相続弁護士 ドットコム
前川清成法律事務所(奈良県奈良市)

前川清成法律事務所

所在地
奈良県 奈良市大宮町1-12-8
初回相談料
5,500
/
30分まで
(税込)
遺産分割、遺言の経験多数◎ 密な連携で、相続紛争対策から紛争解決まで徹底的にサポートします。
受付時間
9:00-18:00
050-5284-0564

法律と感情の狭間で依頼者の最善を追求する〜弁護士歴30年以上の経験を活かして相続問題を解決

前川 清成前川清成法律事務所
法律と感情の狭間で依頼者の最善を追求する〜弁護士歴30年以上の経験を活かして相続問題を解決

奈良県奈良市「前川清成法律事務所」の前川清成弁護士(奈良弁護士会所属)に、相続分野の取り組みについて話を聞きました。「相続は感情が絡む問題だからこそ、法律家としての冷静な判断が大切」という前川弁護士。相続問題を弁護士に相談するメリットやこれまでの活動で印象に残っている相続案件について伺いました。

インタビュー

国会議員を経てふたたび弁護士へ

事務所設立の経緯を教えてください。

1990年に弁護士登録をしました。最初は大阪の法律事務所に入所し、4年間勤務弁護士として経験を積みました。その後、独立して大阪市内に事務所を立ち上げました。今の若い弁護士はあまり独立することを目指していないと耳にしますが、当時は弁護士が一人前になって独立するのは当たり前の時代でした。

その後、2004年に参議院選挙に当選し、12年間参議院議員を務めました。国会議員を目指した理由は、弁護士会の消費者保護委員会に所属して多重債務問題に取り組んでいたことが背景にあります。毎年多くの人々が借金で苦しみ、自己破産や自殺に追い込まれている現状を目の当たりにし、法律の改正が必要だと強く感じたのです。

選挙公約の一つであったサラ金金利の引き下げを、貸金業法の改正などにより実現できたことは、12年間の議員生活の大きな成果だと感じています。

2016年、議員としての任期を終えた後、現在の事務所を開設しました。以前は大阪で活動していましたが、選挙区が奈良県だったこともあり、奈良弁護士会に登録を移しました。そして現在に至るまで、この地で活動を続けています。

事務所の理念を教えてください。

依頼者が最大限の納得を得られることを大切にしています。現実の裁判や調停では、依頼者の要望が100パーセント実現するとは限りません。だからこそ結果そのもの以上に、依頼者がどれだけ納得できるかが重要だと考えています。

そのために私が心がけているのは、丁寧な報告を行うことです。進捗状況を細かく書面で報告し、緊急性の有無に関わらず、進展があったその日のうちに連絡するように努めています。これにより、依頼者の不安を少しでも軽減し、事態の推移を明確にするとともに、依頼者との情報共有、意思疎通を密にすることで、最終的な納得感に繋がると考えています。

相続分野に注力する理由はどのような点にありますか。

弁護士になったばかりの頃は、相続案件の受任は年間で数件程度でした。しかし、現在では、受け持つ案件の約半数が相続関連となっています。この変化は、私が意図的に相続分野に力を入れたというよりも、むしろ高齢者人口が増加した結果、ニーズが高まったのだと感じています。

また、2020年に『ここが知りたい!Q&A相続入門』という書籍を出版したことも、相続案件が増えた要因かもしれません。この本は、2018年に成立した相続法改正を受けて、法改正後の相続の基礎知識をわかりやすく解説したものです。

書籍の出版以外にも、相続に関する講演も行っています。これらの活動を通じて私の存在を知り、相談に来てくださる方も少なくありません。

遺言執行を務めることで遺言者の思いを実現

どのような相談が寄せられますか。

相談の中で最も多いのは、遺産分割で揉めているケースです。また、遺言書の作成や遺言執行の依頼も多く寄せられます。

遺産分割で揉める理由は様々です。例えば、不動産や未上場株式など、遺産の評価について相続人同士で見解が分かれるケースがあります。また、親が亡くなる直前まで世話をしていた子どもと、そうではなかった兄弟姉妹との間で対立が生じることもあります。

さらに特殊なケースとして、代襲相続の問題があります。被相続人に配偶者や子どもがいない場合、甥や姪が代襲相続人となることがあります。

例えば、被相続人の兄の子どもが一人っ子で、弟の子どもが二人兄弟だった場合、単純に3分の1ずつ分けるのではなく、兄の子どもが2分の1、弟の子どもたちは4分の1ずつになります。法律を知らないと、弟の子どもたちは不満に思います。

このように、相続法は非常に複雑です。相続のルールを十分に理解していないために揉めるケースも少なくありません。

そのような遺産分割のトラブルはどのような方法で解決するのでしょうか。

ケースバイケースですが、基本的な考え方としては、法定相続分での分割を目安として話を進めていきます。この法定相続分を基準にすることで、全員が公平だと感じられる着地点を見つけやすくなります。

話し合いで解決しない場合は調停を利用します。それでも合意に至らない場合には、審判という、裁判官が最終判断を下す方法に移行します。こうした手続きを経る過程で解決の糸口を探りつつ、依頼者の納得を得るように努めています。

