将来の親族関係を考慮し、できる限り争いを避け、相続人全員が納得できる形で円満な解決を目指す

青森県八戸市で「立花法律事務所」を経営する立花康雄弁護士(青森県弁護士会所属)に、相続案件に携わる上で心がけていることなどを伺いました。相続分野においては、できる限り争いを避け、相続人同士が納得できる形で円満に解決し、将来にわたって良好な親族関係を維持できるよう努めていると語る立花弁護士。相続について弁護士に相談・依頼するメリットについても詳しく聞きました。
インタビュー
適切なアドバイスを行うための、丁寧なヒアリングを重視
事務所の理念や大切にしていることを教えてください。
依頼者の話をしっかりと伺い、わかりやすく説明することを大切にしています。また、依頼者の希望にできる限り沿う形で進めながらも、客観的な視点から最適な解決方法を提案することを心がけています。
依頼者のお話を聞く際には、どこに問題があり、どこに納得していないのかを丁寧に伺うよう努めています。話を正確に聞き取った上で、適切なアドバイスを行うためです。
一見、ささいな話の中にも重要な問題点が隠れていることがあるため、しっかりと話を聞くことで、依頼者が本当に望む結果を導き出す手助けができることがあります。ですので、依頼者には遠慮せずに何でもお話しいただくようにしています。
相続案件に注力している理由を教えてください。
相続の問題は、兄弟姉妹や親子などの親族間での争いが多く、本来なら争う必要のない人たちが、どうしても争わざるを得ない状況に至ってしまうケースがほとんどです。弁護士として、法律で解決できる部分はしっかりとサポートし、その上で、親族として普段通りに仲良く過ごしていただきたいと願っています。
親族同士の関係はこれからも続いていくものです。ですので、相続分野では、できる限り争いを残さず、お互いが納得できる形で円満に解決し、将来にわたって良好な親族関係を保てるような解決を目指しています。
相続について、よくある相談内容を教えてください。
多いのは、遺産分割に関する相談です。
遺産分割をめぐって対立が生じ、兄弟同士で折り合いがつかないまま相談に来るケースが多いです。また、親族が疎遠で、全く連絡が取れないという場合もあります。
また、揉める前に何とか解決したいと、早い段階で相談に来られる方もいらっしゃいます。交渉はまだ始まっていないけれど、争いにならないように早めに対処したいというケースです。
そのほか、相続発生前に他の相続人が勝手に預金を引き出してしまったというケースもあります。その場合、引き出されたお金を遺産に戻すよう請求することになりますが、引き出した側が「被相続人のために使った」と反論することもあります。こうした場合は、相続問題というよりも、返金をめぐる裁判に発展することも少なくありません。
法的な解決方法を知ることで、感情的になりやすい相続争いを冷静に進められる
最近の相談の傾向を教えてください。
最近の相談では、相続人の人数が多くなり、相続人同士がお互いを把握できないケースが増えているように感じます。
たとえば、結婚しておらず子どももいない方が亡くなった場合、兄弟姉妹が相続人になりますが、その兄弟姉妹もすでに亡くなっていると、甥や姪が相続人として出てくることになります。しかし、甥や姪同士が一度も会ったことがなく、誰が相続人なのかわからないことがあります。
そのような状況で、どのように遺産を分けるべきかという相談が増えている印象です。
相続案件を手掛ける上で心がけていることを教えてください。
遺産分割では法律に従って分けることが原則ですが、その過程で「どれだけ被相続人の世話をしていたか」「一緒に住んでいたか」「最後まで面倒を見ていたか」「だから遺産を多くもらうべきだ」といった主張が出てくることがあります。
こうした点について、相続人全員が納得できるように、しっかりと説明し、合意に至るよう努めています。
こうした主張は法律的には「寄与分」として考慮されますが、実際には裁判で認められにくい場合が多いです。そのため、裁判まで争って相続人間の対立を深めるよりも、交渉段階で調整して円満に解決することを心がけています。
相続について弁護士に相談するメリットを教えてください。
相続人間で話し合うと、どうしても感情的になり、相続とは直接関係のない部分で対立してしまうことがあります。
例えば、「生前にあの人のほうが多くお金をもらっていた」「自分のほうが親の面倒を見ていた」といった主張が出たり、単純に仲が悪くて「話したくない」「相手がおかしい」といった状況になることも少なくありません。
そうした場合、弁護士を介入させて「法律的にはこうなっています」と正確に説明することで、話がまとまりやすくなります。
また、実際に遺産を分ける際の手続きや、お金の払い戻し、不動産の処理などにおいても、弁護士の助けを借りることで、より迅速かつ確実に分割を進めることができます。
早めに相談することで、トラブルをスムーズに解決できる可能性が高まる
これまで取り組んできた相続案件の中で、印象に残っているものはありますか。
相続人が20〜30人もいた案件が印象に残っています。相続人の中にどうしても納得できない相続人が1人おり、そのために調停を行い、審判も実施し、最終的には即時抗告までされて高等裁判所で争うことになりました。
依頼者は多くの相続人の中の1人でした。被相続人には配偶者や子どもがおらず、兄弟姉妹が相続人となりましたが、すでにその兄弟姉妹も亡くなっていたため、相続人が誰なのかわからない状態でした。まずは相続人の調査を1〜2か月かけて行い、被相続人の甥や姪が相続人であることがわかりました。
その後、相続人全員に手紙や電話で連絡を取りました。なるべく円満に進めたかったため、各相続人の話をしっかりと聞き、依頼者に伝えて調整を行いました。
しかし、その中でどうしても納得しない相続人が1人いました。その方以外の相続人は全員納得していたのですが、その1人だけは遺産が少ないにもかかわらず、もっと多くの遺産があるはずだと主張して反対していました。
交渉での合意が難しいと判断し、調停を申し立てました。納得している相続人を調停に呼び出さないようにするため、納得している相続人から委任状を取得し、反対する相続人のみを相手に調停を進めました。
最終的には、調停では合意に至らず、審判手続きに移行しました。その審判でも相手方が納得せず、即時抗告がなされたため、高等裁判所での審判が下されて決着がつきました。解決までに2〜3年かかりました。
相続人の調査と連絡だけでも大変でしたが、長期間の争いが続き、苦労した案件でした。そのような状況でも、しっかりと争い、依頼者の納得いく結果になったことはよかったと感じています。
初回相談の流れを教えてください。
まず事務所にお電話いただき、相談日時を調整します。
当日は手ぶらで来ていただいても構いませんが、もし可能であれば、経緯がわかる資料や時系列のメモ、関連する書類などをお持ちいただけると助かります。
相続のトラブルを抱えて弁護士への相談を検討している方に向けて、メッセージをお願いします。
ぜひ一度お気軽にご相談ください。早めに相談することで、トラブルがスムーズに解決する可能性が高まります。
実際に、早期に相談してアドバイスを受けたことで、大きな争いに発展せずに無事に解決したケースもあります。もし争いがない場合には、遺産分割協議書の作成のみを弁護士に依頼することも可能です。お気軽にご相談ください。