50年以上の歴史が育んだ信頼と実績。大田区に根ざした法律事務所が相続問題に真摯に取り組みます
東京都大田区「東京南部法律事務所」に所属する長尾詩子弁護士にインタビューを行いました。東京南部法律事務所は、大田区で50年以上の歴史を持つ、信頼と実績の事務所です。事務所の理念や弁護士として心がけていること、相続の対応方針、事務所の強みなどを聞きました。(東京弁護士会所属)
インタビュー
時代に先駆けて依頼者目線の法律サービスを提供
事務所設立の経緯を教えてください。
当事務所は1968年に設立され、50年以上の歴史があります。設立当時、多くの法律事務所は霞ヶ関や四谷など裁判所の近くにありました。しかし、事務所を設立した4人の弁護士は、弁護士の利便性ではなく、サービスを受ける人(依頼者)の利便性を優先して、事務所の場所を決めたという経緯があります。
当時、大田区には中小企業の町工場が多くありました。労働トラブルを中心として、法律サービスの需要はあったものの、気軽に相談できる事務所がないーー。そのような状況を受けて、働いている人や住んでいる人に近いところに事務所を作ろうと考え、大田区に事務所を設立したのです。働きながら霞ヶ関や四谷まで行くのは大変ですよね。
今でこそ裁判所から離れた地域の事務所は珍しくありませんが、これは当時としては画期的な発想でした。まさに時代に先駆けた事務所だったのだと思います。
私自身は2001年に弁護士登録をして、その直後から20年以上在籍しています。若手世代からベテラン世代まで多くの弁護士が在籍していて、コミュニケーションが取りやすく、人間関係が円満で居心地の良い事務所です。
事務所の理念と、それを実現するための具体的な取り組みを教えてください。
事務所設立の経緯からもわかるように、依頼者目線のサービスを提供することです。そのために、私自身が心がけているのは、依頼者の気持ちを受け止めることです。「何でも話せる存在」だと思ってもらうことが、信頼関係を築くうえで大切だと考えています。
最近特に意識しているのは、依頼者自身の選択を大事にすることです。特に相続や医療過誤など、本人が望んでいないにもかかわらずトラブルに巻き込まれてしまったようなケースにおいては、少なくとも解決の過程で、依頼者の選択を大事にしたいと考えています。
具体的には、依頼者の気持ちを丁寧に聞き取り、一緒に解決策を探ります。例えば、医療過誤事件の場合、負ってしまった障害を元に戻すことはできません。しかし、それでも気持ちを受け止め、話を聞く中で、「弁護士に相談してよかった」と思えるような解決を目指すのです。どう解決するかを自分の意思で決められるよう、サポートしたいと考えています。
相続の場合も同様です。相続問題は家族の私的な問題を含むため、第三者には話しにくい場合もあるでしょう。特に年配の方は「身内のことを話すのは恥ずかしい」と感じる方も多いようですが、そういった気持ちも含めてまずは受け止めたうえで、丁寧かつ真摯に対応しています。
いち早く最適な解決方針を立てるために
先生のところに寄せられる相続の相談について、特徴や傾向はありますか?
最近の傾向として、遺言書を残す人が増えています。特に、おひとりさまの女性からの相談が多くなりました。60〜70代の方で、子どもがいないなどの理由で、終活の一環として遺言書を作成したいという相談が増えています。
また、大田区は比較的持ち家の多い地域です。若い世代では賃貸も増えていますが、今の段階で相続が発生するような世代では戸建てが多いですね。このため、不動産の相続に関する相談も多く寄せられています。
相続の対応方針や、心がけていることはありますか?
相続の対応では、ケースバイケースで方針を変えています。話し合いで解決が難しそうな場合は、早い段階で調停を検討します。どのように進めるかは、相手方の姿勢や論点の多さなどを考慮して判断します。
特に注意しているのは、明らかに不合理なことを主張している相手方への対応です。そういった場合、無理に話し合いを続けることは、依頼者の利益にならないことがあります。そのため、状況を見極めながら、最適な解決方法を提案しています。
初回相談時に特に注意していることはありますか?