遺言書を作成する際に意識していることはありますか。

遺言書に関しては、公正証書遺言をおすすめしています。理由は、自筆証書遺言には様々なリスクがあるからです。

自筆証書遺言保管制度ができましたが、自宅保管を選択した場合は発見されない恐れがありますし、偽造されたり、隠されたりするリスクもあります。また、法律の専門知識がない方が法律の要件を満たす遺言書を作るのは難しいという問題もあります。弁護士に依頼して公正証書遺言を作成することで、これらのリスクを回避することができます。

また、遺言作成の依頼を受けた際には、私が遺言執行者をお引き受けしています。私が遺言執行者になることで、相続発生後、速やかに対応することができます。

遺言の作成から執行まで、最後までお世話をさせていただくことにより、遺言者の最後の意思を確実に実現し、残された家族の負担を軽減することができるのです。

依頼者とのコミュニケーションにおいて心がけていることはありますか。

私たち弁護士は、当事者本人ではありません。そのため、どこまで依頼者の感情面に立ち入るべきかというのは難しい問題です。

特に相続問題のような家族間の問題では、当事者間の何十年にも及ぶ人間関係や感情の積み重ねがあります。私たち外部の人間が、そうした複雑な関係性を完全に理解することは難しいことです。

依頼者の気持ちに配慮しつつも、冷静に「法律ではこうなっています」という説明を行うことが重要だと感じています。法律に基づいた適切なアドバイスを提供することこそが、依頼者の問題解決に繋がると思います。

感情が絡み合う相続問題の難しさ

これまでの活動で印象に残っている案件やエピソードはありますか。

印象に残っている案件として、非嫡出子に関連した相続案件が2件あります。

1つ目は、戦後の農地開拓に関連した相続案件です。ある男性が国策としての農地開拓に参加し、広大な土地と財産を築きました。しかし、妻は農作業を好まず別居状態にあったため、男性は別の女性と暮らし、子どもをもうけていました。

その後、男性が亡くなり相続が発生しましたが、男性は遺言を残していませんでした。そのため、男性と苦労を共にし財産を築いた内縁の妻は、全く遺産を相続することができませんでした。

また、現在は非嫡出子と嫡出子の法定相続分は平等ですが、当時の法律では非嫡出子の法定相続分は嫡出子の2分の1と定められていたため、内縁の妻の子は全体の6分の1の財産しか相続することができませんでした。

私は本妻側の代理人でしたが、大きな視野で見ると、法律が正しいのかと思いました。そして、この案件を通じて、遺言を残すことの重要性を痛感しました。

2つ目は、ある資産家の相続です。この方も妻以外の女性との間に子どもがいました。私は本妻の子どもからの依頼で遺産分割を進め、非嫡出子に対して法定相続分での相続を提案しました。

ところが驚いたことに、その非嫡出子は相続を拒否したのです。嫡出子の2分の1とはいえ、相続財産は相当な額でした。しかも、その方は経済的にとても苦労されていたのです。

それでも受け取りを拒んだのは、おそらくプライドが理由だったのではないでしょうか。同じ親の子でありながら差別されることへの憤りが、「相続の拒否」という行動を取らせたのだと思います。

相続は単なる資産の承継だけの問題ではなく、人々の人生や家族関係、そして深い感情が複雑に絡み合う問題だと強く実感しました。法律家として、こうした感情面にも十分に配慮しながら、解決策を見出していくことの重要性を学びました。

初回相談の流れを教えてください。

当事務所では相続に関するご相談を多数承っていますので、定型の相談票を作成しています。病院の問診票のようなもので、相談の予約をお取りした際、メールやFAX、郵便でお送りしています。

依頼者の方には事前にその相談票にご記入いただき、返送していただきます。そして、こちらで内容を確認して、事前に必要な資料や情報をお伝えして、相談に来ていただくようにしています。

こうすることで、実際に事務所にお越しいただいた際の相談がスムーズに進みますし、相談時間も短縮されます。相談時間が短くなれば、その分相談料も安くなるため、依頼者の経済的な負担も軽減できると考えています。

弁護士に相続の相談をするメリットにはどのようなことがありますか。

正しい知識に基づいて相続を進められることだと思います。法律の知識が不十分なために損をしてしまうということもなくなりますし、自分にとってどの方法が最も適切かをしっかり理解できるのは大きな利点です。

また、当事務所では司法書士や税理士など、他の専門士業とも連携していますので、ワンストップでの対応が可能です。相続には法律だけでなく、税務や不動産登記など複数の分野が関わりますが、それらを一括して対応できることは、依頼者にとって大きな負担軽減になると思います。

最後に、相続トラブルで悩まれている方へメッセージをお願いします。

早めにご相談いただくことが大切です。遺産分割の途中でご依頼を受けることもありますが、相手方との間で既に何か約束をしてしまっていると、後から変更できないこともあります。

また、相続には時効も関わります。例えば、遺留分の場合、請求できる期間は1年です。このような期限の問題もありますし、何よりも最初から弁護士に委任しても、途中から委任しても、弁護士費用は変わりません。ですから、なるべく早い段階で弁護士に相談することを強くお勧めします。

相続問題は、時間が経てば経つほど対応が難しくなる場合も多いですから、悩まずに早めに専門家に頼ることが大切だと思います。