々な活用方法が考えられます。ただし、借家人との関係も考慮しなければなりませんので、具体的な運用方法や法的手続きについて、きめ細かなアドバイスを提供しています。
また、相続後の不動産に関しても、「相続したけれど、どう扱えばいいのかわからない」と悩む方が少なくありません。そのような相談には、不動産の扱いに関して一からしっかりとアドバイスをし、どのような手続きをすべきか具体的に説明しながら対応しています。
トラブルになるケースとしてはどのようなものがありますか。
相続に関するトラブルの典型的なケースとして、不動産の共有化による問題が挙げられます。例えば、親が所有していた不動産を3人の子どもで共有した場合、誰かがその不動産を処分したいと考えたり、次の相続が発生した際に、不動産の取り扱いを巡って対立が生じることがあります。
このような共有不動産のトラブルに対しては、共有者の1人が他の共有者の持分を買い取る方法や、不動産を売却して利益を分配する方法など、いくつかの解決方法があります。
私は共有財産の解消について特に注力して研究してきましたので、それぞれの状況に応じた最適な解決策を提案しています。
相続案件を手がける上で心がけていることはありますか。
依頼者の問題を解決するだけでなく、次の世代の相続まで視野に入れた提案をすることです。共有状態の不動産の扱いをはじめ、どうやって不動産を次世代に残し、引き継いでいくかについても、不動産業者としての視点を活かしてアドバイスしています。
また、依頼者とのコミュニケーションにおいては、「話をよく聞くこと」を大切にしています。途中で話を遮ってしまうと、依頼者は「まだ言いたいことが残っている」という不満を抱いてしまうことがあります。
依頼者がすべての思いを話し終えるまで耳を傾け、その後に助言を行うことで、より高い納得感を得てもらうように努めています。
不動産業の知見を活かしたアドバイス
相続問題を弁護士に相談するメリットにはどのようなことがありますか。
共有不動産の問題は、放置すればするほど解決が困難になっていきます。共有状態のまま次の世代の相続を迎えてしまうと、関係者の数が増え、問題が格段に複雑化します。その結果、解決までに膨大な時間と労力が必要になります。
共有不動産が放置される理由は様々です。相続人同士の不仲や、そもそも面識がないといったケースもあります。また、「面倒だから」という理由で話し合いの場すら持たないこともあります。
このような行き詰まった状況でも、弁護士が介入することで問題解決への道筋をつけることができます。次世代に不必要な負担を残さないためにも、弁護士に相談することは大きなメリットになると思います。
相続分野における事務所の強みや特徴を教えてください。
私自身が不動産業を営んでいるため、不動産に関する深い知識と実務経験を持っている点が強みです。また、不動産業者や建設業者とのネットワークがあり、実際に私が業務で関わってきた信頼できる事業者を紹介することもできます。
相続案件では、必ずと言っていいほど不動産が関係してきます。単純な遺産分割であれば、多くの弁護士が対応可能でしょう。しかし、不動産の運用や管理について具体的にアドバイスできる弁護士は少ないと思います。
例えば、賃貸マンションを建設する際の業者選定や、その後の物件管理方法など、実務的なアドバイスが必要になることも少なくありません。これらについて、実際の経験を通じて培ったノウハウを持っているということは、大きな強みになると考えています。
また、不動産の相続において重要なのは、将来を見据えた判断です。高額な代償金を支払って不動産を相続したとしても、その不動産に採算性がなければ、将来的に負の遺産となってしまう可能性があります。
当事務所では、その土地がどんな利用に適しているのか、例えば、賃貸物件として活用できる可能性があるのかなど、不動産の価値を実務的な観点から見極めることができます。これも、当事務所ならではの特徴だと思います。
最後に、相続問題で悩まれている方へメッセージをお願いします。
悩み始めたら、まずはご相談ください。まだトラブルに発展していなくても、早い段階で相談することで、将来的な紛争を未然に防いだり、より迅速な解決が可能になります。
当事務所は特に不動産の相続に関して豊富な経験と実績を持っています。相続発生後の対応はもちろんのこと、生前の相続対策についても、最適なアドバイスを提供させていただきます。不動産の相続について少しでも不安や疑問をお持ちでしたら、どうぞ気兼ねなくご相談ください。