初回相談では、特に丁寧な対応を心がけています。できる限り依頼者に自由に話してもらい、あまりお話を遮らずに聞くようにしています。
なぜなら、依頼者の話し方や発想から、その人の性格や優先順位を正確につかめることがあるからです。例えば、相続で争っている場合、金銭的な利益よりも、あくまで「親の生前の意向を尊重したい」と考えている方もいます。
こういった「依頼者の本当の希望」を早い段階で知ることで、最適な解決方針を立てられます。また、依頼者との信頼関係を築くうえでも、じっくり話を聞くことは非常に重要だと考えています。
地域に深く根ざした事務所ならではの強み
相続問題の解決において、事務所の強みはどのような点ですか?
56年間大田区で活動してきたことで、地域の土地事情に詳しいことが強みです。また、年齢の高い弁護士から若手弁護士まで幅広い世代が在籍しているため、経験や知識を共有できます。これにより、多角的に問題を分析し、最適な解決策を提案可能です。
例えば、「この辺の不動産はどのくらいの金額で売買できるか?」といった疑問に対しては、不動産業者に聞かずとも、事務所内で情報共有するだけで、ある程度の情報を把握できます。事務所全体の知識を結集して対応できるため、時短にもつながります。
また、大田区内の不動産業者、司法書士、税理士などとの連携も強みです。相続で不動産を売却したい場合や、複数人で所有する不動産を分割したい場合などに、信頼できる専門家を紹介できます。長年の活動で築いたネットワークが、依頼者の問題解決に役立っています。
多くのご相談を受けてきた中でも、特に印象に残っている事例はありますか?
遺言の有効性を巡る裁判が印象に残っています。
配偶者や子どもがいない、おひとりさまの女性が、信頼する第三者(依頼者)に対して、財産を遺す公正証書遺言を作成しました。しかし、遺言を作成した女性の入院をきっかけに、遠方の親戚が関わり、「財産を親戚に譲る」という内容の自筆の遺言書を作成しました。女性が亡くなったあと、どちらの遺言書が有効かが問題となりました。
依頼があり、自筆遺言の無効を主張して裁判を起こしました。東京地方裁判所では思うような結果が得られませんでしたが、東京高等裁判所で新証拠を提出した結果、裁判官より判決変更の心証が開示されました。つまり、東京地方裁判所の判決をひっくり返し、公正証書遺言が有効と認められたのです。弁護士としての悔しさ、嬉しさ、どちらも印象に残っています。
さらに印象的だったのは、依頼者の姿勢です。依頼者は、単にお金が欲しかったわけではなく、「亡くなった方の意向を実現したい」「円満に解決したい」という思いがありました。円満な解決を望まれたため、最終的には遠方の親戚にも財産を渡す和解をしました。結果として依頼者の望み通りの円満な解決を実現できたことは、私にとっても大きな喜びでした。
問題をこじらせる前にご相談ください
相続のトラブルで悩んでいる方にメッセージをお願いします。
相続の問題は、身内のことなので話しにくいと感じる方は多いと思いますが、問題をこじらせないためにも、弁護士に相談することをおすすめします。
特に最近多いのは、子どもがいない夫婦からの相談です。遺言書がない場合、法定相続によって配偶者以外の親族にも財産が分配される可能性があります。例えば、マンションを共有していた夫婦の場合、妻が4分の3、夫の親戚が4分の1を相続するといったケースが考えられます。
妻がマンションに住み続けたい場合は、親戚に代償金を払わなければならず、また、普段あまり付き合いのない親戚との相続では、ちょっとしたすれ違いから揉め事が発生してしまうこともあります。
このような事態を避けるためにも、特に子どもがいない方は、遺言書を作成して、誰に何を引き継いでもらうか明確にしておくのがおすすめです。元気なうちは考えるのが難しいかもしれませんが、持病がある方や60代・70代になられた方は、なるべく早めに作成するとよいかと思います。
相続の問題は複雑で、感情的にも難しい面があります。しかし、専門家に相談することで、より良い解決の糸口が見つかる可能性が高まります。東京南部法律事務所は、50年以上の歴史と経験を活かし、相続問題の解決をサポートいたします。安心してご相談ください。